第7話:ソウルイーターの能力
味方だと思った音葉たちの突然の不意打ちを受けた隼人。
しかも味方と離れ離れになり音葉と一騎打ちに!
この勝負の行方は?
「どうして?」
音葉は崩れた壁にもたれかかってる俺に問い掛けてきた。
「なにがだ?」
俺はそのままの姿勢で問い返した。
どうしてと聞きたいのはこっちのほうだった。
まさか戦うことのない相手と戦うハメになってしまったのもあるし、1番痛いのは裏切られたからだ。
いや、俺が勝手にあの2人のことを信じていただけか・・・・
「どうして、ここから出て行かなかったの?」
「出ていくもなにも、俺はお前たち、音葉達を殺しに来たんだ。出て行ってほしいなら
俺じゃなくて幹部会の人に言ってくれ」
俺は服についたホコリをはたきながら立ち上がった。
その時、一瞬立ちくらみのような感覚に陥ったが、すぐに治ったから気にはしなかった。
「私は一人でも多くの人を助けたかった。なのに・・・」
【シャドウフレア】
音葉の手のひらから無数の黒い火の玉が現れ、俺に飛ばしてきた。
助けたいんだったらここで逃がしてくれればいいのに、なんで攻撃を仕掛けて来るんだよ。
まぁ、やるからにはやってやる。
「こんなもん全てはね返してやるぜ!【ソウルイーター・裁きの剣】」
黒い火の玉を切り伏せながら、俺は音葉に向かって切りかかった。
でもいつものより身体が重いような気がするが・・・・気のせいか?
ほとんど事はうまく進んでいたので、大して気にすることはなかった。
「そんなので勝った気になるなよ!」
俺は音葉に向かって剣を思いっきり振り下ろしたが、剣は空を切るかのように軽かった。
「っな・・・・」
目を向けると音葉は霧のように揺れながら、俺の目の前から姿を消した。
「残像よ」
【ヘビースクラップ】
声のする方へ振り返った瞬間、腹にとてつもなく重い衝撃がきた。
「グハッ」
あまりにも重たい攻撃で自分の足だけで立っていられなくて、剣を杖代わりにし音葉を睨みつけた。
「信徒よりはしぶといみたいね」
音葉がそう言って、右手を横に振り上げた瞬間、今度は俺の左頬に衝撃が走り、壁を突き破り外まで吹き飛ばされ、木にぶつかって止まった。
一体どうなってるんだ・・・かなりの間合いはあったはずだ。
これが魔法使いの力か?
畜生、もうビクとも身体が動かねぇや・・・・
「どうしてそっとしておいてくれなかったの?」
「あ・・・・?」
ダメだ。もう声もだせねぇ
「なんのために私達がこんな所に済んでたかわかる?」
泣いているのか?声が震えて聞こえるが・・・クソ!目も開けるほどの力も残っていないのか
「もう私達の前に現れないでね」
そう言われた瞬間、俺の身体が地面から離れた。
ここまでか・・・・流石片桐の血を受け継いでるだけあるな。
俺は死を受け入れ、眠ろうとした瞬間
「隼人ー!」
「うげっ」
光明寺さんの声が聞こえてきたと同時に、また身体に痛みが走った。
多分浮いていた身体が地面に落とされたのだろう。
「何そんなとこで寝とるねん!ワイが助けにきたったんやから、さっさと起きぃ」
っと如意棒で俺の頭を頭を小突いているのがわかった。
そんなこといわれても身体が・・・ってアレ?身体が動く?
