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第17話:隼人VS悠夜

亜矢のせいで悠夜達に聞き耳をたてていたのがバレた隼人。この後一体・・・・

「なんで隼人がここにいるの?それに氷室さんも」

 悠夜に続き光喜達も俺に気づいた。

「あれ?隼人こんな所でなにしてるの?」

 っち、こりゃ負けるとわかっててもやるしかねぇな。

 しかもここは体育館裏、普段でも人気がないのに、今日とかここを通る奴などいないだろう。

「・・・・」

「?」

 でも悠夜は何も言わずに俺の横を素通りして行ってしまった。

「え?え?待ってよ悠夜〜」

 光喜らは悠夜の後を追った。

 危なかった、亜矢がいなかったら今頃・・・・

 でも亜矢のせいで見つかったんだよな?

「なに?ケンカでもしたの?」

「いや、なんでもない」

 俺は悠夜らと反対の方へ目的もなく歩きだした。


 ほっとけば命を狙われるのは目に見えている。

 だったら悠夜らが行動を起こす前に相馬さんや皐月達の耳にいれとくべきだな。

 俺は校舎を歩き回り、皆を探したが、誰一人見つからなかった。

 どういうことだ?もう悠夜の手が回ったってことか?

 どっちにしてもこのままじゃあ見つかりそうにない。

「明日香」

「はい」

 俺がそう呼ぶと、明日香は俺の隣に忍者みたいに現れた。

「今から言う人物を探してほしい。同じ学年の相馬和、3年の朝霧耀綱、1年の紅皐月だ」

 烏丸は多分探すだけ無駄だろう。

 どうせ今この時間は学校にいないだろうし。

「わかりました。あと今から文化実行委員は会議室に集まるようと担任が」

「わかった。じゃあ3人のこと任せた」

 そう言って、俺は会議室に向かった。


 会議の内容は片付け+打ち上げのことだった。

 でも今の俺にはそんなことどうでもよかった。

 今一番気がかりのなのは3組の席だ。

 本当は相馬さんがいるはずなのに、今は空席だった。

 俺はこんな所で無駄に時間を過ごしていいのか?

 こうしてる間にも・・・・

「っう」

 急にズシっと体が重くなり、俺は机にうつ伏せになった。

「一体何が・・・」

 俺は会議室一帯を見渡すと、信じがたい光景が目に入ってきた。

「固まっている?いや、止まってるのか」

 おそらく誰かが時間操作をし、この学校内の時間を止めたのだろう。

 こんなでかい魔法を使えるのは、多分陽河4兄弟の誰かに違いない。

 とりあえず俺は会議室から出て、学校の外を目指した。

 他の教室や廊下にいる奴も、みんなその場で固まっていた。

「はぁはぁ、この廊下こんなに長かったか?」

 体が重いせいで、壁にもたれながら歩くのがやっとの状態だ。

「明日香、いるか?」

 でも明日香は初めて現れなかった。

「っということは明日香も固まっているのか、それとも明日香の身に何か?」

「隼・・人・?」

 靴箱近くの廊下でどこからか俺を呼ぶ声が聞こえた。

「誰だ?」

 周囲を見渡しても、皆止まっていて、誰が俺を呼んだのかわからない。

 でもその中で一人だけ近くの教室の中に顔見知りがいて、俺はそいつの名を叫んだ。

「亜矢!」

 亜矢は他の奴らと違い、その場で固まっておらず、その場に倒れているだけだった。

 俺は亜矢を抱きかかえ、亜矢の名を呼んだ

「隼人も、動ける・・・・みたいだね」

 亜矢が苦しそうに言った。

 多分俺同様変な圧迫感があるんだろう。

 でもなんで亜矢は固まっていないんだ?

「ねぇ、これって・・・一体何なの?」

「わからねぇ、でも普通じゃないのは確かだ」

 俺は亜矢を壁にもたれさせた。

「亜矢はここで待っててくれ」

 そう言い残して教室を出ようとした。

「どこ・・・行くの?」

「ちょっとな。すぐ戻ってくるから」

「隼人、必ず・・・戻って・・・きてよ」

「あぁ」

 っと言ったものの、これほどの力を持ってる奴、しかもこんなのに長く魔力を放出できる奴に勝てるのか俺?

