第七話 九
「そもそも。どうして、こんなにいるんだよ」
『この神社は、霊魔の長が封じられていた場所。必然的に霊魔が湧いてしまうのです』
「ここ!? こんな近くにいたの!?」
『はい。ご存知かと思っておりました』
「知らなかった」
初耳情報。月夜神社に封じられていたなんて。こんな近くにいたのに、気づかなかった。
『ギャギギギギャア!』
『ギャアギギギ!』
俺たちに気づいたらしく、一斉に向かってきた、霊魔集団。ここは、使える術で挑むしかない!
『行きますよ、朔殿!』
「死ぬなよ、星蘭!」
『お互い様です!』
多勢に無勢とはこの事だろう。今の俺は、星蘭にとって足手纏いだ。だけど、紫雲さんたちがいない今、退治出来るのは、俺しかいない。
「火術、火炎!」
迸る炎。一体の霊魔を炎が包み込む。霊魔の姿が消えないから、核の破壊は出来ていない。
『ギャギギギギャア!』
「火術、烈火!」
ダメ元で振りかざした扇。ガシっと、捕まれてしまった。
「お前の核は、掌だろ! 残念だったなぁ! 火術、烈火! うぉぉぉお!」
グググと、俺と霊魔の攻防。先ずは一体。倒さなければ。
『ギャギギギギャア!』
「俺が、倒すんだぁ!」
パリン! ガラスが割れるような音が、帳の中に響き渡った。霊魔の姿は、溶けたように消えていく。
「やった。やった!」
『朔殿、まだ終わってはいませんよ!』
「ごめん! おわっ!」
浮かれていても、ここは帳の中。まだ霊魔が残っているから、ここは戦場。
『朔殿、木術は使えますか?』
「木術? やったことないけど」
『そうですか……』
「えっ、何? おっと。火術、烈火!」
『ツカエルヨウニナッテクダサイネ』
最後の言葉は、片言だったような? 星蘭を失望させてしまったかも。
「やってみるか。木術」
『ギギギャア!』
「木術、飛葉!」
扇から真っ直ぐ、勢いよく出てきた木葉たち。五体程の霊魔を、翻弄している。
『使えてますよ! さあ、ここから花舞を!』
「花舞ね。分かった。木術、花舞!」
木葉たちが、開花したばかりの、白く綺麗な花へと変わり、霊魔のそれぞれの核だろう。突き刺さっている。
この後どうなるのか、俺は知らない。
「ど、どうなるん?」
『見ててください』
見ていると、霊魔たちは次々倒れていく。すると、白かった花が黒く変わって、核が破壊された音が。これで、出現した霊魔の退治完了。
『花舞は、核の負の感情を吸い、破壊する術です。黒くなった花は灰の如く消え、霊魔も消えます』
「なんか、こういう花、アニメで視たよ」
『初めて、お一人で退治出来ましたね。お身体、まだ痛むのでしょう? ゆっくり休めてくださいね』
「ありがとう。星蘭。星蘭がいなかったら、俺は殺られてた」
『帰りましょう。さあ、お乗りください』
帳が上がったのを確認して、星蘭の背中に乗って、神社を後にした。




