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11. 今日人は、〇〇って名前の道を歩く


坂牧 二乃の視点


 案内されたのは、奴が言っていた通りの地下だった、それも機械の残骸が幾つも落ちている場所


 本当に地下帝国があるとは思わねぇが、何度も調査されてるはずの場所に資源が残って時点でおかしい、何より、何故この狂人はこんな場所を知っている?この場所そのものは、多少隠されているだけだからいずれは見つかっただろうが、だとしてもコイツが当然のようにこの場所を知ってる理由にはならねぇ


「おい、いい加減この場所について話したらどうだ?」


 どうせ返ってくるのはいい加減な、デタラメだらけだろう、それらをつなぎ合わせるのはなかなかに手間だが、仕方ない


「じつは、僕ちゃんは、秘密結社によって作られた人造人間でさ、ココはその秘密結社なんだよ!」


 やはりというか答えはマトモなものではなかった、よりにもよって人造人間と来やがったか


「で?テメェはその秘密結社を裏切って正義のために戦ったってわけか?」


「そんな大層なものじゃないよ、ただ・・・大切な人を守りたかった、その人を守るために、この手を血で・・・、じゃないな、相手は機械だから・・・そう!オイルで染め上げた!うーん、正確な表現はずなのに何故かしっくりこないね」


 奴は俺たちをどんどん下まで案内していく、まるで迷路みたいなこの場所を迷いもせずに次々と下へ降りていく、そのうち迷路から工場、そして研究所みたいな場所に出た


 ココはなんだ?何かがおかしい、研究所なのはわかる、だがココには違和感がある、何かが足りない


「おい、狂人、何処まで行くつもりだ?」


「あぁ、ごめん、気が付かなかった、トイレは無いんだ。だからしたいときはそのへんの陰でするしか」


「何処まで下に行くのか聞いてるんだよ」


「もしかして大きい方?ゴメンね、それでもやっぱりトイレは無いんだよ。もうすぐ目的地だから我慢してね、だから高速に乗る前にトイレしておいてって言ったでしょ。あれ?言ってないっけ?」


 停止した機械が、足元にゴロゴロしているが、その大半には目立った破損がねぇ、そもそも、ココはなんのために誰が作った場所だ?


「違う、そもそもココは根本的に別の場所だ」


「気がついたかい?そうさ、ココはただの秘密結社じゃないのさ。暗い泥炭の海よりい出し、暗黒の!」


 ただの研究所じゃない、コイツ自身が言ったことが本当ならココは・・・


「黙れ狂人、ココは機械が作った生物兵器の実験場か?」


「正解はコロンビ・・・分かったよ、そう睨まないでよ。は!?ゴメンね、さっき僕は、自分の事を人造人間キカイダーって言ったけど取り消すよ人造じゃなくて機械造人間だったよ!」


「テメェは最初に俺がコロニーに入ったときも似たようなこと言ってたな。ソイツはマジだったのか」


「ふ!真実に生きる僕ちゃんはジョークを飛ばすことはあっても嘘は言ったことは無いよ!心はいつでもフライ・アウェイだけどね!」


 コイツは言った『機械の母を持つ俺は人間どもを皆殺しにすべく大活躍、そして虚しさによって正義に目覚めた俺は更生し今では由緒正しい一般庶民へとジョブチェンジしたのだ』と。ふざけた馬鹿だとしか思わなかったし、今でも狂人かつ馬鹿だとは思ってるが、全部本当のことだったのか


「この場所はテメェが?」


「うん、壊した。全機能を停止させて危険なものは全て修復不可能なように壊した、ただひとつを除いてね」


「母親か」


「物理的に外部に干渉出来ないようにはした。けど、どうしても殺すことだけは出来なかった」


 到着したのは一つの部屋、スーパーコンピューターとでも言うのか、やたらデカい機械が一つ、そして見てわかるレベルで破損してる上に配線が一つ残らず切断されている


「もしかしてこのゾンビ騒ぎの元凶とか言わねぇよな?」


 ピーーーーーーーーー


 音がなる、機械の起動音、どうやらまだ死んでねぇようだな


「ただいま、お母さん」




赤松 遥の視点


「オカえりなさイ、私ノ愛し子」


 機械からそんな音がした、話が本当なら私の両親を殺した存在が目の前に居ることになる、それどころかゾンビウィルスすらコイツがばら撒いたの?