俺は不思議に思い立ち上がったが、さっきまでの痛みはなくなっていた。
「お前が捕まった時に神経かどっかをいじられとったんやろ。」
マジっすか?通りで身体が言う事聞かないと思った。
俺はとっさに剣を召喚し、再び音葉に向かって構えた。
「ちょっと感傷に浸りすぎちゃったかな。」
音葉残念そうに呟き、左手の指の間に4本のダーツ、右手に細長い剣を召喚した。
「女やからって、手加減はせんで!」
光明寺さんは如意棒を頭上で回しながら、右から回りこんで音葉に突撃した。
俺はそれに便乗した。
「幹部会の力見せてもらおうかな」
音葉はダーツ4本を連続で、向かってくる光明寺さんに投げつけた。
それを光明寺さんは受けようとせずに避け、後ろにいた俺の方に飛んできた。
「こんなもの」
「あかん!」
俺はそのダーツを叩き落とした瞬間、ダーツは起爆し、中から無数の針が飛び出してきた。
一つ起爆すると、後の3本もそれに乗じるように起爆し、針が飛び出してきた。
【ソウルーター・ブラッドシールド】
自分の血を飛ばし、なんとか針の勢いを殺した。
この技は俺が流血してる場合しか使えないし、必要以上に出血するからあまり使いたくなかったんだが・・・
「危なかったなぁ〜こりゃ毒針やでぇ」
落ちていた針を、マジマジと見ながら言われた。
防いで正解だったようだ。
「う〜」
音葉は急に頭を悩ませて、俺たちに背後を見せて逃げようとした。
「【メデューサ】そいつが逃げんように見張っとけ!」
光明寺さんがそう言った瞬間、無数の首を持つ生き物が音葉の目の前に現れた。
あれが、魔力の化身・・・・
「ここまでやらしといて、今更逃げるのはなしやろ?」
光明寺さんは、ゆっくりと音葉に近づいた。
「来ないで!来たら・・・・」
「来たらどうなるんや?」
いつの間にか音葉の両手足が石化していた。
「年貢の納め時やな」
光明寺さんが音葉の目の前に如意棒を突き出した。
「それはどうかな?【デュラン】やっちゃって!」
いきなり巨体な暗黒騎士が光明寺さんの背後に現れ、剣を振り下ろした。
「光明寺さん!」
カン
光明寺さんは振り返らず、如意棒を上に突き出して、暗黒騎士の攻撃を受け止めた。
「やっぱ、そうきたか。魔法使いのクセに魔力の化身を出さんのはおかしいと思ったわ」
そう言って暗黒騎士の剣を振り払い、間合いを取った。
すごい、これが魔法使いと幹部会との戦いかぁ。
「こんな簡単に受け止められちゃうなんて・・・」
音葉は両手足を石化されているにも関わらず不敵な笑みを浮かべている。
「おい隼人!」
「はい?」
「お前、あいつの魔力の化身を殺れ。ワイはあいつの手足を石にさせながら戦うのはちときついねん」
え?俺があの暗黒騎士と?勝てるはずねぇだろ
「今のお前だと無理だが、あいつの力を吸い取れば勝てる。ワイのメデューサの力も少し、分けたる」
「あの・・・意味がわからないんですけど」
「黙っとったけど、お前のソウルイーターはまだ不完全やねん。魔力の化身の力を吸収して、より強化され、その紋章の魔力の化身が生まれるんや。」
知らなかった。そんな効果があったなんて・・・
「でも吸収ってどうすれば・・・・」
「なんもせんでええ。ソウルイーターを発動させながらその紋章を突きつけたれ!」
「いつまで待たせる気?デュランもうやっちゃっていいよ!」
痺れを切らした音葉は俺たちに魔力の化身を突撃させてきた。
「まずはワイのメデューサから吸収せぇ!」
「はい!で、でもそんな事したら光明寺さんの化身が・・・」
「能力を吸収するだけや!吸収する言うても、化身が消えたり弱くなったりとかはせえへん!」
その言葉を聞き少し安心して光明寺さんの魔力の化身、メデューサに紋章を突きつけた。
【ソウルドレイン】
その瞬間見た目は変わらない気がするけど、どこかパワーアップしたかのように思えた。
それに新しい技も頭の中に流れ込んできた。
それじゃあ早速使わせてもらおうかな。
【ソウルイーター・蛇眼】
メデューサの技をソウルイーターが吸収したため蛇眼が使えるようになっていた。
蛇眼のおかげで暗黒騎士の動きは一瞬止まった。
「え?一瞬だけですか?」
「まだ隼人の力が弱いんや!強かったらいくらでも止めてられるし石化させたりできる!ワイみたいにな」
光明寺さんが音葉に向かってさっきの不敵な笑みを返した。
「それで勝ったつもりなの?そんなのでは私のデュランは止められないわよ!それに・・・・」
音葉は館の方に目をやった。
「お姉様!」
音葉の視線の先に琴葉がいた。
【デジョン】
琴葉が光明寺さんのメデューサを、黒い霧で包み込んで消し去った。
「っち、美里らは何しとるねん!」
メデューサが消えたため音葉の石化を解け、光明寺さんは俺のほうへ間合いを詰めた。
「琴葉、そっちは大丈夫なの?」
「はい。あとはおじい様に任せてますお兄様は・・・。でも幹部会2人と神兵2人ぐらい余裕だと思います」
なっ・・・俺は耳を疑った。あと4人ってことは、もう4人やられたってことか?
「こりゃキツくなってきたわ」
光明寺さんは楽しそうに笑いながら如意棒を構えた。
なんかすごい楽しそうなんですけど・・・・
次回は隼人じゃなくて烏丸サイドで琴葉との戦闘シーンを書きたいと思います。
でもこの7話で琴葉が現われたってことは・・・・