プロローグ
21世紀のある日、アメリカのとある場所に中程の大きさの隕石が墜ちてきた。幸いにもそこは住民がいなかったため被害はあまりなかった―――墜ちた瞬間は。
この隕石の騒ぎから2週間。唐突に人間の三大欲求と呼ばれる食欲、睡眠欲、性欲を始め、ありとあらゆる欲求が無くなるという事態が特にアメリカを中心に現れ始めた。
欲求が失われた者にはある共通点があった。それは、落ちた隕石に近寄ったり、その近寄った人物とあった人。
これを受け、世界の学者に大きな波紋が投げ掛けられることとなる。
―――磁場による影響だ、隕石の成分がそうさせているのだ。
だがそれらは全て外れていた。この諸悪の根元はウイルスだった。
後にデザイアーキラーと呼ばれるこのウイルスはおよそ2週間の潜伏期間後感染していれば99.9パーセント発症し、全ての欲を喰らい尽くし最後には死に至らしめてしまう。死因は―――餓死、または脱水だ。
自殺は少ない。なぜなら自殺をしたいという欲求さえも存在しないのだから。
瞬く間に世界に広まったこの病は国を壊し、人間としての生活を壊していった。だがしかし、希望は残されている。
感染後も発症しなかった0.1パーセントの人たちが宿す抗体。これを培養し人々に注入することができればウイルスに勝つことができる。
だが、大きな問題があった。抗体の摘出は簡単だが培養には希望という世界の成分が必要だった。そこで人々はこのウイルスを宇宙からの使者、謎なる怪人による地球侵略でそれに対抗すべくひと欠片の大希望を結成したと偽の発表をした。これによりウイルスに怯える人々の中に大きな希望が生まれたと喜びたたえあうようになったのだ。
なお、このプロローグは本編の世界観と99.9パーセント関係ない。