表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/25

最終話:新たなる地へ

亜矢と烏丸を守るため捨て身で水無月に挑みんだが、やられてしまった。

そして目が覚めたときには、牢屋にいれられてしまった。


 見慣れた空間、見慣れた壁、見慣れた鉄格子、俺はすぐに魔女狩り本部の地下牢にいることに気づいた。

 烏丸と亜矢は無事なのか?

「痛っ」

 鉄格子から顔を覗かせようと、立ち上がろうとした瞬間、身体全身に激痛が走った。

「ちょっと無茶しすぎたか」

 動かない身体にムチを打ち、四つんばいで鉄格子の前まで移動した。

 見渡せば、牢獄の行列。

 牢の中はもぬけの殻だった。

「っということは烏丸達は無事か」

 もし烏丸達も捕まっていたら、俺と一緒で牢屋に入れられてるはずだからな。

「それにしても腹減ったな」 

 腹の虫の音と共に俺はベッドに飛び込んだ。

 今がいつで何時かもわからねぇし、俺が何日寝てたかもわかららねぇし、どうしたものか。

 誰か一人くらい見回りに来てもいい頃だってのに、誰一人通らない。

 そりゃ、ここを通る奴は俺みたいな奴に用がある奴だけだ。

 俺はそのまま、空腹なのを忘れて、眠りに落ちた。


「ん?」

 遠くから誰かが近づいてくる足音が聞こえ、目を覚ました。

 キィっと重い扉が開き、牢獄の中に光が差し込んできた。

「やっと起きたか」

 水無月さんが、信徒2,3人連れ、俺の目の前まで来た。

「亜矢と烏丸は無事なのか?」

 俺は冷静に強気に出た。

 ここに入れられたってことは、近いうちに殺されるってことだから、今更下手に出ても意味がない。

「ついてくればわかる」

 っとだけ言い残し、信徒に牢の鍵を開けさせ、そのままさっさと行ってしまった。

 水無月さんについていく先には、メシア様がいる評定の間だった。

 その部屋にはいると、見知った顔がたくさん並んでいる。

 光明寺さんや真田の幹部会5人、朝霧先輩や相馬さんの神兵3人。メシア様の両隣に烏丸と武田さん。

 そうか、烏丸は無事だったのか。

 だとしたら、亜矢はどうした?一人で逃げた?いや、一人では逃げ切れないはず。

 烏丸が庇ったとしたら、俺と同じ牢屋行きのはずだ。

 それじゃあどうして・・・・

「さて、皆さんが集まった所で評定を始めましょうか」

 水無月さんはいつのまにか、幹部会の列に加わっており、俺だけ一人、真ん中に取り残された。

「鬼庭隼人、あなたを任務妨害、裏切りの罪により処断します」

 いきなりだな、おい。

「その前に1つ聞かせてくれ。亜矢はどうなった」

「ちゃんと始末しましたよ」

 っな・・・・!うそだろ?

 一瞬頭の中が真っ白になった。

 そして、すぐに亜矢と一緒に過ごした日々や、学校生活などの思い出が、鮮明に頭の中に描かれた。

 終いには亜矢の思い出と共に幻聴まで聞こえ、俺は今まで堪えていた涙が、大量に溢れ出してきた。

「悲しまなくていいですよ。今すぐ彼女の所に連れて行ってあげますから」

 別に悲しくて泣いてるんじゃない。

 亜矢を、亜矢を守りきれなかったのが悔しくて・・・・・守ると決めてたのに。

 俺は無力だ。誰一人守れなくて、調子乗って魔女狩りから離反して。

 メシア様はゆっくり俺に近づいてきて、右手に魔力の結晶でできたナイフを取り出し、俺に向けてきた。

 唯一心残りなのは光喜達だ。

 俺を助けてくれたのに負けちまったし、明日香も悠夜に預けっぱなしだ。

 そういえばノアはどうしたんだ?

 武田さんがこの場にいるってことはまさかやられちまったのか?

