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50分  作者: 小説を共作
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鳥島酉烏 その2

 さて、二時間目である。二時間目は……数学か。

 まあ。どんな教科だろうと僕には関係ない。僕は僕なりに一日を何事も無く疲れずに過ごせれば、それでいいのである。

 省エネがどうとか、そういった話ではない。楽しい時には思いっきり楽しむし、それに、体育だって毎回楽しみにしている。要するに僕は、真面目に生きていく気がないのである。

 しかし、だ。

 この数学の授業は、真面目に授業を受けている振りをする必要があるのだった。

 あくまで振りだ。

 厳しい授業の場合、いかに力を抜いて過ごすか、それが問題である。

 最近の僕はといえば、板書はちゃんと写すことにはしている。厳しい先生の場合、テストである程度点を取るためには、ノートの存在は不可欠である。だからと言って僕自身がちゃんとした点数を取れているかどうかは別問題である――が、赤点をとりまくるのは色々大変なことになりかねない。

 まずは、頭を空っぽにして、あるがままに書き写すのである。

 では、黒板を書き写さない間、どうするか?

 ここで僕は考える。

 ノートにただ書くだけでは非常に面白くない。非常に眠い。非常に辛い。

 眠ってしまえば怒られることは明白なのだから、どうにかして意識を保たなければならない。

 かといって退屈を理由に落書きを始めてしまうと怪しい動きと見られ注意を受ける。

 似たような例として、過去に内職で神の鉄槌をありがたく頂戴した生徒が数人いる。

 となると、やることは限られてくる。

 妄想だ。

 自分でもこの結論はどうかしているとは思うが、しかし高校生の授業とはそんなものだ。

 ちらり、と教室を見回してみれば、数人、シャーペンを片手にどこか遠くを見ている者が数人。彼らもまた、真面目に授業を受けたくはないけれど、かといって怒られたくはないという、同士である。奇しくもその数人、僕も含めてその全員が、色は違うけれど、同じ形のシャーペンを持っていた。

 それを見て、僕はなんとも言えない奇妙な友情を感じた気がした。

 彼らの中には同じ教室になってからほとんど言葉を交わしたことのない者もいたけれど、しかし案外、僕たちは似た者同士で、話が合うのかもしれない。

 それはともかく、妄想である。

 妄想のタネ。

 それをまずは考える。

 ここは簡単に、「もしも学校にテロリストがやってきたら」という妄想をすることにした。この程度の妄想、中学生の間に幾度と無く繰り返したものだけれど、たまに授業の間に妄想するにはいい話題である。

 それこそ中学生なんて小学生の延長みたいなものなのだから、急に自分の秘められた力が、みたいな、小学生向けバトル漫画みたいな展開を思いつく。しかし今、僕は高校生である。もしかすると、幾分か現実的な妄想が可能かもしれない。

 妄想、スタート。

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