第15話:隼人VS北条薫
たまたまサボるために教室にやってきた隼人だが、そこには同じ実行委員の北条薫がいた。
そして自分が魔女狩りハンターと明かし、今ココに魔女狩りと魔女狩りハンターの戦いが始まる
命をちょうだいってマジかよ。
何でこうも俺の力が使えない時に、襲ってくるんだよ。
「安心して、一瞬よ」
北条さんは高く飛び上がり、上空から攻撃してきた。
何考えてんだか、上からの攻撃なんかすぐに避けれると思った瞬間、後ろから誰かに捕まれ身動きがとれなくなった。
やばい、このままじゃ本当に一瞬で終わっちまう。
「っぐ」
「明日香、ちゃんと捕まえててよ」
俺は渾身の力で、後ろにいる奴の腕をなんとか振り解いたが、肩にかすり傷を負った。
「すいません。予想以上の力だったもので」
って服部さんがどうしてここに。
俺の後ろにいたのは服部さんだった。
まさか服部さんも魔女狩りハンターなのか?
状況は更に悪化したといっても過言ではないだろう。
何しろ向こうは殺しのプロ?が2人でこっちは存分に力を奮えない奴が一人。
こうなるんだったら昨日、烏丸に手紙を渡しとくんだったな。
「抵抗しないで死んでくれるかな?時間かけすぎるとめんどくさいから」
はいそうですか、って簡単に死ねるか!
こうなったらとことん抵抗してやる。
「明日香!鬼庭君の動きを封じて」
「はい」
北条さんがそう指示すると、服部さんは瞬時に姿を消した。
すると急に足に力が入らなくなり、俺は膝を折った。
見ると両足にクナイが刺さっていた。
「これであなたは動き回ることはできない」
北条さんは双剣を大きく振り上げ、俺に突っ込んできた。
クソ、足に力がはいらねぇ。
俺が逃げるのに必死だった時、突然『カン』と金属が交わる音が聞こえた。
「こんなにも魔力を放出して、私達に居場所を報せてるのと同じよ」
見ると相馬さんが北条さんの双剣を受け止めてくれた。
「3組の相馬和さんね。ちょうどいいわ。先にあなたから血祭りにあげてくれるわ」
そう言うと、周りの景色が暗い教室から、辺り一面の焼け野原に変わった。
「ここからは私のテリトリーよ。誰も侵入を許さないし、出る事もできない」
「元々誰かに助けを呼んでる訳でもないし、逃げる気もさらさらないわ」
相馬さんはそう言って、刀を構えた。
2刀流同士、これはすごい戦いになるかも。
ってまた俺は助けられてばっかりかよ。
「後ろがガラあきよ」
しまった。服部さんのことを忘れてた。
「相馬さん危ない!」
俺がそう叫んだと同時に、相馬さんは右の刀で服部さんの攻撃を受け止め、左の刀で向かってくる北条さんの双剣を薙ぎ払った。
「すげぇ・・・」
っと感心してる場合じゃねぇ。俺も早く参戦しないと。
出血がひどくなるが、クナイを抜き、なんとか立とうとした。
その間にも3人の攻防は続いてた。
血・・・もしかしたらあの技なら!
【ソウルイーター・ブラッドソード】
よし出た!
自分の血を剣に具現化した。
この技は自分の血を代償とするため、魔力の消費が少ないから出せると思った。
それともソウルイーターの力が戻りつつあるからだせたのか?
それにしても毎回出血量がひどい。
まぁそんなことはともかく今は相馬さんを!
俺は咄嗟に3人の間に割り込み、2人に攻撃をしかけた。
北条さんは服部さんは、俺の剣の能力に勘付いたのか間合いをとった。
「へぇ、そういう能力を持ってるんだ」
「魔力が低い者はかすりでもしたらあの世行きです」
そういうことだ。
ってか服部さんは諜報部員かなにかか?詳しすぎるぞ。
「それはまずいわね。要するに当たらなければいいってことね」
【霧時雨】
突然周囲は霧に包まれ、すぐ隣にいる相馬さんさえも見えなくなってしまった。
「っち、どこに隠れやがった」
「慌てないで、見えないのは向こうも同じはずです」
【破壊魔法・ギガデリックス】
「ぐは!」
「キャ!」
俺のまん前で何かが爆発した。
よく見るとカラフルな玉が飛んできてるだけだが、目で確認できた時には、すぐ爆発されて防ぐことはできない。
魔法とは相手が見えなくても、こうも確実に当てられるものなのか?