「何か言い残すことはありませんか?」

 想いに耽ていると、いつの間にかメシア様のナイフが俺の首筋に当てられていた。

「・・・・・」

「何もありませんね。それでは・・・・」

「ちょい待ちぃ」

「なんですか?大和」

 光明寺さんが如意棒でメシア様のナイフを振り払った。

「何故邪魔をするのです?」

「罰せる相手、間違えとるんちゃうか?」 

 ????俺には光明寺さんが言ってることがいまいち理解できなかった。

 魔女狩りを裏切ったのは俺だから、罰せられるのは俺のはず。

「隼人に氷室亜矢を守れと命令したのはワイや。隼人はワイの命に従っただけで何も悪うない」

 光明寺さん、まさか俺を庇おうと・・・・

「何を言ってるんですか。これは俺の意思で・・・・」

「自惚れんなや」

 如意棒をガンと俺の目の前で突き立てた。

「隼人に庇ってもらうほど、ワイはそこまで落ちてへん。

っということで、処断されるのはワイのはずや」

 光明寺さんがそう言うとメシア様はしばらく考えた後、口を開いた。

「そうですか。大和ほどの者がそんなことするとは信じられませんけど、仕方ありません」

 メシア様はそう言うと、今度は光明寺さんにナイフを向けてきた。

 光明寺さんは縛られもしてないのに、その場に立ち尽くしているだけだ。

 何とかしないと、このままじゃ光明寺さんが・・・・

「メシア様、こいつの処分は俺に任せてくれないか?」

 水無月さんが一歩前に出て、そう言った。

「龍二に・・・・いいでしょう。大和の処分は龍二に任せます」 

 メシア様はそう言い、元の場所に戻った。

「龍二、ワイをどないする気や?」

「行け。お前と肩を並べて戦うのも嫌気が差してきたところだ」

 要するに逃げていいって事なのか?

「後悔することになんで?」

「かまわん。どちらが強いかはっきりさせたいしな。せいぜい俺を楽しませろ」

「そう言うんやったら、遠慮なく出て行かせてもらうわ。ほなな」

 光明寺さんはそう言って、部屋から出て行ってしまった。

 簡単に言えば追放という処分が下されたってことか。


「さて、この件は終わりとして、隼人、早く自分の位置に戻りなさい」

 メシア様にそう言われた瞬間、信徒に今まで縛られていた縄を解かれた。

 俺は今すぐ亜矢の敵を討ちたかったが、光明寺さんの行為を無駄にすることができなかったので、しぶしぶ位置についた。

「次に任命式を始める。烏丸鋭霧、武田毅、前へ」

 2人はメシア様の前に立ち、立膝で頭を下げた。

「鋭霧、あなたには、南支部を任せます。毅はまた東支部を任せます」

「「はっ」」

 2人はよリ深く頭を下げ、立ち上がった。

「毅には前いた補佐役がまだいましたね。それでは鋭霧、この中からあなた直々の部下を選びなさい」

 この中と言うのはここにいる神兵の4人を指す。

 あ、俺は含まれないのか?

「それじゃあ・・・・」

 烏丸は一通り俺たちを見回った後、口を開いた。

「隼人で」

 俺に指を指して、そう言った。

「また裏切るかもしれませんよ」

 メシア様は俺を本部から引き離したくないはずだ。

「大丈夫ですよ。隼人は俺にとって一番信用できる仲間ですから」

 烏丸おまえ・・・・俺のことをそんな風に。

「分かりました。それでは毅は東支部に、鋭霧と隼人は南支部に、準備が整い次第、至急発ちなさい」

 その一言で、今回の評定は終わった。


「隼人支度できたか?」

 烏丸が俺の部屋にでかい荷物を持って入ってきた。

「あぁ、あともうちょっと。そこでちょっとくつろいでいてくれ」

 俺は荷物をまとめながら、今まで気になっていたことを聞いた。

「なぁ烏丸」

「ん?」

「俺が水無月さんにやられた後どうなったんだ?亜矢は本当に殺されたのか?」

 未だ亜矢が死んだことを信じられず、確認のために亜矢のことももう一度聞いた。

「お前が水無月さんにやられた後、水無月さんは亜矢ちゃんに襲い掛かり、一瞬にして吹き飛ばした。

俺は水無月さんの、おかげで裏切りの罪をかぶらず今にいたるってわけだ」

 烏丸は穴だらけの説明をして、それで終わった。

「おい、亜矢を吹き飛ばして、その後どうなったんだよ?」

「わからねぇ。水無月さんも驚いていた。そこにいるはずの亜矢ちゃんがいなかったんだよ」

「いなかったって、消えたってことか?」

「そうなるかな。死体も見つかってないウヤムヤのままでこの任務は終わっちまったんだ。

因みにメシア様には水無月さんが跡形もなく消し去ったと報告したら、あっさり通っちまった。

まぁ水無月さんそういうことができる人だからな」

 死体が見つかってないならもしかしたら・・・・

「でも俺は亜矢ちゃんが生きていると信じている。そのために隼人を補佐に選び、一緒に南支部で亜矢ちゃんを探そうと考えている」

「烏丸・・・・・俺も亜矢が生きていると信じてる」

「さて、準備も出来たようだし、そろそろ行くか。門の前まで皆が見送りしてくれるみたいだしな」

「あぁ」


「鬼庭先輩〜」

「烏丸」

 門の近くで皐月と朝霧先輩が見送りに来ていた。

 一人足りないぞ?