「お!」

 とりあえず、外に出てみたら急に体の重みが消えた。

 

 少し離れて、学校を見てみると、薄い赤い膜みたいのに覆われていた。

「やっぱり出てきたか。隼人なら出てこれると思ったぜ」

 背後から悠夜の声がして、俺は無意識に悠夜と距離をとった。

「悠夜!まさかこの魔法お前が・・・?」

「あ?あぁ時間操作は俺にはできねぇ。これをやってるのは竜だ」

「他の3人はどうした?」

「3人?何のことだ?」

「とぼけるな!お前以外だれがやったっていうんだよ!」

 俺は悠夜に殴りかかった。

「知らねぇっていってるだろうが」

 悠夜は俺の攻撃を避け、右ハイキックでカウンターしてきた。

 俺は左腕で防御したが、パワーが強すぎて5メートルほど、吹き飛ばされた。

 っぐビリビリきやがる。あまりあいつの攻撃は受けないほうがいいな。

「何を勘違いしてるのか知らないが、俺はお前以外の神兵とは戦ってないぜ」

 じゃあどうして相馬さんらの姿がなかったんだ。

「さぁ、お前の力みせてみろよ」

 みせろと言われても、今はロクにソウルイーターを使いこなせないし。

 こうなったらハッタリでもかますか。

「そう簡単に手の内をバラす奴いないだろ。お前の方から見せてみろよ」

 まともに使える技も持ってないのに、俺は強気に出た。

「俺は弱い者イジメは趣味じゃないんでな。お前が使わん限り俺も使う必要ねぇ」

 お、これはチャンスじゃね?

 悠夜が魔法を使わないってことは、肉弾戦に持ち越せるじゃねぇか。

「使う気がねぇなら使わしてやるぜ」

 悠夜はそう言った瞬間、姿を消した。

 右!

 俺の目を頼りに悠夜が右に移動したと信じ、右に体勢を変え、バックステップで距離をとった瞬間、

突然目の前に悠夜が現れ、両手で吹き飛ばされた。

「ぐはっ・・・・」

 俺はそのままグラウンドまで吹き飛ばされた。


「後ろに飛んだことによって衝撃を減らすとはなかなかだな」

 いや、ただ単に距離をとろうと思っただけで、そんなことは1ミクロンも考えていなかったのだが。

「寝てるヒマなどねぇぜ」

 倒れている俺に追い討ちをかけようと、悠夜はその場から俺に向かってきた。

 やべ!俺は立ち上がり、体勢を立て直そうとしたが、悠夜のほうが早く、仕方なくガード姿勢をとった。

「そんな所に立ってるだけじゃ勝てないぜ」

「っく・・・」

 もう受けねぇと決めたのに、ガードはしたものの、ほとんど両腕の自由は痺れのせいで奪われた。

「どんな能力か知らねぇが、早く使わねぇと死ぬぞ」

 そんなこと言われても、俺に今使える技はない。

 唯一使えそうな技も、血を流してない今は使っても無意味だろう。

「それともそんな能力元からなかったとか?だとしたら時間を無駄にしたな」

 なんだ?悠夜の右手に黒い魔力が集まっている。

「これで最後だ」

 くそ、あんなのくらったら死ぬのは確実だ。

 こうなったらダメ元で・・・

 頼むソウルイーター、少しでいいから俺に力を・・・


「なんだ・・・?」

 急に俺の体が紫の発光体に包まれ、余韻だけを残し消えた。

 しかも体が軽くなり、悠夜の動きが遅く見えた。

 なんか知らねぇけど、こりゃチャンスじゃねぇか?

