第6話:音葉と琴葉
敵に囲まれ、ソウルイーターの力で一掃しようとしたが暴発してしまい隼人は気を失ってしまった。
ここは一体・・・
そうか俺はあの時まだ使い慣れてないソウルイーターの力を使って・・・・
「・・・・・・だから」
ん?なんか話し声が・・・
「ダメって言ってるでしょ!怪我人なんだから」
「あ!起きた」
俺が目を覚ますと薄暗い個室、目の前には黒髪の腰までのロングヘアーの女の子と
黒髪の肩ぐらいまでのショートヘアーの女の子がいた。
ってかどこかで見たことあるような。
「ほら、お姉様がいろいろ調べるから」
「だって相手は敵なんだよ。何か持ってるかもしれないし」
思い出した!こいつら片桐源次郎の孫娘の2人。
っということは俺は捕まったのか・・・・?
噂では泣こうがわめこうが簡単に人を殺せると聞いたけど、全然そんな雰囲気には見えないんだけど
「おーい、もしも〜し」
「あ、え?」
不意に話し掛けられたせいで、恥ずかしいぐらい変に高い声で返事をしてしまった。
「大丈夫?もう!お兄様が無茶するから」
女の子が暗闇の方へ向かって言った。
「俺は何もしとらん。そいつが勝手に自爆したんだ」
奥から黒髪でスポーツ狩りの男の人が出てきた。
歳は二十歳前後くらいでネックレスやらピアスなどアクセサリーをハデにつけていた。
「それよりお前、あいつらの仲間か?」
男はいつ撮ったのかわからない、幹部会の人たちがこの館に入ろうとしている写真を俺に見せてきた。
まずいなぁ、このまま仲間だと言えば瞬殺かもしれんないし、しかし裏切るわけにもいかない・・・
その前にこの写真が本物だとしたら、もう結界は解けたってことか。
「どうなんだ?」
男が俺の首にナイフを突きつけてきた。
「そんなので脅してるつもりか?」
「なんだと?」
男は俺の首にナイフをかすらせた。
首からは静かに血が流れ落ちた。
「やめて」
髪の長い方の女の子が俺に覆い被さってきた。
「琴葉、そこをどけ!」
「怪我人に怪我させてどうするんですか?お兄様もおじい様みたいなやり方をしないで下さい!」
「琴葉・・・・」
男の方が折れたと思い、安心しかけた時に、また誰かこの部屋に入ってきた。
「瞬、音葉、琴葉、出るぞ!!」
その男は片桐源次郎だった。
「ん?人質がいるのか?」
源次郎がそう言うと、手が緑色に変化し、魔物みたいな手に変わっていった。
見た瞬間有無言わずに殺しにかかるってマジでやばいなぁ・・・・縛られてはいないが、抵抗しても意味なさそうだし・・・・
「おい、クソジジィ!こいつは俺らが交渉用のために捕らえたんだ!勝手なことするんじゃねぇ」
「お兄様・・・・」
何故か知らないがさっきまで俺をナイフで脅していた男が俺を庇ってくれていた。
「交渉?クカカカカ、笑わせるな!お前はあいつらに何を望む!こんな下っ端を捕らえたぐらいで向こうが下手に出ると思わんことだな」
源次郎はそう言い残して去っていった。
「あのジジィが!!もうちょっと考えて行動しろよな」
若い男もブツブツ独り言を言いながら、部屋を出て行った。
「ごめんね、あの2人はいつもあーなの」
「そうだ!自己紹介がまだでしたね。私は琴葉。片桐琴葉です。琴葉って呼んでください」
髪の長い方の子が言った。
「私はこの子の姉の音葉よ。因みにさっきの兄が片桐瞬。普段はやさしいんだけどね」
琴葉に続いて髪の短い方の子も自己紹介しだした。
ってか何故敵である俺にこんなに馴れなれしいんだ?
悪いやつじゃないのはなんとなくわかるんだけどなぁ。
ここは俺もしとくべきか?
っと考えてる時にまた向こうが口を開いた。
「君は鬼庭隼人君だね?幹部会、光明寺大和の神兵の」
「な・・・・・」
俺はとっさに身構えた。可愛い女の子と油断してたが、一応こいつらも片桐の血を引く奴らだからな。
「そんな警戒しなくてもいいよ。私達はそんなことしないから」
っと微笑みかけてくれた。
「どういう意味だ?」
「みすみすあなたたちを死なすわけにはいかないってこと」
どうやらこの子達は俺たちが負けることを前提に話してるらしい。
「言っとくけど、光明寺さんらは俺みたいにそう簡単にはやられないぞ!