「ただいま、お母さん。今日は最後の約束を果たしに来たんだ」


「ソウですか、月日がタツのはハヤイものですね」


 待って?なんでコイツはまだ生きてるの?いや生きてはいない、だって機械だから。だから早く・・・早く壊さないと


「うん、赤松。殺すのは構わないけど、あと少しだけ待ってくれない?それが終わったら止めないから。でも殺すなら用事が終わったらすぐにやると良い。残り電力は1%も無いはずだから」


「愛し子よ、接続を」


「分かってるよ、お母さん。でも不用意な動きをしたら赤松より先に僕が殺すからね?」


「ソウ・・・」


 リーダーはそう言って一本のケーブルを機会につなぐ、何をしてるの?そもそもここで何をする気なの?リーダーはここで何をしてきたの?


「赤松、落ち着いて、別にお母さんの肩を持つつもりはないけれど、ゾンビウィルスを撒き散らしたのは人間だよ、生物兵器として作られたウィルス。それがゾンビウィルスさ。最も僕の推測も入ってるから本当かどうかはわからないけど。正確には機械側も似たような事が出来るナノマシンを作ってたんだ、それに対抗するための物がゾンビウィルスだね」


 リーダーは説明を続ける、本来なら電波による操作が可能で、指令を受け取ったゾンビはナノマシンによる支配を無視して機械と戦えるのだと


「そして、今お母さんに作ってもらうのが新しいナノマシン。残念ながらゾンビになった人は治せないけれど、新しく感染することは防げるかもしれない」


 確かにソレは凄い、けどそのナノマシンは本当に信用できるの?


「そう、信用できない、だからコレは最後の手段なんだよ。基本的に当てにできない。だから僕自身で実験する。ナノマシンの効力でゾンビウィルスが死滅するのか?その効力は?そこまで確認した上で最低限必要な人だけがナノマシンを使ったら良い。ゾンビと接触する機会が多い人は感染リスクよりもナノマシンのリスクのほうがマシだろうからね」


 実験?何言ってるの?リーダーはゾンビウィルスのせいで死んだけどゾンビウィルスがあるから心臓が止まっても生きていられるはず、そのゾンビウィルスを殺してしまったら・・・


「だから、落ち着いて赤松」


 落ち着け?何を落ち着くの?リーダーは平気なの?死んでしまうかもしれないのに?


「ねぇ。人間が科学の果てに最高の兵器としてお母さんを生み出してしまったわけだけど。その機械が科学の果に作るのは何だと思う?」


 何を言ってるの?その質問はいま必要なの?


「この問いに正解なんて無いけど、少なくともお母さんは僕を作った、人間に混じってる人間を殺す最強の兵器としてね。素材となった霧島はそりゃあ苦しんだろうね、何度も霧島のコピーが複製されて、ようやく完成したのが僕だよ」


 リーダー、やめて!


「両親の仇を取るなら僕も殺して良いよ、できればナノマシンの効力くらいは確認したいけど」


 だから・・・


「ちなみに僕が何故お母さんを裏切ったかというと」


「やめてくださいリーダー!そんな事これっぽっちも興味ありません!」


「赤松?」


 「リーダー、帰りましょう。両親の事とかどうで良いんです、ナノマシンとか兵器とか全部忘れましょう。いつものあなたはどこへ行ったんですか?何でいつもみたいに笑ってくれないんですか?」


