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第23話:隼人VS水無月龍二

瀕死の亜矢を放ってはおけなかった烏丸は隼人と共に行動することに。

2人は亜矢を助けるため戦闘を離脱することを試みるが、武田毅に妨害されてしまう

 

 俺は担架を作るため、近くの民家の庭から物干し竿を2本、烏丸はシーツを持ってきた。

 何も言ってないのにここまで綺麗に分かれるとは、驚くほどのコンビネーションだ。

 材料が揃い次第俺たちは、組み立て担架を作り上げ、亜矢をその上に乗せた。

 ここまでで約1分くらいだ。

「俺を置いてどこ行く気だ?」


            【漣】


 やばい。既に俺たちは手作り担架で亜矢を担いでる最中なのに、どちらかが手を離せば最悪な状態になる。

 その時ノアが俺の目の前に現れ、正面から漣を受けた。

「痛い。けど痛いとしか感じないよ」

 ノアはそう言って不敵に笑った。

「烏丸こいつはノアが相手をしてくれる。だから俺達は早く」

「わかった」

 俺達はとにかく走った。

 絶対に亜矢は死なせない。

 それは烏丸も同じ事を考えているはずだ。

 でもここから先に待ち受けているのは・・・・

「神兵の鬼庭隼人と烏丸鋭霧がターゲットの氷室亜矢を連れて逃走と連絡が入ってきて確かめに来たら、まさか本当に逃走してるとはな」

「水無月さん」

 結界の外に出る手前で魔女狩りNO.1と2を争う強さを誇る水無月さんが待ち構えていた。

 誰と争ってるかと言うと、俺の上司である光明寺さんだ。

 あの二人はバケモノ並に強い。

 因みにメシア様はNO.3だ。

「随分内応者を作ってたみたいだな。おかげで陽河兄弟を捕まえそこなってしまった」

「内応者?一体誰のことだ?」

「しらをきるつもりか?お前たち神兵全員は勿論、大和と美里もこの戦いに加わらなかった」

 光明寺さんが?朝霧先輩や皐月まで・・・それに真田まで俺たちに味方してくれてたのか。

「まぁ、別にこの戦いに参加しないだけで裏切り者扱いにはならないが、メシア様が不信を持つのは確かだ」

「だから何だってんだ!いいからそこをどけ」

 言っても無駄なことだと、わかっててもつい言ってしまうものだ。

「それは無理だ。みすみすそいつを逃がすわけにはいかんからな。そいつは後々我々にとって厄介な敵になる」

 そんなはずない。

 たかが魔法が使えるってだけで、俺たちの敵と決まったわけじゃない。

 魔法使い全てを狩るからそういう結論になるんだ。

「まだ何もしてない奴を狩るのはおかしい。魔法を使える人だっていい人もいるはず。亜矢もその一人です。だから敵になるなんてありえません」

「事が起きてからだと遅いのだよ。今はいい奴でも後々変わるという可能性もある。お前はそれを断言できるのか?」

「できる。亜矢は絶対にそんなことしない」

「っふ、時間の無駄だったようだな」

 水無月さんがそう言って片手を上げた瞬間、数百の信徒が一斉に俺たちに襲い掛かってきた。

「亜矢ちゃんを一旦降ろそう。担ぎながら戦うのは流石に無理だ」

 同感だ。信徒相手ならなんとか応戦して勝てそうだ。


          【ニードルシャイン】

          【サーベルレイン】


 烏丸は無数の土の針をできるだけ広い範囲に放ち、俺は烏丸が仕留め損ねた信徒を狙って剣の雨を降らせた。

 だが今回の信徒はしぶとく、一撃では倒れてくれず、ゾンビみたいに何度も立ち向かってきた。

「なんだこいつら?ゾンビか?」

 いや、痛がっているからゾンビではなさそうだが・・・・

「氷室亜矢を殺した奴は、神兵への昇格を約束する。だから死ぬ気でかかれ」

 そういうことか。弱りきった亜矢を殺すだけで神兵になれるんだったら安いものだ。

 だが俺たちにも負けられない理由がある。

「隼人、上を見ろ」

 烏丸に言われ、上を見てみると、上空に俺らを中心に魔方陣が描かれていた。

 この魔方陣は水無月さんだ。でもどんな効果か全くわからないが、ここにいたらヤバイ気がした。

「烏丸、亜矢をおぶってくれ。場所を移動する」

「場所を移動って、この場所から移動できる所などないぞ。360℃信徒に囲まれているし」

 確かに移動したくてもできないのが今の現状だ。

 こいつらを一掃できる技は俺にも烏丸にも持ち合わせていない。

 絶体絶命とはこういうことだな。

 その時、地中から白い光が飛び出し、信徒が消えていった。

「烏丸、お前がやったのか?」

「いや、隼人じゃないのか?」

 烏丸じゃないってことは・・・・

 俺たちは2人して、亜矢の方に目をやった。

「私でも少しは役に立てたかな?」

 やはりさっきの魔法は亜矢だった。

「亜矢ちゃん立って大丈夫なのかよ?すごい血を流してたけど?」

「大丈夫、治癒魔法も少し使えるみたいだから」

 それは心強い。でも治癒魔法を使ってる割にはかなりつらそうだけど。

 やっぱり、治癒魔法をかけててもつらいものなのか?

