第5話:結界を解きに・・・
魔法使い片桐一家を滅ぼしに行った隼人達。
そして結界を解くために幹部会との別行動。
隼人達は無事結界を解けるのだろうか?
「ぐはーーー!なんでこんな山奥に谷とかあるんだよ!」
光明寺さんと別れたから30分ほど山を登った所に、深い谷底があった。
その端に大きな洋館と言った方が正しいと思うほどの館があった。
「こんなとこ落ちたら絶対死ぬーーー」
「いいからさっさと進め!」
明らか間違ったルートを進んでるような気がしてならないんだが、烏丸がこっちと言い張るから来てみりゃこれだ・・・
「着けばいいんだろ!着けば!館はもう見えてるんだ。迷うはずないだろ」
烏丸は自信満々にそう言い、先頭を歩いていった。
「思ったんだけど、もし片桐一家と鉢合わせしたらどうするの?」
相馬さんが痛い所を質問してきた。
「問題はそれだよなぁ〜。俺らじゃあ歯も立たないと思うし〜」
ひらきなおってるよ、こいつ・・・・
「そのときは幹部会の皆さんが助けてくれますよ」
皐月はそんな楽観的な考えができていいよなぁ。
っと、話してるうちにその館に到着した。
「でけぇ・・・」
「間近で見ると大きいものですねぇ」
「でもボロくねぇか?」
「確かに・・・」
館と言うより、幽霊屋敷みたいな感じだった。
壁はボロボロだし窓ガラスは割れているはで、とても人が住んでるようには見えなかった。
「とりあえず中に入ってみようぜ。久遠時さんたちが入れなくしてる結界の装置もここにあるんだろうし」
朝霧先輩が俺らを前にして、恐る恐る進んだ。
って後輩を先に進ませるんですか!!
「それより本当にこんな所にあんな美女2人も住んでるのかよ?」
烏丸が水無月さんから受け取った、片桐源次郎の孫娘の写真を眺めていた。
「幹部会が動くほどですし、確かな情報なのでしょう」
相馬さんがそう言い、辺りに散らばっている家具を調べていた。
「誰か来る」
皐月のその一言で俺らの動きが一瞬にして止まった。
確かにまだ遠いがどこかからか足音が聞こえてきた。
バタン
「ギャーーーーーーー」
「キャーーーーー」
「おい!!」
急に入り口の扉が閉まり、烏丸と朝霧先輩と皐月は逃げ出してしまった。
「たかがドアが閉まったくらいで・・・・」
俺はその閉まった扉を開けようとするが全く動かなかった。
「うそだろ・・・・」
どうやら俺たちは閉じ込められてしまったらしい。
しかもさっきの足跡は徐々に近づいてきている。
「ここにいたらまずいなぁ・・・」
俺はこの場を去ろうとした瞬間、誰かに足を捕まれた。
「ギャーーーーーーーー」
「隼人君、私、私」
俺の足を掴んだのはその場に座り込んでいた相馬さんだった。
「な、なにしてるんだよ」
すごい上がった心拍数を必死に押さえながら、共に座り込んだ。
「足がすくんじゃって・・・」
「アハハ・・・実は俺も」
「・・・・・・・」
一時の沈黙。
「烏丸〜〜〜!戻って来い!朝霧先輩!見捨てないで下さいよ!」
「皐月ちゃんお願い戻ってきて!」
必死に逃げ去った3人に助けを求めたが、俺たちの声が虚しく響いただけだった。
足音はすぐそこまできている。こうなったら戦うか
『ソウルイーター・裁きの剣』
俺は暗黒の剣を召喚し、やっとのおもいで立ち上がり、剣を構えた。
「ねぇ、これって人の足跡じゃないと思うんだけど」
相馬さんの言うとおりよく聞くと、足音がペチャペチャと・・・・
「ウガーーーーー」
「で、でたーーーーーー」