「赤松、コレが本来の僕だよ、二乃くんは僕のことを人間じゃないって言ったけど。そのとおりなんだよ、機械に作られた僕は大元からして人間じゃない、普段は効率が良いからああ言うふうに振る舞ってるだけで、本質は冷徹な機械なんだよ」


「・・・ふふふ。そう・・・ですか。リーダーは嘘だけはつかないですもんね」


「わかったかい?じゃあナノマシンのテストに」


「騙されませんよリーダー、私はもう騙されません」


「嘘なんてついてないよ?」


「ええ、そうでしょうね、嘘はついてない。でもリーダーは嘘を付きました。効率?確かにそうでしょう。大元から?ソレも嘘じゃないでしょう。本質?ソレもあってると思います」


「ほら、全部本当でしょ」


「じゃあ、復唱してください『楽しくなかった』って」


「・・・」


「リーダー、貴方は楽しんでた、私達を鍛えるのも、狂った言動で相手をおちょくるのも、美味しいものを一緒に食べておしゃべりするのも。本質?そんなものどうだって良いです。大事なのはお互いに楽しかった。それだけじゃないですか?リーダー、貴方は、私達と一緒にいて楽しかったですか?」


「そりゃ・・・楽しいわけ・・・あるよ。ありまくりだよ。だって初めてだったんだよ?仲間があんなに増えたことなんて初めてだった、楽しくないわけない」


「だったら・・・」

だからソコを。大切な場所を壊させないためにナノマシンが必要なんだ」


 リーダーは勘違いしてる、楽しいから大事なわけじゃない、仲間だから大切なわけじゃない


 そっちがその気なら・・・


「じゃあ、大切な場所を壊させないために帰りましょう?そうでないと私が壊してしまうかもしれませんよ?」


「赤松、君は何を言ってるのかわかってる?最悪の場合僕が君を倒さないといけなくなる」


「構いませんよ、それなら私を倒すためにココで死ぬわけにはいかなくなる。そうですよね?」


「今ここで倒す手もある」


「どうぞ?でも私はまだちょっとだけおかしなお喋りをしただけです、貴方にとって既に敵だというのなら仕方ないですがそうでないならまだ警戒する対象なのでは?機械を自称するならそのへんの判断は正確にお願いしますね?」


「つまり、見張るために一緒に帰ろうと?でも、もしもを考えるなら非常手段として君を殺す判断だって出来るんだよ?」


「だから、どうぞと言ってます」


「・・・」


「出来ませんか?」


「・・・」


「リーダー、ハッキリいいます。貴方は貴方自身のことが分かってない。貴方はただの臆病者です、失うことが怖くて拒絕されることが怖くて、だから自分から手放して自分から拒絕されるようにした。ただそれだけの子供です。仕方ないですよ、まだ5歳なんですから。でも大丈夫、私が教えてあげます、人は楽しいから生きて行けるんじゃない、未来が楽しそうだから生きていけるんです。例え今日か苦しくて泣きたくなる日でも良いんです、大事なのは、希望があるか無いかです。今日を生きる人は希望って名前の道があればいいんです。だから一緒に帰りましょう」


4割は推測、3割は確信、3割はただのでまかせ。自分でも色々酷いとは思う。けれどいいですよね?少なくとも嘘はついてない。リーダー、貴方と同じことしてるだけなんですからね


「分かったよ・・・僕の負けだ」

今日人は、希望って名前の道を歩く

っと二度目のタイトル回収した所で赤松(貧乳)の大勝利で終了です

別にシンギュラリティとかの設定は無理に入れる必要は無かったんですが、この話のコンセプトが主人公の最初に話す馬鹿話が本当だったらって物なのでこういうふうになりました

この後のお話は構想のみで基本的に発展する見込みがあまり無く、ただの内政話になるのであまり考えてません

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― 新着の感想 ―
[一言] こう、つっこもうと思えばいくらでもつっこめるんですが B級ゾンビ映画っぽくて、良かったです 主人公もサブタイトルもずっとばぐってた感じがとても良い 最後まで勢いがとぎれなかった
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