「あれ?相馬さんは?」

「そう言えばどこいったんだ?」 

 俺と烏丸は周りを見渡して、相馬さんを探すがどこにも見当たらなかった。

「相馬先輩なら、武田先輩と一緒に行きましたよ。『剣を極めるには腕のイイ剣士の側にいることが何よりの近道』って言い残して」

「2人に挨拶できないことを悔やんでたけどな、永遠の別れじゃねえんだし気にすることないだろ」

 相馬さんは、武田さんと一緒に行ったのか。

 少し心配だけど、相馬さんなら間違った方向には進まないだろ。

「じゃあお前たちも元気でやれよ」

「私達もいつか、本部を出て烏丸先輩らに負けない立派な支部長官になってみせますから」

「頑張れよ」

 俺たちは朝霧先輩と皐月に笑顔で見送られながら、本部を去った。


「光明寺さん」

 本部から少し離れた所に光明寺さんが、壁にもたれながら佇んでいた。

「よぉ」

「すみませんでした」

 俺は荷物を置いて真っ先に謝った。

「俺のせいで魔女狩りを追放されて、しかも狙われるハメになってしまって・・・・」

「いいんや。そんなに気にすんなや。ワイもメシアのやり方気に入らんかったさかい。そろそろ出て行きたかって、いい口実ができて感謝しとるねんで」

 光明寺さん・・・・

「ありがとうございます」

 俺は深々と頭を下げた。

「光明寺さん、俺、アレでよかったんですか?」

 烏丸が光明寺さんに尋ねた。

 アレってなんだ?

「まぁ、結果的にはいまいちに終わってもたけど、これが一番いい結果やったと思う」

「・・・・」

「あ〜すまんすまん、隼人にはまだ話してなかったな」

 俺が頭の上に?マークを出しているような顔をしていると、光明寺さんが俺が話しについていけてないことに気づいた。

「鋭霧はな、氷室亜矢暗殺の任務を受ける前にワイに相談してきよってん」

 烏丸が光明寺さんに?

「まぁ、先に龍二に相談したみたいやったみたいやけど、納得いかんかってんな?」

 光明寺さんが、烏丸に同意を求めた。

「水無月さんは、メシア様の命令は絶対だ、の一点張りで相談できなかったんだ」

「そこでワイが鋭霧の相談にのり、任務を受けることを勧め、隼人が起こす行動も鋭霧に報せた」

 そういうことか、あの任務を受けたのも、全部芝居だったってことか。

「最後は見てられなくて、隼人に手貸しちまったけどな。亜矢も心配だったし」

 烏丸が笑いながら付け足した。

「そういや、忘れとったわ。隼人らの耳に入れときたいことがあってん。

ワイが思うに、氷室亜矢は絶対に生きとる。メシアがあれだけ恐れとった相手や。そう簡単に死ぬはずない」

 メシア様が亜矢を恐れていた?

「何か亜矢ちゃんにすごい秘密があったってことですね」

「そういうことや。だからそんな落ち込まんでええで」

 光明寺さんはそう言い残して、立ち去ってしまった。

「どこか行く宛てでもあるんですか?」

 俺は大声で光明寺さんに向かって叫んだ。

「どっか山奥にでも潜んどくわ」

 そう言って、左手を軽く上げて、消えていった。


「じゃあ俺たちも行くか。新しい本拠地に」

「そうだな。行っておくけど、一応俺は支部長官で隼人は補佐なんだからそこの所気をつけろよ」

「そんな細かいこと気にするなって」

 俺たちはバカ騒ぎをしながら、南支部に向かった。

 これからの魔女狩りの未来のために。




ここまで読んでくれた皆様ありがとうございました。

え?話が中途半端じゃないかって?

だってこれは出会い編ですよ〜

わかりやすく言えば第1章って所かな。

魔女狩りってタイトルだけにして、サブタイトルで1章、2章って分ければよかったんだけど、一応かき終えたっていう余韻に浸りたくてw

でも2章だけ特別で3部構成なんですよね〜

独立編と旅立ち編と逃亡編に別れ、3人の主人公が同じ時間帯を進んでいくみたいな・・・・

そして3章で2章での主人公がめぐり合うって構成だから分けときたかったんですよね〜

っということで次回、独立編、旅立ち編、逃亡編のどれかから投稿していこうと思います。

感想&評価などいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