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2. 狂人ハ、〇〇ッテナまえのみちを歩く

さて飲むか・・・ゴクリッ


 不味い、これは不味い。健康面では無く、精神面が死ぬ、今更だけどゾンビって味覚あるのか、もしかして自分では気づかないだけで俺の口臭は絶望的な臭さになっているのでは!?ヤバいマウスウォッシュ買わなきゃ!


 ん〜、流石にこれ以上は無理だな、諦めて民家にあるトイレのタンクの水を飲もう。ゾンビウィルス?によるパンデミックが起きてまだ2ヶ月、多分まだタンクの水は蒸発してない


 窓は割るまでもなく最初から割れてるため不法侵入し放題、こういうのも火事場泥棒って言うのだろうか?それはさておきトイレの水美味しいな、池の水とは大違いだ。え?じゃあなんで池の水のんだんだって?それは・・・あれだよ、何でも先入観に囚われたらだめなんだよ、ひょっとしたら美味しいかもしれないじゃん?俺ゾンビだし味覚とか変わってるかもだし?決して。そう、決して思いつかなかった、なんてことは無いからな?


 水を飲むとカサカサに乾き始めていた俺の口内や折れた右手の傷口が徐々に潤い始めた、このまま治ったりしないだろうか、いや無理そうだな、だって匂いがするもん、腐ったような臭いが


 ゾンビの体になって思ったことはゾンビって疲れやすい!?っという事だ、長時間の移動においては歩くのが精一杯、走ろうものなら長距離走レベルの速度でたった十秒くらいが限度だ、しかもその後は一時間以上は疲れが取れない、なんとも難儀だ


 まぁ、心臓が動いてないのに体が動かせるだけでも十分なのかもしれない、腕を補強する布も見つけたし順調かな?


 歩き続けること三十分


 「第一村人発見!」


 俺がゾンビとなってから初めての遭遇相手、つまりは初体験の相手!?


「~~~」


 唸り声を上げるゾンビ、うん。なんというかロマンスの欠片もないな、せめて美少女ゾンビとかさ、色々あるじゃン。何で腹の出た中年ゾンビが初エンカウントかな。まぁいい、とりあえず様子見だな


 襲われる気配はないな、特殊個体では無いと、ではこれは?


 ペチ


 軽く殴ってみても反応なし、じゃあこれは?


 バキッ


 持っててよかった釘付きの板切れ、リスポーン地点の板で足を殴ってみた


「〜〜〜!」


 流石に駄目か、俺を敵だと認識して襲いかかってきたな、足をやって正解かな、だいぶ足が遅い。さて次は・・・いたいた。第2村人発見


「へい君!ちょっとお茶してかない?もしくは殺しても良い?」


 中年女性ゾンビを見つけて声をかけるのだがやはり反応なし


「〜〜〜」


 第1ゾンビはそのまま俺を襲おうとしてるが、第2ゾンビは反応なし、つまり俺を敵だと認識してない、じゃあこれは?


 バキッ


 俺は再度第1ゾンビを殴る、それでも第2ゾンビは反応なし、予想道理ではあるが、こいつ等はあくまでゾンビになった個人のようだ、殴られれば痛みやダメージのせいで敵対するけど、それが他人であれば関係なしってところか、仲間意識も無さそうだな、でもその割には俺は襲われない、何を基準に人間とゾンビを見分けてるのだろうか?


 実験はこれくらいにして残りは後々のんびり行おう、先ずはあのビルに登るか、でも板は捨てよう、そろそろ重い、第一ゾンビは・・・無視でいいかな、すぐに撒けるだろ


 いくつかのバリケードを乗り越えた先にあるのは壊れたドアと屋上、澄み渡る空、なんて晴れ晴れとした良い天気なんだろうか、このまま賛美歌でも歌いたい気分だ、この世の地獄を生み出した神様へ乾杯!


「ふむ、見つかるかな?・・・無いな」


 そして再び歩いてビルに登る


「あった!幸先は悪くないな」


 見つけたのはゾンビが数体集まっている場所、パンデミックが起きてまだ2ヶ月、最初の頃食料を溜め込んで立てこもった大半の人は死んだわけだが、運が良かったのか、食料が多かったのか、今でもたまに立てこもり続けることに成功してる奴もいる。まぁ、どれだけ立てこもろうとも運命は変わらない、精々早いか遅いかだけだ。そもそも国自体が終わってるのだ、自分で自分の生活基盤を整える以外に生き残る手段など無い


「もしもし君たち、ちょっとそこをどいてくれないかね?」


 なんとなくゾンビに話しかけてみるも反応なし、彼らにはコミュニケーションという概念はないのか!?挨拶一つまともに出来ないなんて


「そんなやつはこうしてやる!」


 ぽいっちょ、とな


 そして3階建てのアパートから落ちるゾンビ、落ちた程度で死ぬことは無いがダメージのせいでまともに立てなくなる、そして俺を敵だと認識して襲いかかってくるのだろうがここまで来るのに時間がかかる、その間に次のゾンビをぽいっちょ


「そこをどけ、そこにいるのは俺のご飯・・・もとい獲物・・・じゃなくて話し相手だ!」


 更にぽいっちょ


 いや、手すりがあるからコレを乗り越えてゾンビ捨てるの結構重労働なんだけど、誰だよ軽そうな擬音つけやがったのは


 そうして全ゾンビを処理完了、5体?5人?。だったから良かったけど、二桁だったら諦めて別のを探したほうが良さそうだな


 さてと、先ずは固定してる腕の布を取ってポケットへ、包帯にしてる布切れも取って腕の傷を露出させておこう


「すいません、誰かいますか?」


 ゾンビは不思議パワーで人を見つけ出すなんて出来ないので、ここに人がいるとは限らなかったりする、とっくに死んでたり、あるいはドアから入って、ベランダを抜けてすでに脱出してる可能性もある


