第八話 三
「竜也、動けるか!?」
「あ、あぁ……」
霊魔を見ることが出来ない竜也は、パニックに陥る可能性がある。
そうなる前に、安全な二階に連れて行かなければ。
『ギギャギギィ!』
「人ん家で勝手に暴れるな! 水術、水君!」
「何が起きてるんだよぉ!」
ピンポイントで、帳が降りているせいか、やたらと数が多い気がする。一体ずつ倒していると、キリがない。
「朔、どうなっているんだ!? こんなの、聞いたことないぞ!」
「ピンポイントで、家に霊魔が襲来してきてる。紫雲さんが来てくれるか、分かんないけど」
家の一階は、霊魔だらけ。廊下に出て、階段に行くまでも、霊魔がうじゃうじゃ。
「木術、花舞!」
霊魔の核を狙い打つ、白い花。邪気を吸って、紅くなっていく様は、何度見てもグロい。
「早く二階に! 先に行っててくれ!」
「朔は、大丈夫なのか?」
「俺は大丈夫。だから、安心して欲しい」
「そ、そうか」
階段を上がり、二階に着くと、部屋の前にも霊魔が二、三体暴れている。
お陰で、部屋のドアは跡形も無い。
『ギギャギギィ! ギギャア!』
『ギャギャギャギィイ!』
窓ガラスは割れて、外から風が入ってきている。
二階にも霊魔がいるなら、この帳を出ない限り、安全は無い。
「ここも何があったんだよ!」
「ここでも、霊魔が暴れているんだ。木術、花舞!」
二階にいた霊魔も、花舞によって、なんとか退治成功。
俺と星蘭だけで、帳が上がるまで戦わなければ。
どうする。二階にいても、霊魔が見えない竜也は、殺られるかもしれない。
「もう、何だってんだよ!」
「俺の部屋もダメらしいから、下に。そのまま外に出てくれ」
「ワケ分かんねえよ、もう!」
パニックになっている、竜也。
恐怖心が、霊魔に伝わってしまっては、被害は大きくなってしまう。
倒しも、次々に現れる霊魔。暴れているけれど、何かがおかしい。
何故、俺に攻撃してこないんだ? いつもなら、波動やら物理攻撃やら、してくるはず。
ボワンと、俺の足元に白煙が現れ、そこから星蘭が現れた。
二階に現れた霊魔と、対峙する。
『階下はもう、現れません』
「ありがとう。星蘭。お疲れ様」
『恐らくですが、朔殿』
「何かあった?」
『ご一緒の方の、負の感情が、呼び寄せたのかもしれません』
竜也の負の感情が、霊魔を呼び寄せた? 七海さんのことは、吹っ切れたはずなのに。
「まさか、また幻覚?」
『いいえ。これは、現実です』
「恋愛絡みだったりする?」
『霊魔の襲来による、破壊と恐怖。偶然降りた帳による霊魔は、階下のみ。こちらは、恐怖心により、呼び寄せられた者たち』
「どうしたら良い?」
『ご一緒に、帳の外へ。これ以上の襲来を防ぐには、それしかありません』
「分かった。ここは、任せる」
星蘭も同じ考えだったようで、何故か安心した俺。
パニックになっている竜也を連れ、階下へと急いだ。