俺は再びその場から去ろうとするが、相馬さんが俺の足に纏わりついて離れない。
「クソ!なんでゾンビなんかがいるんだよ!!」
俺はヤケクソになって、ゾンビに切りかかったが呆気なく倒してしまった。
「なんだ、見掛け倒しか・・・」
ゾンビをやっつけた後、相馬さんも立てるようになったし、烏丸達を探すことにした。
「それにしても奥に進むにつれて、ゾンビの数多くなってないか?」
今では襲ってくる何匹ものゾンビを普通に倒している。
まぁ、弱いと分かればこっちのものだけどな。
「本当に幽霊屋敷とはビックリですね」
「相馬さんはゾンビとかは怖くないのか?」
「怖くないよ。多分皐月ちゃんがすごい怖がってると思うよ」
「あ〜なんか想像つく」
俺は皐月が怯えてる中、烏丸と朝霧先輩がゾンビと戦ってる姿を想像し、笑ってしまった。
「それより、私のこと相馬さんじゃなくて、和って呼んでほしいなぁ。私だけ隼人君って名前で呼んでるのに・・・・」
「いや、俺あんま名前で呼ぶのは好きじゃないんだ」
「うそだ〜」
これは本当に本当だ。亜矢は名前で呼ばないとむくれるから仕方ないし、皐月は毎日不幸の手紙をくつ箱に置いていくからしょうがなく呼んでいるだけだ。
それに悠夜とか光喜の場合も兄弟だから名字で呼んだらややこしいしな。
「まぁ、名前で呼ぶのは特別な奴だけだ」
「あ〜それって私はどうでもいいってことですか?」
「そんなことな・い・・・・って・・・・えぇ?」
俺は相馬さんの方に目をやったと同時に、隣の部屋の窓に何故か人体模型がへばりついていた。
「ギャーーーー」
俺たちは人体模型に追われながらも、また全速力で逃げ帰った。
これが夜だとマジ怖いぞ。
「ってあれ?相馬さん?」
俺は一緒に逃げてきた相馬さんがいないことに気づいた。
「うわ、何処かに置いてきちまった!」
俺は急いで逃げて来た道を引き返した。
相馬さんが心配だからでもない、男が逃げたからでもない、ただ一人が嫌だったからだ。
「相馬さん!」
間一髪、人体模型に襲われかけた瞬間、『裁きの剣』で切り倒した。
だが、その人体模型はゾンビみたいに簡単に死んでくれなくて、切った部分がまたくっついて、復活しやがった。
「相馬さん、ここは俺に任せて早く逃げて!」
「何言ってるの!?これでも私、隼人君と同じ神兵なんだから」
「女に守ってもらうほど俺は弱くないって」
俺は相馬さんを強引に逃がし、人体模型に向かって剣を構えた。
「神兵の名は伊達じゃないことをみせてやるぜ!!」
俺は再び切りかかったが、人体模型はその場に落ちていた鉄パイプを拾い、受け止めた。
「俺とやろうってのか?上等だ!!俺は喧嘩は強い方なんだぞ」
相手はたかが人体模型。人間である俺、しかも神兵の俺が負けるわけがない。
「おりゃーー」
大きく振りかぶって、人体模型の首を吹き飛ばしたが、それと同時に左肩に激痛が走った。
「そりゃ反則だろ?」
人体模型は頭が吹っ飛んでも尚、俺に襲い掛かってきた。
しかも、いつの間にか人体模型以外にゾンビやらマネキン人形やらに囲まれていた。
「数が多ければいいと思うなよ!見せてやるよ、俺の本当の力を!!」
『ソウルイーター・冥怖』
人体模型とその他は俺の自称最強魔法をくらって、跡形もなき吹き飛ぶ予定だったが
何故かソウルイーターは暴発して、自ら爆発して、俺はそのまま気を失ってしまった。
力が暴発して気を失ってしまった隼人。
このあと一体どうなるのか?