第四話 七
俺が紫雲さんと練習している間、姉ちゃんは晴斗さんの部屋に運ばれ、寝ていたらしい。
起こす為、晴斗さんと共に部屋に向かうと、寝不足なのではないかと思うほど、良く眠っている。
「姉ちゃん、帰るよ」
「んん~。もう少し……」
「姉ちゃん! 起きろ! ほら、迷惑かけるから!」
「あとちょっとだけ……」
酔って眠った姉ちゃんは、なかなか起きてくれない。起こす方は、気力と体力を奪われるだけ。
「はぁ。せっかく、揚げたてホカホカの唐揚げ、買ったのに。姉ちゃん起きないなら、俺だけで食べよ~」
バサッ! と、勢い良く起き上がった姉ちゃん。
「なんだと、朔きゅん! 望さんに隠れて、揚げたての唐揚げだと!?」
「やっと起きた。食べたいなら、帰るよ」
「ラジャー!」
酔いが醒めても醒めなくても、姉ちゃんのテンションは変わらない。
晴斗さんがいるにも関わらず、変なテンションのままだ。
「のぞみん、おっはー」
「おっはー。晴斗君。ベッド借りてしまったぜ!」
「お騒がせしました。姉ちゃんの介抱までしてもらっちゃって」
「全然、大丈夫。のぞみんの酔った姿も見れたし。俺的には、特した気分。唐揚げ、熱々のうちに食べてくれたまえ! のぞみん!」
「ありがとよ! 晴斗君!」
グッ! じゃないんだよ。この二人、性格似てるな。
「あ、そうだ。朔君」
「何ですか?」
「この前、キミんちの辺りにいた霊魔のことなんだけど、恐らくまた現れる。その時は、キミに任せる」
「分かりました。でも、俺が使える術は、火術くらいです」
「それでも良い。俺たちだって、時間掛かってた。非術師のキミが、短期間で使える術があることは、凄い」
「凄くなんかないです。帰ったら、火術の練習をしなきゃいけないので、完璧に使えるわけでもないです」
まともに使える術はない。だけど、俺は五行術師の端くれ。だけど、俺だけで対峙しなければいけない時が、いずれ来るんだ。
「お邪魔しました。紫雲さんは、食堂ですよね」
「うん。香楽なら下にいるけど。まだ何かある?」
「いえ。また学校で会えますし、その時に聞きます」
「忘れる前に渡しとく。はい。これ」
晴斗さんから手渡されたのは、正方形の白い紙。
小さい折り紙くらいの大きさで、何やら陣が描かれている。
「これ、何ですか?」
「式神の召喚陣。式神を呼び出したい時は、その紙に息を吹き掛けるんだ」
「でも、俺にはまだ必要ないんじゃ……」
「忘れる前に。だから。いいね?」
「そう言うことなら、ありがとうございます」




