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ダークウィザード 邪精霊の契約者と風のエルフ  作者: テヅルモヅル
第1章 ウェアント王国 冒険者編
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第1話 プロローグ 戦いの幕開け

小説書いてます。まだ全然誤字脱字はあるので、まだまだ未熟者ですが2話目以降も是非よろしくお願い致します。ダラダラと長いですが、どうぞ最後まで見て行ってください。

「すべてを破壊し、深淵(しんえん)より()でし、漆黒の闇。我が力となりて現出せよ!!」

俺は詠唱し、右の手を突き出して闇の魔法を発動した。


「ダークネスフレア——————————!!!!!」



前に突き出した右手から出た黒い波動は辺りを包み込む。その威力を物語るかのようにビリビリと大気を轟かせ、大地を(えぐ)った。


今、戦いの線上にいる。とある目的のためにひたすら戦っている。


思えばずっと、羽ばたきたかったのかも知れない。その日をずっと待っていた。つまらない現実に。何もなかった毎日に。あの頃は完全に世界を嫌っていた。何度思ったか、数えきれない位だ。何時(いつ)か退屈なこの世界を飛び越えて、別の世界で生きたいと。昔の俺はなんと馬鹿だったことだろう。


あの時、あの場所で・・・時空間の裂け目によって転移して、俺の運命が変わった。時折思うことがある。なぜ自分が、この世界に呼び出される羽目になったのか・・・。



***************************************



空はいつの頃らか闇が覆い尽くしていた。周りには、無情にも殺意を向けてくる赤い目の無数のアンデッドたち。巨大なオオカミのような魔獣、黒い大蛇、角の生えた悪魔、後ろには血に飢えたドラゴンの姿もある。一言でいえば、『魔物』だ。


「囲まれたか!」

周りの『魔物』は今にも襲いかかって来そうだ。俺は腰の黒い鞘に覆われた剣の柄頭に手をかけた。


「ふっ・・・」


「キェェェェェ!!!!」

その叫び声と共に無数に空を埋め尽くす多数の小型のドラゴンが飛んで来るが、攻撃はしてこない。ただその上に立ち尽くす、茶色いローブを被り、炎の塊を手に持つスケルトンの姿が見られる。骨は黒ずみやはり目は赤い。奴がこの部隊の指揮官で間違いはない。


指揮官が手を上げ、合図すると統率のとれた軍隊の様にドラゴン達が一つの生き物の様になる。その中に、一際大きく、明らかな存在感を持った一匹のドラゴンがいた。地球でもこうした統率力に()けた生物は存在する。蟻やイワシ、ハダカデバネズミなどがその例だ。


「リトル・ドラゴン・クイーンか!」

小さなドラゴン達の女王は紅い火花を散らした。確実に危ないと確信した俺は右腕を上に突き出し詠唱する。


「我が現身(うつしみ)の漆黒は、破壊へと導く思念の混沌となりて我が前に無限の領域となれ!!!」

詠唱を完了させた俺は、目前に迫りくるドラゴンの女王に構わず魔法術式を発動させる。


「ダークネス・インフィニティ・フィールド!!!!」

ドラゴンの女王は地上に業炎をまき散らすも、俺にダメージは入らない。


炎は放たれたが、その瞬間、俺の右腕から霧が出て黒い炎を(まと)った。


その黒い炎が一旦上空まで放出され、自身を包み込む。黒いエネルギーに直撃したドラゴンからの炎は、ゴーという音を立てるが、黒い炎は通常の炎の直撃を受けても全く動じず、もはや黒いエネルギーの前には歯が立たない。敵からの炎はその黒い炎を包み込むようにして消し去った。


「ふう。何とか防いだか?」

炎を消し飛ばした俺は、次の戦闘態勢に移った。



「厄介なのはアンデッドと高位のドラゴンか。」

地上にいる自分の部下たちに合図をして攻撃させようとする。下位のアンデッドたちには意思などはない。ひたすらに怒りや憎悪といった負の感情によって動かされる。もはや歩く人形と化し、殺戮(さつりく)を繰り返す。アンデッドだけではない。


