騙し合いゲームの時間
選択された・・・・・。 オレは、絶望に陥った。 しかし、こんなところで諦めてたまるか。 何か、ないか? その時、俺の頭に『騙せ』という言葉が浮かんだ。 『騙せ』・・・・・実に言い言葉だ。 『騙し』てやる。 オレは、口を開いた。 「ちょっと、待ってくれ」 オレは、弟の友達に向かって叫んだ。 「聞いてくれ。お前をさっき選択したのには、訳があるんだ」 「訳・・・・・?」 「そうだ。訳だ」 「実はな、弟の幼馴染のあいつからお前が弟を苛めているっていう話を聞いたんだ」 オレは、弟の幼馴染を見ながら言った。 勿論嘘だ。『騙し』合う為だ。 「お前は、弟を苛めてないのか?」 弟の友達に聞いた。 「苛めてない。苛めてないよッ」 「じゃあ、お前、俺を騙したなッ」 弟の幼馴染に向かって叫んだ。 「俺は、そんな話はしてないッ」 弟の幼馴染は、必死に叫んだ。 当たり前だ。俺の勝手な嘘の話だから。 オレは、不気味に少し微笑んだ。 「あいつは、俺を騙したんだ。なぁ、さっきは選択して悪かった」 オレは、反省している(振り)をした。 「許してくれ」 オレは、弟の友達に言った。 「分かった」 弟の友達が言った。 「許す。俺は、死ななかったからな。俺は、お前を選択する事にする」 その弟の友達の瞳には弟の幼馴染が映っていた。 「私も」 弟の彼女もやはり、同意した。 「俺は、してないッ。そんな話してないッ」 「黙れッ。したくせにッ」 オレは、『嘘』を叫んだ。 どうやら、『騙し』合いは、成功したようだ。 このゲームは、『殺人ゲーム』ではなく、『騙し合いゲーム』だな。 そんな事を思っていた。