しかもあの幹部会5人が揃えば敵なしって言われてるぐらいだ」
俺は幹部会のことを自慢げに話したが、彼女たちは俯いたまま顔を横に振った。
「それでもおじい様には敵わないわ」
ドカーーーーーン
琴葉がそう言ったと同時に近くの方からものすごい爆発音が聞こえてきた。
「始まったみたいね。とにかく隼人君は・・・・」
俺は琴葉の言う事を無視し、その部屋を飛び出した。
「どこいく気なんですか?まだ怪我が・・・・」
「戦う気がないなら急いでここから離れろ!」
俺は彼女達にそう言い残し、爆発が聞こえた方に急いだ。
あの子達はほっといても害はない。害があるのは源次郎とあの男だ。
そう確信した俺は、爆煙の中に飛び込んだ。
まっさきに目に入ったのは幹部会の5人だ。あと烏丸達も相馬さんも一緒だった。
「隼人!無事だったのか!」
俺を最初に見つけた烏丸がそう言い、俺のほうに近づいてきた。
それに続いて他の皆も集まってきた。
「無事でよかったわぁ」
「こんなことで死んでもらったら困るからな」
「すみませんでした」
俺は幹部会の人たちに謝り、相馬さんの近くに寄った。
「心配したんだからね」
「ごめん」
よく見ると涙目で肩を小刻みに震わしていて、今にも抱きしめたかった。
「涙の再会はあの世でやれ!!」
爆煙が消え、そこから瞬が飛び出してきた。
カン
「あの世で涙の再会をするんはあんたとあんたのじいさんらや!!」
光明寺さんが如意棒で瞬の攻撃を受け、弾き返した。
「ここはあの人たちに任せて、俺たちはあの女の子を探そう」
烏丸がそう言い、俺たちを幹部会との戦いの場から引き離そうとした。
「待ってくれ。あの子達ほっておいても大丈夫だ」
俺は烏丸を呼び止めた。
「ほっておいても大丈夫ってどういうことだ?」
朝霧先輩が俺に問い掛けてきた。
俺は捕まっていたときのことを、皆に話した。
「信用できないな」
「あいつたちの策略じゃないのか?」
「あの源次郎の孫だしねぇ」
「イイ!俺もあの子達にやさしくされてみてぇ」
烏丸以外は琴葉達のことを疑った。
無理もないか、俺も会うまではそういう奴だとは思いもしなかたしな。
「ほんとに大丈夫だ!あの子達は・・・・」
【メテオフレイム】
俺が話してる最中にどこからか無数の火の玉が飛んできた。
「敵襲か?どうやら信用するのは無理みたいだな」
朝霧先輩がそう言い、周囲に氷で出来たつららを召喚した。
言い忘れたが、朝霧先輩の能力は氷の属性の特殊技を使うことが出来る。
烏丸は土、皐月は火、相馬さんは強化の属性だ。
俺は朝霧先輩と同時にソウルイーター発動の準備をし、敵を確認した。
「っな・・・・」
見間違いだとも思えた。さっきの攻撃は音葉の魔法だった。
側には琴葉と源次郎もいた。
「おいおい隼人!話が違うみたいだが?」
烏丸も応戦の準備をし、地面の土を自分の身体に貼り付け、岩の鎧を纏った。
「クカカカカカ、まずはお前たちから血祭りに上げてくれるわ!」
源次郎は自らの右手を巨大な鉈に変えて、俺たちの方へ飛んできた。
「なんだあの魔法!」
「は、はやい・・・」
ブシャッ
隣から生暖かい液体が飛び掛ってきた
「カッカッカ、まずは一人」
いつの間にか朝霧先輩の胸が源次郎に切り裂かれていた。
あの液体は血だったのか・・・
俺は瞬時に源次郎との間合いをとろうとした瞬間、ものすごい風圧に押された。
「ぐわぁ」
一部屋、二部屋、の壁を突き抜け、ようやく止まった。
「あなたの相手を私です」
「音葉・・・・・」
いよいよ、本格的な戦い!
何故音葉達は敵に回ったのか?