「ヴァァァァァ!」

「グルルルル。」

「キシャ――!」


あちこちで(おぞ)ましい声がする。今まで待機させていた闇の軍勢が俺の周りを囲む。もちろん逃げ場は存在しない。いくつかのスケルトンやオオカミは襲ってはくるが。


「やるか?」


そう言って俺は右腕を突き出し、魔法の発動領域内に入り込んだ10体の...鎧を身に着け、多種多様な武器を持ったスケルトンを片っ端から闇に葬り去った。



ガシャンガシャンと鎧と骨が(こす)り合う独特な音を鳴らしてこちらにひたすら襲ってくるスケルンの猛攻を華麗に交わし、そこから一気に自分の魔力をある程度抑えて放出する。


「闇に生まれし者は闇に帰れ!!!!」


ドラゴンの炎を防ぐときに使った魔法のように自分を守るために加えられた術式ではなく、単に自分の魔力を放出だけで闇のエネルギーは黒い炎のようになる。複数のスケルトンは跡形も無く消えた。


この調子で領域に入って来たスケルトンを複数相手取る。次の攻撃を防ぐために、スケルトンの足下に潜りこんだ。その足を蹴るとバランスを崩して一気に近距離で魔力を手から放出させた。


無条件に襲い来るアンデッドを容赦なく中位魔法の詠唱を短縮して消し飛ばす。もちろん適正は闇なので威力は抑えなければ簡単に山一つは消し飛ばす程だ。だが、雑魚(ざこ)相手に時間はかけられない。これから幹部クラスと戦うのだから。それにしても数が数だ。


「ヴォアアアア―――ッ!!!」

巨大なトロールが襲ってきた。筋肉質な体つきと俺の軽く4倍はあるバカデカい身体(からだ)に3メートルほどの斧を振りかざした。


「っく、まずい!!!近接攻撃か!!」

巨大な斧の打撃で地面には亀裂が入る。流石の俺でも避け切るのが精いっぱい、俺はバランスを崩す。


「ぐはっ!」

危うく防御の姿勢を取ったが、5、6メートルは確実に吹き飛ばされた。そのトロールを倒すべく、すぐに立ち上がるがその直後風で飛ばされた。さらに高位のスケルトンが加わり、本格的な戦闘が始まった。




「この闇の軍勢が全て奴の配下だとは…。」

これ程までに強大な力とは、さすが魔王と言われたというべきか。


「クソ。いくら殺っても変わらねえ!まさに、『ヴィラマストンの聖水』のようにウジャウジャ湧いてきやがる」

ヴィラマストンの聖水とは、ヴィラマストンと呼ばれる女神の泉から無限に湧き出る聖水を指す。


かつては綺麗な平原が広がっていた土地も荒らされ、黒い古城の前の平原は紅く染まっていた。


次の魔獣の攻撃に備えて二度目の詠唱を唱えるために氷結術式を組み込む。次は雑魚ではなく強い個体が来るかもしれない。


俺には二つの魔力適正があり、一つは闇、二つは氷結と言う類稀(たぐいまれ)な魔力であった。


氷結魔法は大気中の水分を凝結させて凝固させ、氷を生み出す。

魔法は具体的なイメージが大切なのだ。水を集めて氷を生成するように、想像して詠唱する。


「白銀の大地に堕ちし(ことわり)の水、氷の塊となりて全てを破壊せよ!― スピリトゥス・グラキエス——————————ッ!!!!」


詠唱が完了すると周りの水分が引き寄せられ、それがピキピキと音を立てて自身と同じ大きさの、幾つかの氷柱が生成される。


俺は突き出していた手を握ると、同時に生成された氷の塊が矢の如く飛んでゆく。それは敵本陣のど真ん中に突っ込み、魔王軍の配下の巨大な狼や、蛇に直撃した。


敵の陣形は乱れ、外側へと広がる。


その瞬間、『ゴー』という凄まじい音が800メートルくらい離れたところから聞こえたかと思うと、雲をかき乱す程巨大な竜巻が爆風とともに轟いた。


渦を巻いた爆風は辺りを蹴散らして、増幅する。空気の振動波が肌に直接伝わる。周辺にいた闇の軍勢は一瞬にして消し飛ばされる。離れていても爆風は波動となって伝わり、自身の黒いローブが風に(なび)いた。


