第六話 結
「お待たせしました~。ウーロン茶二つと、チャーシュー麺と味噌ラーメンです。ごゆっくりどうぞ~」
運ばれてきた、ウーロン茶とラーメンたち。この後、竜也は、泣き崩れてしまい、しばらくは食べないはず。
「なんかさ、失恋したのが初めてで、このモヤモヤした気持ちが、何なのか分かんねぇけど、俺は、七海さんが好きだ」
「気持ちに、正直になった?」
「たとえ、結婚されても、俺は七海さんを好きでいたい」
「それは、良かった。落ち着いてるようで、なにより」
幻覚の時とは大違いだ。呪いとなってしまった、失恋の感情が、竜也を支配していたんだろう。
「朔は、紫雲さんとどうなんだよ」
「どうって?」
「いつも一緒にいるじゃん。付き合ってる説、周りで増えてるけど」
「グフッ! えっ、何で? ゴホッゴホッ!」
チャーシュー麺を食っている最中に、それはやめろ。呪いは祓われ、幻覚は解かれただろうが!
「で、付き合ってんの?」
「友人。異性の友人がいたって、誰も文句は言わないだろ」
「呪われないのか?」
「紫雲さんは、人を呪うような、邪悪な人じゃない。そもそも、霊魔に襲われたって、時戻しで……」
おっと、いけないいけない。これ以上は、竜也には教えられないことだ。
「とき、何?」
「何でもない。チャーハン追加していい?」
「どうぞ」
「すみませーん。チャーハン追加で!」
「食欲旺盛だな。朔は」
「いつも通りだろ?」
幻覚で見た内容と、現在の状況が違うということは、この後のゲーセンでも、カラオケでも、霊魔は現れないはず。
「夢の中だったか、忘れたんだけどさ。朔が『失恋は次の恋への、寄り道』って言ってたんだよ。朔に言われたのが、なんか悔しい」
「悪かったな。夢の中の俺が、そんなこと言って」
「悔しいけど、感謝してる。気持ちに正直になれたのは、朔の言葉があったから」
面と向かって言われると、恥ずかしい。あの言葉は、姉ちゃんの受け売りだし、呪いを祓うために言った言葉。
「感謝されるような言葉を、言ってはいない。でも、感謝されてるなら、餃子頼んでいい? あと、ウーロン茶おかわり」
「俺の奢りだからって、食いすぎだぞ。朔」
「ゴチになります! 竜也さん!」
「仕方ないか」
何回も繰り返した一日を、これで終われる。この後はカラオケにでも行こうか。日頃溜まったストレスの発散をするために!
「ラーメン食った後、カラオケとゲーセン、どっちにする?」
「もちろん、カラオケだろ。ゲーセンだと、竜也に負けまくる俺が、想像できるし」
「じゃあ、ゲーセンだな。ボコボコにしてやるよ」
「カラオケって言っただろうが! 好き好んでゲーセンとは言ってない!」




