第八話 六
「ところでさ。外に出て、何してたの? 竜也君の顔色、悪そうだったし。朔君は息切れしてた」
「おおぅ。七海先輩に、先に聞かれてしまった! くそぅ、不覚!」
「姉ちゃん、うるさい」
「それに関しては、朔に聞いてください」
皆の視線が、俺に集中してしまった。これは、答えなければいけない、そんな流れ。
「そうですね。七海さんは、霊魔を信じていますか?」
「りょうま? それって、昔話のやつだよね。何か関係あるの?」
「あります。姉ちゃんには、後で伝える予定でしたけど。家が、霊魔に襲われました。以上です」
俺の隣で、鼻息の音がうるさくなっている。これは、ギャーギャー言われるやつだ。
「なんだとぉ! 家が襲われた!? おのれ、霊魔! あたしの目が黒いうちは……!」
「黒いうちは? 何? 姉ちゃん」
「えーとだね。うーんと」
「考えてなかったね。望は、そういうとこ、変わらないよね」
「たとえ、人間でも獣でも、モノノケだとしても、許しません!」
仮に、獣やモノノケが、家を襲ったとして、襲ってきた獣やモノノケが可哀想。
絶対、姉ちゃんが襲い返すはず。
「霊魔の噂、ニュースになってたよね。封印が解かれたとか。私はよく知らないけど」
「そうなんですよ、七海さん。霊魔のボス的な奴の、封印が解かれたらしいです。俺は詳しく知らないので、紫雲さんに聞くしかないです」
「大丈夫だったの? 霊的なモノノケに対して、人間は無力でしょ?」
「七海さん。朔は、術師になったんですよ。姉のあたしが、許しました!」
鼻高々に、胸を張って言うことかね。
俺が五行術師になって、二、三ヶ月。姉ちゃんより先に死なないことを条件に、許してもらったけど。
「ウソっ!? 朔君、術師なの!? 晴斗と同じやつだ!」
「そうです、そうです! 朔は、晴斗君と同じ、術師なんです! いや~、鼻が高い!」
「でもさ、バトルものの漫画とかアニメだと、いつでも死と隣合わせでしょ? それが現実になってる朔君は、大丈夫?」
「大丈夫じゃないですよ。何度も死にかけてます。その度に、紫雲兄妹や、姉ちゃんに助けてもらってて」
なんて話しているうちに、紫雲さん家に到着。
外へも漂ってくる、食欲をそそる良い香り。
「ここが、紫雲さん家?」
「そうだけど。竜也は、紫雲さん家、初めてだったな」
「食堂も初めてだし、女子の家すら初めてなんだぞ」
「女子の家って言っても、この建物の二階が、居住スペースだからな?」
「ん? 何で、朔が紫雲さん家の、間取り? を知ってんの?」
「え!? あ、いや、あの」
ヤベェ。『二階に入ったことあります』なんて言ったら、色々勘違いされるに決まってる。
誤解を解くには、否。勘違いされないように、するためには、何て言ったら良い!
「二人とも、入らないの?」
ナイスタイミング、七海さん! 今の貴女は女神です!
「入ります! 行こう、竜也! 腹へったな!」
「お、おう」




