第5話 王都への道のりの中で
と言う訳で、俺はウェアントと呼ばれる国の王都へと向かった。歩きだと、1時間くらいで着くらしい。
今俺達は、王都に向かっている。取りあえず動かなくては何も始まらない。王都にある冒険者ギルドへと行こうとしていた。聞けば彼女自身は冒険者らしいので、同行させてもらうことにした。
「待ってくれ!どこに行くんだ?」
「どこって・・・王都に帰るんだけど」
その場を去ろうとする彼女に必死に問いかける。
「俺、王都に行きたいんだけど・・・」
とっさの思い付きで言ったことだが、これが後に運命を変える事になる。
「え!どこか、用事があるの?」
そう言ってきょとんとした表情で、言ってくるシルフィーに答える。
「ああ、ちょっとその・・・冒険者になってみようと思う」
「え!でも」
驚いた顔はしたが、それを拒否するように言われた。
「でっでも、私といるとその・・・とにかく貴方と一緒にいる必要はないわ」
そう言って言ってしまおうとする彼女を引き留める。
「部活で、少しスポーツをやっていたな」
大したことも無いのに、胸を張って自信満々に言った。でも此処でチャンスを逃したら次はない。かなり適当な事を言ったが何とか振り向かせることに成功した。
「すぽーつ?それってすごいの?」
「まあ、冒険者にはなれるレベルだと思うよ」
「でも貴方、ワイバーンに襲われて・・・」
「あっあれは少しやばかったかも知れない」
図星を突かれたが、何とか王都まで連れて行って貰わなければ!
元の世界の単語は通じないのか?だがこれが疑問だ。普通に言葉は通じる。
と言うわけで、俺は王都へと向かった。歩きだと1時間くらいで着くらしい。俺はシルフィ―と道中で話した。この世界のことについて色々と情報を仕入れた。
「頼む!王都に連れてってくれ!」
俺は手を合わせてお願いする。その熱意に負けたのか、彼女はと向き合った。
「その言動も行動も、なんかおかしい所が多いというか・・・ユートはどこから来たの?」
ああ、異世界人なんか言ったら、頭おかしいと思われるか?
「日本から来たよ」
「二ホン?聞いたことない名前の国ね?ゲネボデラ山脈の方から?」
ゲネボデラ山脈?恐らく、遠方に映る銀嶺の山々の事だろう。
「ああ...そっそうだ」
そう言って、俺は歩き出した。
彼女が持っている革製のバッグを指して言った。
「それは?」
「クエストで採取して来い行って言われた、魔鉱石」
「持とうか?」
あまりに、重そうだったので持ってあげることにした。
「え!でもこれは、過去の歴史の遺物らしいのよ。でも貴方に持ってもらうのも悪いかなって」
「いいよ、持つよこのぐらいさせてもらってもいいだろう」
「あっありがとう。でも私といると迷惑かけちゃ・・・」
「大丈夫だよ」
シルフィ―の言ったことをかき消すように、早速俺たちは歩き出した。
取りあえず、誤魔化して、この世界の情報を少しだが手に入れた。まず、第一に魔法のことだ。
「ねえ、さっきの奴を追い払ってくれたのって?」
「ああ。私は、風の適正だから」
「適正?]
「魔法適性のこと」
魔法?その魔法ってのが気になるのだが。ファンタジーにしかないと思っていたのだが。そんなものが存在する世界だったのか。シルフィ―は、風って言った。
「つまり風魔法が使えるのか?」
「うん。そう、私は魔力の還元量は高いの。エルフだから」
つまりは風以外もあるってことか。中二病の暗黒時代を持つ俺にとって魔法は憧れたものの一つだった。予想するにあと火、水、土もあるかもしれない。だがもっと魔法はカッコイイと思っていたんだが、ただ自然を操るのか?仕組みが、今一分からない。だが、魔法がある世界に来てしまったことは、事実だ。
なら、
「俺にも魔法は、使えるかな?」
かすかな、期待を込めてシルフィ―に聞いてみた。
「うーん。王都に行ったら、調べてみたら?」
シルフィーは首を傾げて言った。
「え。分からないの?」
「魔力は、全ての生命に宿るから」
まじか、俺にもチャンスはあるのか。
聞いたところ、適性は誰にでもあるらしい。
「この世界に来たのも、悪くないぜ!」
俺は、喜びを込めた声を漏らした。この世界も、案外悪くないと思う、せっかくこの世界に来たんだ。
「もうすぐね」
そう言って、彼女が指した先には、20メートル程の壁に囲まれた中世風の都市が雄大に広がり、その範囲は見渡す限りだ。
上に行くにつれて豪華そうな家が立ち並び、山の上に建造された王国だという事が分かる。そのてっぺんには、堅牢な城が聳え立っていた。そして、大きな赤い旗が風にバタバタと煩いくらいにたなびいていた。
俺達は、検問所という都市全体をぐるりと囲んでいる壁に、東西南北一つずつある、四つの検問所のうちの一つ、グイアル西検問所へと着いたのだった。
正門はあるが、まずは取り調べが先らしい。
検問所の入り口には、赤地に黒いドラゴンらしき生物が火を噴いている絵柄の紋章が、揺らめいていた。