 俺は悠夜に突っ込み右手を払いのけて、左手で悠夜を吹き飛ばした。

 だが、悠夜は空中で体勢を立て直し、地面に着地した。

「やっとやる気になったか。それじゃあ勝負はこれからだ!行くぜ黒蘭」

 悠夜がそういうと、幾重にも並ぶ鮫の牙が俺に向かって大きく口をあけている。


「不気味な魔法だな」

「一瞬で決めてやるぜ」

 悠夜はそう言い、飛び上がり、俺にかかとおとしをしてきた。

「そんなの避けれねぇと思ったか?」

 俺は余裕でかわし、落ちてくる悠夜を狙おうとした。

「バーカ、狙いは隼人じゃねぇ」

 なっ・・・

 悠夜はそのまま地面に蹴りを入れ、土ぼこりが舞い、周囲は砂煙につつまれた。

「めくらましか?こういう状況は前に一回あったんで、通用するか」

 俺が見えなきゃ相手も見えない。条件は同じなんだ。

 だとすると、悠夜はどうやってこの状況で俺に攻撃を仕掛けてくるかだ。

 俺はどこから悠夜が攻撃を仕掛けてきてもいいように身構えていたが、背後から悠夜の黒蘭が噛み付いてきた。

「ぐあーーー、この野郎」

 その黒蘭を掴み、無理矢理引き離した。

 何で俺の場所がわかるんだ?

「俺の魔力は闇だ。闇の中で育った動物は目が退化した代わりに、他の察知能力を手に入れる」

 砂煙の中に悠夜の声が響く。

「黒蘭がいる限り俺には目は必要ない」

 また悠夜の声が響く。それと同時にまた黒蘭が襲い掛かってきた。

 こいつ、うろちょろと。あいつの居場所さえわかれば・・・

 俺は黒蘭の攻撃をかわしながら、悠夜の姿を探した。

「これで終わりだ」


          【ダークネスバスター】


 闇の魔法が一直線に俺のほうに向かってきた。

 これを待ってたんだ、この直線上に悠夜がいるはず。


          【ソウルイーター・デュランダル】


 ほぼ力が元に戻りつつことがわかり、勇者の剣をとりだし、ダークネスバスターが飛んできた方向に剣を突き刺し、高速移動した。

「ぐっ・・・」

 捕らえた。

 俺は瞬時に剣を抜き、悠夜に向かって剣を振り下ろした。

「ぐはっ」

 勝った・・・・

 そう思った瞬間、俺の身体から紫の光が消えた。

 その瞬間、体が石のように動かなくなり、俺もその場に倒れた。



「結構楽しませてもらったぜ」

 うつ伏せで倒れている俺に悠夜が話し掛けてきた。

 まだそんな余裕が残っていたとはな。

「幻術は俺の得意分野でな」

 幻だったってことか。やられたな。

 まぁできる限りのことはやったんだ、悔いはない。

「殺せ」

「・・・・」

「どうせ殺すつもりだったんだろ?今の俺には寝返りをうつ力も残っていない」

 俺はそう言って目を閉じた

「あぁ、でも気が変わった。しかもここで殺すのは惜しいからな」

 悠夜はそう言い、俺の隣に腰を下ろした。

「俺らは今日でこの学校を転校する。まぁ昼間聞いてたからわかるよな?」

「あぁ」

「いずれまた、俺らと魔女狩りはぶつかり合う。それまで・・・・

時間が来たようだな。それじゃあ隼人、俺が見逃した命無駄にするんじゃねぇよ。」

 悠夜はそう言い、腰をあげた。

「悠夜!」

 俺は動けない身体にムチをうって立ち上がり、叫んだ。

「悠夜を殺すのは俺だからな。それまで死ぬんじゃねぇぞ」

「っへ、それはこっちのセリフだ。じゃあな」

 悠夜は左手を軽く上げて振り向かず、その場を去っていった。


「はぁ、体が重てぇ〜」

 悠夜を見送った後、俺はまた倒れて、一眠りしようとした。

「隼人様。大変です」

「明日香?どうした?」

 今まで行方不明だった明日香が戻ってきた。

「今すぐ魔女狩り本部へお戻りください。皆さんもそこにいます」

 皆?相馬さんらもそこにいるのか?

 とりあえず行ってみりゃわかるか。

「わかった。でも一人で動けそうにないんだ。肩を貸してくれないか?」

 俺は明日香に起こしてもらい、魔女狩り本部へ帰還した。


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