一難去って
ペースが遅く申し訳ありません。
今日は初めて母親に会う日だと伝えられた。ついに母親との対面か。そう思ったら、女性が二人入ってきた。え?どっちがお母さん???
すると厳しそうな怖い雰囲気の女性が私に話しかけた。
私が公爵夫人です。アンよ、面をあげなさい。
「はい、こうちゃく夫人さま。こうちゃく夫人さまが、わたちのお母様ですか。それとも、その後ろの方でしょうか」
すると、公爵夫人の目の中に面白がっているような色が浮かんだ。
「なるほど、皆が、あなたは傑物かもしれないというのは、本当のようですね。これは、王族のあのバカ王子にこのまま差し出してしまうのも勿体無いかもしれない。」
「お、お姉さま」
後ろに控えていた綺麗な女性が慌てる。
「よい。よしんば、ここに王族の手のものがいたとしても我が公爵家をどうすることもできないのはミレイ、あなたも知っているでしょう。」
ものすごい威厳だ。しかしどういうことだろう。こういうものの言い方をして大丈夫なのか。私が尋ねると、公爵夫人は笑って答えた。
「公爵家は、元々は王家の一員。しかし、王家を守り支えるために臣下の位に落ちています。しかし、万が一王家が支えるに価しない存在であることがわかれば、我々が王家に取って代わる。これが古からのこの国の掟です。」
「わかりまちた。でも多分公爵夫人は本気でそうおっちゃってはいないような気がいたちます。」
そういうと、ハっとした顔を公爵夫人はして、ミレイという女性の方を向いた。
「どうやら、この子の方がずっとあなたより賢そうね。これなら、いろいろ相談もできそうね。」
どうも相談というのは私が作成していた折り紙のイヤリングとブローチのことであった。それを公爵家御用達の店で流し、販売したいということだった。
「本当だったら単にあなたに命じてやらせたところですが、あなたに興味を持ちました。もしかしたら本当にあなたに、夫をとって公爵家を継がせた方がこの国のためにはなるかもしれないわね。」
「どういうことでちか」
「あなたが女王にでもなったら、商売などすることは隠れてでも難しくなるでしょう。しかし公爵としての立場であれば、存分にその腕、活かせるはずです。またそれがこの公爵家にとっても好ましい。」
どうやら、お父様は、養子として入ってきて、この人が実権を握っているらしい。そして、血を絶やさぬために、妹のミレイに子供を産ませたというのが実情のようだ。
「私は、あなたは、公爵家と王家をつなぐための政治的な架け橋として考えていましたが、もしかしたら、あなたこそ、公爵家を継ぐにふさわしいかもしれませんね。」
うーん、いいんだか悪いんだか。事態は急点直下を迎えた、のだろうか?
これからも、品物を受け取りにちょくちょく伯母は訪れるとのことであった。そして、ミレイ母様にも時々合わせてくれるようだ。なんだか怖い人に目をつけられた、とたった3歳の私はため息をつくのであった。
これからもよろしくお願い致します。