第三話 五
帰り道。気になっている事を、聞いてみた。
「風吹って鬼じゃん。何で、五行術師をやってんの?」
「風吹さんの過去はよく知らない。だけど、風吹さんが使っている術は、鬼刀術。刃で霊魔を退治するの」
「えっ。じゃあ、風吹は術師じゃない?」
「そう言うこと。それに風吹さんは、鬼と人間の混血の鬼人なんだよ」
「鬼と人間のハーフ……。そんな生物が存在するんだ」
数多の妖が存在したと云われる、かつての日本。鬼も存在し、その世界には人間も存在していた。
生物学上、全く違う生き物同士ならば、その子孫は残らない。
「摩訶不思議な事が起きるんだね~。風吹がその一端だとは、驚くしかない!」
「風吹さんの場合、元々は純血の鬼だったんだけど、霊魔によって深手を負って、助けてくれた人間たちの血が混じってる」
「どゆこと? そんなことあるん? てか、助けてくれた人たちを、食べたとか?」
「輸血みたいな方法。鬼の傷は、人間の血肉を食らうと癒えるらしいけど、実際は人間の血を体内に入れる事によって癒えるらしいよ」
世の中、不思議なことばかり。何が本当なのか、誰も分からない。科学や生物学が全てじゃないんだ!
「お、来たね~。お二人さん。仲睦まじいようで、なにより!」
「姉ちゃん?! そんなんじゃないから! てか、餃子は? 作ったんだよね?!」
いつの間にか、家の前に着いていた。話ながら歩くと、時間が早く感じる。
玄関前で、姉ちゃんと紫雲さんのお兄さんと、遭遇。
「か~ぐ~ら~? 空木朔君とは、どういう関係なのかなぁ?」
「お兄。いい加減、空木君の呼び方変えてよ。それに、彼とは友人。それ以外の関係なんてないから」
「そうですよ! お兄さん!」
「君に『お兄さん』と呼ばれる筋合いはない!」
ですよね!! 何を言ってるんだ、俺!!
「ほらほら。中に入って! 餃子パーティーの開幕だぁ!」
姉ちゃんは相変わらずで、俺たちを無理矢理、玄関の中へ押しやる。
中は、ニラと肉とキャベツの匂いで充満。
「姉ちゃん、換気扇回してた?」
「当たり前でしょ。この望さんが、換気扇を忘れる事あった?」
「何回かあったよね? もう、常習犯じゃん」
「今からでも遅くはない! はず!」
いやいや、手遅れだろ。なんて言葉を聞く前に、キッチンへ直行した姉ちゃん。
紫雲兄妹をリビングダイニングに案内し、俺もキッチンへ。
急いで回した換気扇は、ほぼ意味をなしていない。
「これとこれは……。あー、冷めてる。朔。レンチンしといて。あ、水餃子温め直さなきゃ」
「揚げ餃子は? 時間経ってるでしょ?」
「それもよろしく。ラー油は、何処に置いたかな。あったあった」
「醤油とお酢は? 無いとダメでしょ」
「もう向こうに持ってった。小皿も箸も向こうだし、あとは、主役を待つだけだ!」
餃子パーティーは、空木家の半年に一度の、恒例行事。
焼き餃子、水餃子、揚げ餃子の三種類を、作ったり買ってきたり。
今回は、紫雲兄妹を招いての、賑やかなパーティーになるだろう。




