第ニ話 結
「どうぞ~。適当に座って」
姉ちゃんが気をよくしてしまい、紫雲さんご一行が、家でご飯を食べて行くことになった。
「風吹さんでしたよね。お久しぶりです。相変わらず、五行術師みたいなこと、してるんですか?」
『まぁな。それにしても、望も変わらないな』
「えへへ」
風吹とも知り合いなのかよ!? 俺の知らない所で、知り合ってたのかよ!!
「のぞみんは、何の仕事してるの?」
「保育士。すぐそこの、保育園で働いてるのだよ。晴斗君は?」
「俺の聞いちゃう?」
「聞いて欲しいんでしょ?」
ここでイチャつかないで~。
俺の心の叫びよ。この二人に届け。
「空木君。ちょっと、良いかな?」
「何?」
「ここに、居たくない」
「だよね」
お互いの姉と兄がイチャついてる場に、居たくない。
それは、紫雲さんも同じだったようで、とりあえず二階の俺の部屋へ。
誰にも邪魔はされないだろう。
「お、お邪魔します」
「どうぞどうぞ~。汚いけど、適当に座って」
「あ、はい」
紫雲さん、戸惑ってる? 何か、変な感じになってる。
「あの。空木君」
「何?」
「どうだった? 術を使ってみた感想は?」
「うーん。紫雲さんのお兄さんから護符を貰って、術を使ったけど、不思議な感じだった。あ、そこ座りなよ。疲れるでしょ」
「えっ、あ、お邪魔します……」
「紫雲さん? 何か変だよ?」
「そんなこと、ないっ。はず……」
顔が赤い。熱でもあるのか?
「紫雲さん、熱でもある? それとも、暑い? この部屋、クーラーないからさ」
「大丈夫。大丈夫。ただ、他人の男の人の部屋には、入ったことなくて……。初めてで」
あー、そう言うことね。何か、納得出来る。
「男の人の部屋に入ったら、襲われるとかなんとか、聞いたことあるし……」
「俺は、襲わないから!! そんな簡単に、手ぇ出さないから!! 信じて!」
「空木君は、そんなんじゃない。分かってる」
良かった~! 何かよく分かんないけど、良かった!
紫雲さんとこうして、二人で話すことが増えてきたけど、俺の部屋で話すのは初めて。
俺まで緊張してきた。何か話さなきゃ。
「朔~。ご飯の用意出来たよ~。妹ちゃんもおいで~!」
姉ちゃん、ナイスタイミング!
この匂い、おそらくハンバーグだ。昨日の夜に、ミニハンバーグを幾つも作っていたから、焼いたのだろう。
「行こ。紫雲さん」
「うん。妹ちゃんか。そっか」
「紫雲さーん。行こ、お腹空いたでしょ」
階段を降り、リビングに行くと、ミニハンバーグが山盛りで大皿に盛られていた。
これは、大盛の挽き肉が、安売りされていたな。
「お、来たね。妹ちゃんは、サラダにかけるドレッシングは、どれが良いかな? フレンチ、胡麻ドレ、青じそ。あと、ポン酢もあるよ」
「フレンチでお願いします」
「はーい。晴斗君、冷蔵庫から、フレンチドレッシング出して」
「あの。お姉さんは、どうして、兄と別れたんですか?」
おおぅ?! 紫雲さんは、それが気になるのか。
まぁ、俺も気になるけど。
「えっとね。本当は、別れるつもりはなかったの。ただ、他の男子たちがね」
「のぞみん、モテてたんだよ。他の男どもが、俺たちの交際を邪魔して、のぞみん泣いてさ。もう涙を見たくなくて、別れた」
キッチンから来た紫雲さんのお兄さんも、姉ちゃんと一緒に説明してくれた。
『人間は、食わなければ体力が持たない。さっさと食ってから話せば良いだろう』
「そうだよな。風吹の言う通り。これ、一人何個食って良いの?」
今晩のご飯は、楽しくなりそうだ。




