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ニューゲームはハードモード  作者: 笹葉きなこ
第一章 風の神殿
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クエスト受注

 パンシさんが暮らしている森でサルのモンスター、『マカキル』が大量発生してしまったので退治してほしい。少し林道を離れて歩くだけでマカキルの群れと遭遇してしまうので、全然仕事にならない。普段の少量なら自力で何とかなるが、大量発生した複数の群れと遭遇することを考えると、のこのこ山中を歩くこともできない。

 普段のマカキルなら刺激をしないように気を付けて逃げれば、問題なく逃げ切れる。しかし群れの数が増えて、縄張り争いで気が立っているマカキル相手となるとそうもいかない。少し姿を見せるだけで襲い掛かってくる。


 自分1人なら鍛えていることもあって、小規模な群れくらいなら退治まではできなくとも、追い払うことくらいならできる。ただ、それを日に何度も行うとなると体力的にも厳しいし、仕事にならない。

 さらに、パンシさんには家族がいる。今も森の中の家に妻と息子を残して来ている。この環境だ、戦力がない二人が林道を普通に歩くこともままならないだろう。

 ここから冒険者ギルドのあるベグニのまでは半日以上かかってしまう。すると依頼の受注は明日以降になってしまって、実際に冒険者が討伐に来てくれるまで2日以上かかってしまう。

 退治が終わるまで家にこもっていてくれといったが、そんな拘束時間は短ければ短いほうがいいに決まっている。


 このマカキルは、おそらくクストの森から避難してきたマカキルだと考えられ、避難の原因となった『イノイノ』を退治できた私たちなら問題なく対処できるだろう。だからここで私達に依頼を出したい。


 流れとしてはこんなところだ。


 そして肝心の依頼内容について。


 パンシさんの住む森に流れ着いたマカキルの群れをいくつか全滅させてほしい。魔物なのでの群れを全滅させてもそのうち自然発生するが、別の魔物が増えても困るので、10個くらいの群れを退治くれれば助かる。クストの森の生態系巨大イノイノによって崩れたように、マカキルをすべて討伐してしまうと環境が変わる恐れがあるので、群れの数は減らしすぎないようにしたい。

 ということらしい。


「どうか、頼まれちゃくれないか?」


 報酬はちょっと色をつけるからさ、と付け加えながら不安そうに言葉をつづけるパンシさん。


「もちろん! いいよね? 奈々ちゃん?」

「うん、もちろん」


 私は即答する。

 それはそれとして、了承の意を示してから私に判断を委ねるのはやめてほしい。……あと、その奈々ちゃんなら受けてあげるよね? という目もやめて欲しい。そんな目で見られなくても当然受けるって。

 パンシさんには1晩面倒を見てもらった恩もあるし、……何より困っている人を見捨てるのはよくないと思う。


 私の回答にやっぱり、といった様子で安堵する川田君に対して、不思議そうな表情を浮かべるステラ。


「いいのか? クリスト山に向かう方向から大分それるから余計に時間がかかっちまうぞ?」

「うん、助けてもらったし。やっぱり受けた恩は返しておかないと。ステラだってそうするでしょ?」

「……確かにな」


 少し考えた後、ステラは納得した様子でつぶやく。

 うん、やっぱりステラはいい子だと思う。盗みをやっていたことは褒めらたものじゃないけど、お世話になったベリー家に迷惑をかけないようにしようというのはいいこと……なのだと思う。


「おぉ、皆さん! ありがとうございます!」


 そんな私たちの様子を見てお礼を言うパンシさん。


「そうと決まれば、早速向かっちゃおうぜ!」


 ということで、少し急ぎ目でパンシさんの暮らす森へと移動を始めた。


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