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幼馴染は、もういやだ  作者: 雨霧冬
1/5

登校

胸キュン賞応募作品として書いています。

皆さんがきゅんとしてくれるような作品を作り上げたいと思います!

 ―― 私には幼いころから片思いをしている人がいる。

 でも彼が私の事をどう思っているかなんて知らない。でもたぶん、どこにでもいるような平凡で地味な子だと思われているんだろうな。


 ◆ ◆ ◆


「ちーちゃん。おはよー」

「へ、っあ、おはよ」

 学校の登校中突然話しかけられて思わず声が裏返る。

「驚いちゃってかわいいなーちーちゃんは」

 うっ、かわいいって言われた。思わず顔が赤くなっていく。

 仕方ないよ。だって、この人こそが私の幼いころから好きな人だもの。

 ――佐々木岳人(ささきがくと)。私の幼稚園からの幼馴染。

「そういうこと簡単に言わないでよ。がっくんの駄目なところは――」

 そういうところなんだからね。他の女子にもすぐそういうことを言う。だから裏では『天然王子』なんて呼ばれてるの。言おうとした。だけどできなかった。

「僕の駄目なところ?」

 がっくんが悲しそうな目をして、そんなことを言ってきたからだ。

「別に、もういい」

 私はがっくんを無視して学校へ向かおうとする。どうしてだろう、好きな人なのにこんなそっけない態度を取ってしまうのは。むしろ、好きだからかな。

「ちーちゃん、どうしたの? 怒っちゃった? ごめん」

 がっくんはさらに悲しそうな顔をする。そんな顔しないでよ。それじゃがっくんが私に少しでも気があるんじゃないかって勘違いしちゃうよ。

「ちーちゃ――」

 がっくんが私の名前をもう一度言いかけて、だけどその声が誰かに遮られる。

「岳斗君だ。おはよー」

 話しかけてきたのは同じクラスの花袋美穂(かたいみほ)ちゃん。私とは違ってキラキラしている子。

 私の憧れ。

「美穂ちゃんおはよー」

「ねえねえ、どう? 今日ね髪下ろしてきたの。似合ってる?」

 美穂ちゃんはがっくんの腕をつかんで近づく。胸の奥がもやもやする。

「うん。すっごく似合ってるよー」

「可愛い?」

 あざとく言う。私にはできないことだから悔しい。

「うん、そうだね。可愛いと思うよ」

 それを聞くと美穂ちゃんはやっと私を見た。してやったり顔で。

 本当、どうして誰にでもかわいいって言っちゃうのかな。それをやめてほしいって思うけど、ただの幼馴染の私が言うなんて、おかしいよね。ほんとに、嫌い。言えない自分も言ってしまうがっくんも。

「そういえばー、もしかして二人って一緒に登校してたの?」

 うわ、性格悪い。どうせ私とがっくんとでは釣り合わないって言いたいんでしょ。

 後々めんどくさそうだし違うって言っとこう。

「まさか、そんなわけ――」

「そうそう。一緒に行こうって僕が誘ってたところ」

「なっ」

 絶句する。何でそういうこと言うの? 

「てことで、僕は千鶴ちゃんと行くね」

 それだけ美穂ちゃんに言い残して私の腕をつかみさっさと歩いて行ってしまう。

 その行動に訳が分からなくて、だけどつかまれた腕はすごく熱く感じて。助けを求めるように美穂ちゃんを見たけど美穂ちゃんは私を氷のように冷たい瞳で一瞥するだけだった。

 

 


 

 

 

 

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