「違う、最初はただ適当に魔法を放っているだけよ。そして1発目は当たった瞬間、私達の声を頼りに放ってるの」
下から相馬さんの声が聞こえた。
「しゃがんで」
相馬さんに足を引っ張られ、ずっこけた。
俺の頭上では、未だカラフルな玉が飛んでいた。
「次、相手が攻撃を仕掛けてきたら、決着を決めるわよ」
「どうやって?」
「あの魔法が飛んできた方向に彼女らはいるはず。だったら・・・・」
話しの途中でまたあのカラフル玉が俺に当たり、その瞬間相馬さんは、玉が飛んできた方に突撃した。
ってか俺は囮ですか?
そろそろ足も限界に達してきて、そのまま寝そべっていると、霧が晴れだした。
起き上がると、相馬さんが北条さんの肩に刀を2本突き刺していた。
「会長!」
「よく私の居場所がわかったわね」
「これでも神兵よ。甘く見てもらったら困るわね」
焼け野原化してた景色は、見慣れた教室に戻り、北条さんは膝を折った。
「よくも会長を!」
服部さんはクナイで相馬さんに立ち向かったが、簡単に弾かれてしまい、力なく座りこんでしまった。
「その程度で挑んだのが運のツキね」
相馬さんは北条さんの首に刀を突きつけた。
「殺すのか?」
「当たり前でしょ?隼人君殺されかけたんだよ?」
確かにそうなんだが、殺すのは後味が悪い。
「なぁ見逃してやらないか?」
「え?」
「俺もこうして生きてるわけだしさぁ」
「・・・・・」
あれ?俺なんか変なこと言ったっけ?
「あなた本当に魔女狩り?しかも神兵?」
北条さんが確かめるように俺に聞いてきた。
「そうだけど、なんでそんなこと聞くんだ?」
「ちょっと魔女狩りの神兵が言う言葉じゃなかったから」
やっぱり見逃すのはおかしいよな
「いいよ。隼人君がそう言うなら」
相馬さんは剣を鞘に収めた。
「礼は言わないわよ」
北条さんはそう言って、立ち上がり教室から出ようとした。
「会長、私も・・・」
服部さんが立ち上がろうとした瞬間
「ダメ」
北条さんは振り返らずに叫んだ。
「鬼庭君、見逃してくれたついでに一つお願いしてもいいかな?」
「なんだ?」
「明日香をそっちで使ってほしいの」
「はぁ?」
「会長どうしてそんな」
要するに服部さんを魔女狩りに入れろってことだよな?
「明日香、あなたには鬼庭君と一緒に行動して、真の魔女狩りを見てほしいの」
「真の魔女狩り?なんだよそれ?」
「さぁね、魔女狩り皆が鬼庭君みたいな人だったら、こんなことにならなかったのにね」
そう言い残して、北条さんは教室から出て行ってしまった。
「会長の言葉に従います。隼人様、これからはあなたに忠誠を誓います」
右手を前に出し、肘を直角に折り、どこぞやの部隊の敬礼みたいに言った。
「何を企んでるのか、わからないから警戒だけは怠らないようにね」
相馬さんもそう言って、教室から出て行った。
一人にしないでくれ〜。それに隼人様ってなんだよ。
その後、担任から緊急ホームルームが開かれ、北条さんは海外に引越したと発表された。
出て行くならせめて文化祭が終わってからにしてくれよな。
準備は俺たちが戦いを繰り広げてる最中に終わったらしく、後は明日の本番を待つだけなんだが、最後に委員長同士の会議があるらしい。
会議とかまどろっしくて嫌いなんだよな。
そういうときこそ、あいつだな。
「明日香」
「なんでしょうか?」
あれから名前を呼べばすぐに現れるようになった。
校舎、体育館、教室、屋上、男子トイレ、全てで試したが、一言で俺の前に現れた。
でもなぜか服部さんだと現れないので、明日香と呼ぶしかしょうがない。
「後の会議は任せた」
俺はそういい残して、家に直行した
はぁ、明日休もうかな