「次はあの魔方陣だな・・・ってなんだアレ?」

 烏丸の叫びと同時に俺たちはまた上空を見上げた。

 魔方陣からは黒いローブを来た巨人が現れた。

 巨人と言っても、顔の血色は悪くとても普通の巨人ではない。

 分かりやすく言えばこの世の者ではない、魔王みたいな奴だ。

 もっと分かりやすく言えばRPGゲームののラスボスの最終形態みたいな奴だ。

 それほど恐ろしい奴が何故あんな魔方陣から現れたのかは知らないが、俺たちの敵には変わりなさそうだ。

「隼人一斉にあいつを狙い打ちにするぞ」

 俺たちは一斉にその巨人に攻撃したが、全くの無反応でダメージを受けているのか全然わからない。

 不死身かあいつ?

 俺たちがうろたえてる中、巨人は手のひらサイズの火の玉を俺たちに放ってきた。

 巨人の手のひらサイズでも俺たちから隕石並のでかさだ。 

「あんなのくらったらおしまいだぞ。隼人全力で止めるぞ」

 わかってるよ。

 でも俺たちの生半可の力ではその火の玉は相殺できず、すぐ目の前まで迫ってきた。


              【ホーリーシールド】


 亜矢はボロボロな身体で健気に立ち上がり、白い盾を張り巡らせた。

 これでなんとか持ちこたえ・・・・

「バカ野郎。そんなことしたら本当に死んじまうぞ」

 烏丸が叫び、亜矢の魔力を盾に注いでいる腕をなぎ払った。

 俺は烏丸のその言葉に圧倒させられた。

 最悪だな。俺は・・・・自分のことしか考えてなくて、何が亜矢の事が好きだだ。

 烏丸は常に亜矢のことを気にかけていたんだ。

 あいつは俺よりも亜矢のことを深く想っている。

「2人が助かるなら私はそれでもいい」

 亜矢は烏丸の忠告を無視し、再び盾にありったけの魔力を注ぎ込んだ。

 でもあの巨人の火の玉はケタ違いで、しかも既にボロボロの盾で完全に防ぐのは不可能に近かった。


             【アースウォール】


「俺達も同じだ。亜矢が助かるならそれでいい」

 烏丸は白い盾のひび割れに、土の壁を張り強化させた。

 二人はまだ諦めてねぇのに、なんで俺だけ諦めかけてるんだよ。

 どっちみち亜矢を助けるために一度は捨てた命、惜しくはねぇ。

「隼人、お前何する気だ」

「俺も烏丸と亜矢と同じだ。二人が助かるならそれで十分だ」

 そういい残して、巨人の真横に回りこんで、意識をソウルイーターに集中させた。

「「隼人」」

 烏丸、亜矢のことを頼んだ。


              【ソウルイーター・冥怖】


 発動するかわからない俺の最強の技を、あの巨人に放った。

 空からは6人の骸骨の死神が円を描くように舞い降りてきて、巨人を囲んだ。

 よし、成功だ。これで倒せなったら、終わりだな。

 6人の死神は一斉に鎌を振り下ろした瞬間、天から闇の魔法球がとめどなく、巨人に降り注いだ。

 それと同時に、ものすごい爆風が襲い掛かってきた。

 烏丸達は盾で爆風も凌いでいるが、俺にはそれを耐える力は残っていなかった。

 かなり吹き飛ばされてしまったが、どうにか巨人を消滅させることに成功した。

 俺は巨人が消滅するのを確かめ、目を閉じた。

 クソ!まだ水無月さんが残ってるのにこんな所で・・・・

 意識を失わないように、重いまぶたを開こうとするが、身体は全く言うことを聞いてくれなかった。

「まさか、ピサロがやられるとは驚きだぞ」

 やばい、早く立ち上がらなくては。

「でもこれでおわりだ。鬼庭隼人」

 その言葉を聞いた瞬間、俺は意識を失い、目覚めた時には魔女狩り本部の地下牢だった。



さて、隼人が意識を失った後、どうなったのか?

亜矢と烏丸は無事なのか?

次回、最終話!・・・・かもしれない

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