表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫雲のカグラ  作者: 天城なぎさ
第九話 キミだけが頼り
84/102

第九話 四

 私は一組側の廊下の端に、乱麻は六組側の廊下の端に、各々着いた。


『いきますよ! よーい、どん!』


 乱麻の合図を聞き、大体同じタイミングで、走り出す。

 この廊下の長さは、そんなの知らない。


 ピキッ。ピキピキピキッ。


 何かが割れ始めたような音。

 結界内のバランスが崩れてきたのだろう。

 大体中央辺りで、私たちが落ち合うと、それまで教室棟だった場所は崩れ、真っ白な光りの中へ。


「紫雲さん! 乱麻もいるね。良かった、無事で」


 あまりにも強い光りだった。

 思わず目を瞑ってしまったけれど、聞き慣れた空木君の声で、目を開ける。

 見える景色は、お昼くらいの太陽が高い、青い空。


「空木君」

「良かったぁ。昼休み中だったのが、不幸中の幸いだった」

「何が、どうなったの?」


 起き上がり、周囲を確認。

 私たちしかいない、いつもの静かな屋上。

 襲撃があったとは思えないくらい、いつも通りで、なんだか安心する。


「テストのことを話してたら、急に帳が降りて、三体の霊魔が現れたんだ」

「私、殺られたんだね」

「殺られかけたんだよ。霊魔の波動で、動けなくなって。そしたら、紫雲さんが結界に閉じ込められた」


 私の動きを止めたかったんだろうな。 

 最近の霊魔は、策士になってきている。油断出来ないし、結界を張ってくることも、考えておかなきゃ。


「そっか。乱麻も星蘭も、ありがとう」

『香楽殿が、ご無事でなによりです』

『結界の解き方を、少しは覚えて欲しいくらいです。今回は簡易的な結界でしたので、無事に出られましたけど』

「それ以上言わないで。気持ち的に、沈んじゃう」

『しかし、本当の事でしょう?』

「正論過ぎて、返す言葉が見つからない」


 結界に関して、知識を入れなかったのは、私の落ち度だと思っている。

 それは、乱麻に言われなくたって、分かっているつもり。


「紫雲さん、腹()かね?」

「ちょっと空いた。お弁当食べたばかりなのにね」

「購買か食堂に行きますか。何かしら、あるだろうし」

「でも時間が……。もうすぐチャイムが鳴る頃」

「はぁ。午後を無事に過ごせる、自信がない」

「急いで買いに行く? この時間なら、空いてるだろうし」

「それじゃあ、購買だ! 急げ~!」

「ちょっと、待って。空木君!」


 走って屋上から出て行った空木君を、私は追いかける。

 仲間が欲しかったのは、本音。

 こうして、術師としての時間以外の、俗に云う《青春》を、誰かと笑って過ごしてみたかった。


「ありがとう。空木君」


 少し前を行く空木君に、聞こえるかどうか分からない声で。


「え? 何か言った?」

「何も言ってない。早く行こう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