第八話 一
日曜日の今日は、雲一つない快晴だ。
セミたちは元気だし、空には入道雲がそびえている。
「七海さん、いた?」
「いたいた。トロンボーンやってた」
「マジかぁ。行きたかったぁ」
「竜也も、来ればよかったじゃん」
今日は、竜也が家に遊びに来て、昨日行われた演奏会について、話す。
「七海さんのこと、吹っ切れてないのかよ」
「吹っ切れてはいる。けど、七海さんに会う度に、何て言うかさ」
「そっか。色々大変だな」
テレビに接続して、映し出されているゲーム画面。
オープンワールドのハンティングゲームを、竜也に聞きながら、やっていく。
「コイツか。ん? これって、飛ぶヤツ?」
「確か飛ぶ。だから、地面に降りた隙に、攻撃な」
「竜也、コイツ倒したことあるん?」
「素材をゲットするために、五回くらいは討伐してる」
「プロじゃん。ヤバっ」
「ヤバくないし。ほら、攻撃くらうぞ」
俺が使っているのは、片手剣。少しでもヒット数を稼ぐため、近接武器を選んだ。
「コイツ、中距離攻撃してくんじゃん! 何で炎を吐くんだよ!」
「その炎攻撃に当たると、やけど状態になって、じわじわ体力奪われるからな」
「鬼畜じゃん! そんなヤツなら、ドン・フィギージャの方が良かった!」
鳥モンスターのくせに、ドラミングみたいな事をして、その後に放たれる火炎放射。目の前の一直線のみだけでなく、首を動かして広範囲に放射していく。
「ドン・フィギージャだって、毒攻撃してきただろうが。ほら、距離を取って、攻撃と攻撃の合間の隙を……」
「ああ! 飛びやがった。別のエリアに行ったのかよ!」
「違うエリアには、雑魚モンスターがウロチョロしてるから、このエリアで待機な。その間に剣、研ぐと良い」
「コイツ、何て名前だっけ? 攻略法調べたいんだけど」
「ドラミンドル。このクエストなら、初級クエストな」
モンスターが同じエリアにいないなら、その間に攻略法を調べていたって良い。
テーブルに置いてある麦茶を飲みながら、気長にドラミンドルが戻って来るのを待つ。
「そういや、望さんは? 出掛けてんの?」
「姉ちゃんなら、七海さんと出掛けてる。夕方まで帰って来ない」
「七海さんとねぇ」
「そう。結婚してから、会えてないからさ、たまにはって」
「良いなぁ~。俺も出掛けたいよ」
「ゲームに付き合ってくれるんだろ?」
「へいへい。付き合ってやるよ」
話していると、突然BGMが変わった。ザ・砂漠な曲調から、モンスター襲来の不穏な曲調。
「着地したら、炎攻撃してくる。なるべく距離を取って、攻撃を回避」
「回避アクションを使って、近づけないか?」
「それなら背後に回って、攻撃だな。せめて、ワナか肉でも置いておきたいけど」
「肉? 何の?」
「トナケルの肉とかあるじゃん。もしかして、狩ってない?」
「そいつら雑魚じゃん。狩る時間が勿体ない」
こうして、俺のハンティング缶詰コースが、幕を開けるのだった。




