第ニ話 七
先ずは、相手の動きを止めるか。いや、そのまま攻撃?
どうしたら良いんだ。ゲームならば、考えたって良いけど……。
いや、考えてる余裕はない。何かされる前に、動きを止めよう。
『ギギャァギギャァ! フルードゥー!』
「やべっ!」
全てを破壊しつくさんと、勢いよく振りかざされる、霊魔の拳。
寸での所で運良く避ける事が出来た。
「金術、金縛り!」
直ぐ様霊魔に向かって、動きを封じる術をかけると、お札が付いた有刺鉄線のような縄が、霊魔を縛りあげている。
『ギャアァァァ!』
もがく霊魔。埃や建物の破片が舞う空間で、俺は霊魔と対峙。
「なるほど。中々の出来だね。さぁ、次はどうする?」
紫雲さんのお兄さんが、片隅で見ているんだ。
ゲームなら、敵の弱点が分かるけど、霊魔に弱点なんてあるのか?
「あのっ。霊魔の弱点はありますかぁ?」
「霊魔には核がある。人間でいうとこの、心臓。それが弱点。核を破壊するんだ」
「分かりました!」
「助言するとしたら、核は霊魔によって場所が違う。今は、身体全体に攻撃すると良い」
全体を攻撃。それなら……。
『フルードゥー!』
ブチンッ!
動きを封じていたけれど、それは束の間。激昂している霊魔は、俺の術を簡単に破った。
まぁ、まだ術師じゃないしね。一時的に封じただけでも、上出来だよな。
『ギャアァ!』
霊魔が右手を横に振ると、勢いよく、俺に向かって風が吹いてきた。
その風を避けるが出来ず、流れのまま、俺は体育館の壁に激突。
「ぐわっ! っく!」
背中を勢いよく打ち付け、更には上からコンクリートの破片が落ちてきた。
何か、赤い液体が、視界に入っている。
「水術、水君!」
意識が再び飛びそう。遠退く前に、少しでもダメージを与えたい。
扇から出てきた、洪水以上の大量の水が、霊魔を飲み込む。
「はぁはぁ。やった、のか?」
霊魔がいた辺りから、何の動きも見られない。
と、言うことは……。
「油断しない方が良い。まだだよ。空木朔君」
紫雲さんのお兄さんの声。
まだ、退治出来ていないのか……。
バシャン!
大きな音と共に、大量の水は消え去った。
『フルードゥー! ギギャァ!』
ウソだろ。あの水にのまれても、霊魔は生きている。あの大量の水を以てしても、核は破壊出来ていない。
『ギギャァギギャァァ! フルードゥー!』
霊魔は雄叫びと共に、右手に長槍を出現させ、俺目掛けて一直線に跳んできた。
振りかざされた長槍。
なす術はない。
命の覚悟を、ここで決めることになるとは、思いもしなかった。
姉ちゃん、ごめん。




