第六話 二
ラーメン屋を出て、これからどうしようか。ゲーセンにするか、カラオケにするか、迷う。
「朔は、この後用事ある?」
「ない。ゲーセンかカラオケだろうな。行くとしたら」
「近い方って、ゲーセンか」
「失恋記念に、一緒にプリクラ撮ってやるよ」
「記念って何だよ。男同士で、プリクラは撮りたくない」
「まぁ、行こうぜ。日曜だし、混んでそう」
ゲーセンに向かって、歩きだした俺たち。人通りも車通りも、多い日曜日。それでも、今日は霊魔の出現がない。
「今日は遊びまくるぞ~!」
「俺より朔が、ゲーセンに行きたかっただけか」
「最近、ずっと遊べてないからさ、遊べる日は貴重でさ」
「バイトでもしてんの?」
「いやいや。霊魔退治があるからさ、毎日練習してんだよ。まだ使えない術があるし」
「何か、そこまで言われてくると、信じなきゃいけないみたいじゃん」
「だから、ホントなんだって」
霊魔が見えない竜也には、分かりあえないのが、現状。一度、学校の襲撃を受けていたけど、それも、何かの陰謀だと思われている。
「さてと。両替したら、何からやる?」
「え? 何が?」
「いやいや。ゲーセンに来といて、遊ばないとか、それはない」
「アメ取りまくって、プリクラ撮るだろ。あと、クレーンゲームで取れなくて、散財するから、あれはやらない」
「朔が下手なだけだろ。俺、DDRやるけど、朔はどうする?」
「このゲーセン、DDRあったのかよ! 俺もやる!」
ちょうど空いてたところで、曲を選ぶ。その曲は、誰もが知っている、有名男性アイドルグループの、デビュー曲。竜也と勝負だ。
「俺、DDR初めてだわ。竜也は?」
「俺は何回かやってる。初心者の朔には、負けないけどな」
「やべぇ。緊張してきた」
「何でだよ」
ラップから始まるこの曲。ムズい。あ、間違えた。足動かねぇ! あ、ああぁ……。
「終わった……。ムズくね? DDRってこんなもん?」
「初めてにしては、良いスコアだと思うけどな。まぁ、場数による」
「今度また勝負な!」
「その時も俺が勝つけどな」
息が上がって、思うように動けない。そんな時に、嫌な気配が、強く感じられた。
「竜也。怪我したく、なかったら、ここから動くなよ」
「何で? 何かあんの?」
「霊魔が近くに現れた。ここにいてくれ。いいな」
無理やり体の動かし、ゲーセンを出る。でも、帳が何処にも降りていない。まさか、地中? いや、地面から何も感じない。何処に帳が降りている?
「何処にいるんだよ!」
何度見渡しても、帳が降りている気配がない。霊魔の気配は感じるのに、何で。
「朔! どうしたんだよ!」
「竜也。霊魔が出たんだ。ここにいてくれ。お願いだから!」
「止めても無駄ってやつか」
ガタガタガタ! ゴゴゴゴ!
帳が上空で降りて、地面が大きく揺れた。竜也がゲーセンから出てきてしまい、このままでは戦いにくい。
それに、通行人も何人か巻き込まれている。響き渡る悲鳴。逃げ惑う人々。
地中から霊魔が現れ、コンクリートの破片や土煙が舞う。そんなことはお構い無しに、霊魔は連撃を繰り出している。
『ギャードゥー!』
「どうなっても知らないからな!」
「朔! 何なんだよ、あれ!」
帳の中では、霊魔が見えるのか。竜也は、黒くてデカい霊魔を見て、恐れおののいている。
『ギギャギギギャ!』
黒い波動を辺りに放つと、通行人も竜也も、倒れてしまった。急いで式神の星蘭を呼び出し、帳の外に運び出してもらう。俺はジーンズのポケットから扇を取り出し、臨戦態勢。
「倒れている人たちを頼む!」
『承知。ご無事で』
「うん。水術、水君!」
波動を放ったあと、少し動きが鈍った。その隙に、動きを封じて、核を破壊する。被害を最小限に、するためにも、深く考えてはいけない。
「水術、飛沫!」
勢いよく大量の水が弾け飛ぶと、跡形もなく霊魔は消滅。と、思いきや、クモのような姿の霊魔が、水の中から現れた。飛びかかってくる霊魔。接近技でなければ、倒せない。
「火術、烈火!」
飛び掛かってきた霊魔、向けて扇を勢いよく振り下ろす。炎に包まれた刃のように扇に炎が燃え上がり、頭にあった核を、烈火による攻撃で、破壊出来た。
「空木君!」
紫雲さんが駆けつけてくれた時には、霊魔を倒した後。
俺は初めて、霊魔を倒せたんだ!
「ごめんね。お店が混んでて、助太刀出来なかった」
「大丈夫。俺、一人で倒せたよ!」
「そうみたいだね。おめでとう! 凄いよ!」
「ヤバい。今の俺、何でも出来そう!」




