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紫雲のカグラ  作者: 天城なぎさ
第九話 キミだけが頼り
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第九話 結

「風吹さん。ただいま。東雲先生来たよ」

『お帰り。麦茶を冷やしてある。持ってってくれ。すぐ行く』

「うん。お菓子も、持ってく」  


 丸いお盆に、麦茶ポットとコップを四つ。

 コースターは涼しげな、竹編みの工芸品。


「すみません。東雲先生。風吹さん、すぐに来ますので。お兄も、すぐに来るはずです」

「お気になさらず。それに、香楽ちゃん。術師としての話をしたいから、先生呼びはやめて?」

「あ、すみません。先生呼びに慣れちゃって。かのんさん」


 麦茶を出して、風吹さんが用意してくれた、お菓子を出して。あとは、二人が来るのを待つだけ。


『待たせてすまない。久しぶりだな。東雲家当主』

「お久しぶりです。風吹さん」

『晴斗はまだ、燻製作ってるのか?』

「もう少しって言ってたけど……。あ、来た」


 白いお皿を大事そうに持ちながら、階段を上がって来たお兄。

 お皿を、台所まで持って行かずに、茶の間に持ってきたせいで、燻製の匂いが漂ってしまった。


「ごめんね、遅くなりました」

「お気になさらず」


 お兄が私の隣に座ったら、かのんさんは麦茶を一口。


「依頼を受けていました、空木望さん、朔君に関する、調査ですが」

『どうだった?』

「五行術師の血を、引いていました。家は、八雲家です。八雲家分家から、二人の祖母の方が、嫁がれていらっしゃったようです」


 やっぱり。やっぱり、術師の血を引いていた。

 多分この事は、二人は知らない。


「じゃあ、空木君が簡易儀式で、術を使えるようになったのは、八雲家の血の影響ですか?」

「恐らくですが。儀式によって、八雲家の血が、術師として目覚めたとしか、言えません」


 八雲家の血。八雲家はかなり昔に、術師ではなくなった家で、初めは、紫雲、東雲、出雲家と並ぶ、五行術師四家だった。


「八雲家の方々は、皆さん普通の、一般人として生きています。紫雲家のように、術師としては生きていません」

『八雲家は、何も知らないだろうな。ただ、こちらとしては、本家当主が黙っていない』

「紫雲本家には、伝えますか?」

『伝えるべきだろう。言わなければ、言わなかったで、うるさい』

「では、この結果は、私の方から伝えますね」

『よろしく頼む。すまないな、何から何まで』

「いえ。東雲家当主として、紫雲家を支えるのは当然です」


 術師では無くなった東雲家が、今もこうして協力してくれているのは、とてもありがたい。


「それともう一つ。東雲家は、術師ではなくなりました。しかし、私は術師になりたいです。霊魔が見えるのに、何も出来ないのは、悔しい」

『東雲家の復活か。術師に関する知識は、あるのか?』

「曽祖父より、話は聞いています。全てではありませんが」

『いつ死ぬか分からない。それでも、やるのか?』

「はい。覚悟の上です」


 しばらくの無言の間。

 かのんさんと風吹さんは、対峙したまま動かず、何も喋らない。


『それでは、儀式の日取りが決まり次第、連絡しよう』

「ありがとうございます。風吹さん」


 とりあえず、話は決まった。のかな。

 儀式が済み次第、かのんさんも術師になれる。

 そうなれば、霊魔の同時出現があったとしても、私たちは心強い。

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