他の場所でも、どこの国でも連合軍が設立されて魔王軍と正面衝突している。


「シルフィーか、相変わらずとんでもねぇ魔力だ!」

俺は何よりも愛おしい彼女を思い浮かべる。



彼女が時間を稼いでいるこの隙に俺は、敵本陣のど真ん中で再び詠唱をしようとする。闇の魔法は強大だが、消費する魔力が多いし、人々から忌み嫌われる。だがとある方法で魔力の消費を補っている。


俺は、大精霊を召喚する。

「我、精霊契約に準じ、汝を召喚す」

そう俺が言うと…突如、紫紺の稲妻が走る。俺の周りを乱れるように放電した後、紫電は一点に集中した。


エネルギーがまとまり、『バチバチ』と音を立てる。やがて漆黒の粒子が集まり始め、小さな塊となり混沌の精霊が実体化する。その精霊は黒いオーラをまとっており、黒く艶のある羽が生えている。


その容姿は、手の平サイズの小さな小人である。何百年と生きている超自然的なエネルギー体だが、大気中の魔力を纏うことによって具現化している。視覚化出来るほどのエネルギーだ。顔は人でケツ顎の北欧風の青年という感じだが一応高位精霊であり、その体から感じられる魔力は、膨大である。見るからに危ない。常人は見ただけで気絶するレベルだ。


具現化したその精霊は言った。


「ふふふ、我を呼んだか。その契約に従い、汝に力を貸そう」

俺は、真剣に精霊に問いかける。


「あぁ、すまないなカオス」

「なに、ここの所お前の中で退屈していたんでな、暇を持て余してたけどな」

「お前の膨大な魔力を借りるぞ」


「そのために、契約したんだ。存分に使うといい」

自信ありげな顔で答えると、精霊は体から視覚化できるほどの黒く、悍ましい。膨大で高密度、高濃度の魔力を纏った。


俺は必ずダメージを与えられる魔法を使おうとしていた。


「超魔法を、使う」

大魔術を使うと宣言したのだ。


「奴に勝てるのは、強大な力。それのみだ」

闇の魔物には闇の魔物をぶつける。


「お前は、あのエルフの小娘を守りたいんだろう?」

そうだ、俺は誓ったんだ。その思いを胸に秘めて。


「ああ、俺は彼女をいや、シルフィ―を守りたいんだ。今度は、俺が助ける番だ。」

俺は、断言する。愛する人を守るって決めたんだ。


続ける。


「なんだか、親父が言ってたことがようやく分かったかもな。昔はあんなに反抗したのにさ」

「お前も、対外バカだな相棒」

「それが男に生まれた宿命だろ?カオス。ちょっとは、カッコつけてもいいだろ?」



「全く人間というのは、分からないな。いいだろう。権威を示せ!その力と意思は何代にも渡り、受け継がれて来た。果てしなく続く時代の中で自由のために戦い続けた。それでこそ邪精霊の契約者。ダークウィザードに選ばれしものだ」

そう言って不純を司りし,混沌の大精霊―-フェアリー・カオスは、暗い悪魔のような笑みを浮かべた。



俺がこの世界に来たのは遡ること数年前、とあることがきっかけだった。




*************************************




俺の名前は、黒神 優斗(くろがみ ゆうと)


十五歳だ。

現代社会においてごく普通の中学三年生。

特別な力も無いし何か才能もなくて、いつかそんな日が来ることを祈っていた。学校ではオタク気質でどちらかと言うとあまり好かれるタイプでも無いし、何かあるだろうと思って入った運動部でも特に何もなくあっという間に中学三年が過ぎていた。


俺はいつものように学校に行って、ご飯を食べて、風呂に入って寝る。そんな毎日が続くと、俺は、思っていた。


正直この世界に飽き飽きしていた。まさか異世界に行くことになるなんて、あの頃は思いも寄らなかった。そうあの日までは。


「行ってきます」

そう言って俺は家を出た。

小説書いてます。

誤字脱字も多いと思いますが、もし良ければポイント評価の方もお願いします。



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