「救助の人ですか!?」


 どうやら今回は当たりみたいだ


「違います、あの・・・開けてもらえませんか?」


「え・・・あの、どうしてここへ?主人は?あの人が救助を呼んだんじゃ?」


 どうやらここにいるのは人妻NTRさんのようだ、もしNTRの意味がわからないという人は決して検索しないように、人間知らないほうが良い事もある


「いえ、貴方のご主人は知りません、今日ここを通りかかって、それで・・・すみません、すごく疲れてて、できれば少しで良いので休みたいんです」


「それは・・・」


 もうひと押し必要だな


「そうですよね、ツ!。あの・・・すいませんでした」


 おもむろに腕を抑える、まるで今さっき怪我をしたかのように


「あの・・・もしかして私達のために・・・」


 達、ね。複数形か。この人案外ちょろい上に口が軽そうだな


「いえ、大丈夫です。これは・・・その・・・前の傷だから」


 相手への思いやり感と傷口を隠しつつ相手に傷を気づかせるこのさじ加減が大事


「噛まれたんですか!?」


 チェーンはつけたままだがドアが開けられ、ドアの隙間から顔をが見える


「それは・・・いえ。違います少し・・・少し切ってしまっただけで」


 相手が押すならこっちは引くのだ。だからドアを開けられてから急いで腕を隠す


「今開けます、せめて手当を!」


 はい終了、後は煮るなり焼くなり好きにできる


「すみません、少しだけお邪魔します」


 駄目だよ、こういう状況では絶対開けたらいけない、いつだって怖いのは人間だ、人を騙してものを強奪しようとする輩はこんな時代になっても無くならない、それどころか増える。本来は知らない他人は家に入れるどころかチェーンつけたままとはいえドアを開けることすらやってはいけない。チェーンなんて簡単に破壊できるし、仮に破壊できないとしても腕が入る隙間さえあれば中の人を掴んだり、隙間から刃物なり銃なりで殺せる、もし開けてほしければ「全裸になった上でうつ伏せになれ」くらいはやらないといけない。少しだけやりすぎか?あまりやると友好的な隣人になれる人までひどい目に合わせてしまうな・・・まぁ、小さな問題か!


「あの・・・どうしました?」


 急に立ち止まり、黙ってしまった俺を怪しみだした人妻NTRさん


「もういいか、仮に他に人がいるとしても流石に勝てるだろうし時間がもったいないな」


 そろそろ演技もやめよう、普通は一番強い人が出迎えるはずだし、仮にこのあと俺を瞬殺できるマッチョマンが出てきたら素直に諦めて逃げよう


「な・・・にを・・・」


 おもむろに折れた腕をかかげてゾンビをアピールだ。顔色が少し悪い程度の俺の腐れ具合でも、流石に血すら流れない折れた腕の傷口を見せればゾンビ要素が出てくるようで、人妻さんの顔色が目に見えて悪くなる


「というわけで命が惜しければこっちの言うことを全面的に聴け、なお拒否権はない、ゾンビになりたいなら別だけどな、俺はすでに感染してるんだ、次の瞬間にでも襲いかかるかもな!?」


 設定的には感染してゾンビ化が進んでるけど辛うじてまだ自我が残ってる人が強盗してますって所か、設定も何も半分以上はそのままだけど


「そんな!?」


 ゾンビである俺の身体能力は人間だった頃以下、普通に戦えば人妻さんにすら負けるだろう。しかしゾンビというのは10日近く飲まず食わずでも生存できる事以外にもう一つメリットがある。それが感染力、ゾンビウイルスの感染力はエイズと同程度、軽いキス程度では感染しないが、唾液や血液が相手の体内に入れば感染する確率が跳ね上がる、故に俺はつばを吐くだけで簡単に相手を牽制できる、色んな意味で汚い手段だからあまりやりたくは無いけどな


「先ずは隠れてる人を全員出してもらおう」


 あるいは俺のツバまみれになってもらおう、んー、あれ?なんか唾液が出ない?そうか俺ゾンビだもんな!?代謝能力低くて唾液も出にくいのか、これは一本取られたぜHaHaHa


「・・・」


 黙りこくる人妻、感染力を封じた程度で勝ったつもりか?しかしこの程度で俺に勝てると思うなよ?俺には仲間がいる、そう、俺に対して敵対せず人妻に対してだけ敵対するゾンビという仲間が!


 ん?まて、たしか外のゾンビは俺が外に落としたからむしろ俺のほうがより敵対されてるな・・・ふ、今回は勝ちを譲ってやる


「言っておくけどここから脱出できるなんて考えないほうが良い、そろそろ外に捨てたゾンビたちも戻ってくる頃だ」


 とりあえずドア閉めていいかな?ゾンビが来たら死ぬよ?俺が!


 とりあえず勝ち誇った顔でドアをガチャっとな。多分俺が圧倒的に不利なのは気づかれてないな、このまま行こうか


「ッ!・・・この人でなし!」


 ん〜、何という良い響き、戦闘において卑怯というのは褒め言葉以外の何物でもない、加えて言うと俺はもう人じゃないしな


「げっへっへっ。負け惜しみはそのくらいかね?」


「せめて・・・娘だけは・・・」


「誠意を見せれば考えてやらん事もない」


 なお、考えるだけで助けるとは一言も言ってない、後は好き放題させてもらおうか!


まだしばらくは続きますけど、はてさて、この話にどれほどの読者がいることやら

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