第七話 三
「はーい。それでは、この物語に出てきた、言葉の意味を調べましょう。終わったら、プリントと辞書は持ってきてくださーい」
配られたプリントと辞書。辞書なんて、小学生の時に使ったくらいで、中学生の時には使う事すらなかった。高校生になってから、授業で使うようになって、面倒なイメージしかない。
えーと。いくつあるんだ? え? 十五個も? マジで!? 俺、調べるの、遅いんだよ!
その時、外から悲鳴が聞こえ、皆、窓の外に夢中。今の時間に体育をしているクラスがいるらしく、校舎に向かって走っているらしい。
「霊魔か?」
いや。嫌な気配はしないし、帳も降りていない。それなら、何故?
「ほらほら。皆さんは、意味調べしてくださーい」
柳瀬先生の言葉とは裏腹に、皆は外で起きている事に、夢中なまま。紫雲さんと話したくとも、席が離れていて、それは叶わない。
『朔殿。香楽からの言伝てです。霊魔が現れました。ボクたちが向かいますが、朔殿はどうなさいますか?』
窓の外に夢中な皆には、式神は見えていないらしく、紫雲さんが、式神の乱麻を呼んだ。俺への言伝てがあるらしい。
「俺には、紫雲さんみたいに、紙人形を持っていない。星蘭だけでも、いいかな?」
『構いません。呼び出して頂けますか?』
「分かった」
ポケットから紙人形を取り出し、バレないように、息を吹き掛ける。床に落ちた紙人形から、柴犬の式神、星蘭が現れた。
「星蘭。俺は行けないけど、紫雲さんと霊魔を退治してきて欲しい」
『承知。では』
姿を消した二匹の式神。紫雲さんは、紙人形に姿を写したらしく、席に座っているのは、紙人形。
でもおかしい。俺には、霊魔の気配は感じないのに、紫雲さんは感じていた。帳も降りていないのに、どうして。
「テストに出る範囲ですよ~。赤点になっても知りませんよ~」
なんて、柳瀬先生は言っているけど、窓の外に夢中になっている奴ら全員の授業態度の成績をがっつり下げているはず。
連絡用のチャイムが鳴り、外で起きている事象に関する連絡が入った。
『グランドにて、つむじ風が発生しました。現在も消えていません。しばらく経つと消えるようなので、皆さんは、授業に集中してください』
つむじ風か。それなら、起こる可能性があることだし、気にすることでもない。でも、つむじ風と霊魔の関係はないだろう。
「もしかして、地中?」
そうだ、前にもあった。でも、その時は霊魔の気配は感じていたはず。経験の差ってやつなのか? 俺には、分からない。
「もうすぐ終わりますが、意味調べ終わった人は、いますか~?」
あと十分。でも、あと二つで終われる。余裕だったな。




