第九話 九
乱麻の時戻しによって、全て元通りとなった。放課後の屋上で、空木君に七将のことを明かさず、事の経緯を説明。
「強い邪気だった。俺は眠ってる間に、夢幻に支配されちゃってさ。知らない場所にいたんだ」
「霊魔はどうだった?」
「強かった。金縛りと花舞を使って、なんとか」
「助けに行けなくて、ごめんね」
「全然大丈夫! 星蘭を呼び出したし。そういや、星蘭が変なことを言ってた」
まさか星蘭は、七将に気付いてしまった? だとしたら、空木君には早すぎる。
「何て言ってた?」
「俺には倒せない、相手が出てきた。ってさ」
「星蘭の言う通りだったよ」
「紫雲さんの方こそ、大丈夫!? 怪我とかしてない?」
「大丈夫。空木君が無事なら、私は嬉しい」
ん? これはよくある、ボーイミーツガール? 青い春の一幕? よく分からない。
「あ、今日はもう帰るね」
「そっか。じゃあ、また明日」
「うん。また明日ね」
理由を聞かれなくて良かった。これから、東雲先生が家に来て、空木君の身辺調査に関する、調査結果の話がある。
「あ、紫雲さん。ちょうど良かった」
「東雲先生、どうかしました?」
生徒玄関の靴入れの前で、東雲先生と遭遇。ということは、バッグを持っているところを見ると、いよいよだ。
「少し話したい事があるの。一緒に良い?」
「はい。私も話したい事があります」
***
家までの道中、東雲先生は、なんだかソワソワした様子。
無理もない。重要なことは、ここでは話せないのだから。
「話したいこととは、何ですか?」
「うん。それが、考えたの。術師になること」
「そうですか。答えは出ましたか?」
「霊魔が見える人は、数少ない。元術師の家系に、再び霊魔が見える者が生まれた。それって、運命というか、宿命だと思うの」
「紫雲分家としても、先生には、術師になって欲しいです」
東雲先生は黙ってしまって、そのまま家に到着。
今日は休業日で、お兄も風吹さんも、二階の自宅にいるはず。
「お帰り、香楽」
「ただいま。お兄、外で何してたの?」
「燻製作ってた。かのんちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです。晴斗さん」
「風吹さんは?」
「晩飯作ってる。これは、つまみだからな。もうすぐ出来上がるから、中で待ってて」
「了解。東雲先生、行きましょう」
外階段を上がって、二階の自宅へ。
ドアを開けた瞬間、台所から良い匂いが漂ってきた。
「ただいま~。風吹さん。東雲先生来たよ~」
「お邪魔しまーす」
聞こえてないのか、返事がない。まぁ、良いか。
「どうぞ。居間は散らかっているので、茶の間に」
「はい」




