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第14話:文化祭の準備(後編)

「はいみんな〜休憩だよ」

 北条さんのその一言でクラス全員が一点に集まった。

 しかも多いぐらい作っていたおにぎりが数秒でなくなったのは驚いた。

「ほらほら、鬼庭君、手動いてないよ」

「え?まだ作るの?」

 北条さん達に焦らされながら、再び米を握り始めた。

「そういうのって、女がやる仕事じゃねぇか?」

 背後から悠夜がおにぎりを食べながら話し掛けてきた。

「しゃあねぇだろ。他にやることないみたいだし。ってかお前も手伝え」

「嫌だね」

「はいこれ悠夜の分」

 ナイス光喜。

 気を利かせた光喜が悠夜が作る分のご飯を渡した。

 ざっと5合くらいあるだろう。

 それを悠夜はめんどくさそうに片手で握り始めた。

「おい、ちゃんと真面目にやれ」

「やってるだろ。ちゃんと物見てから言え」

 態度は最悪だが、綺麗な丸いおにぎりがすごい速さで出来ていった。

「うわ〜悠夜君上手だね。こっちもお願い」

「げ・・・」

 北条さんが炊飯器ごと悠夜の所に持っていった。

「やってられるか!」

 悠夜はおにぎりを5、6個持って席を立った。

「じゃあ悠夜君の代わりに鬼庭君と光喜君お願い」

 うわ、とばっちりきたよ。

「うん、わかった」

 しかも光喜はあっさり承諾してるし。

 まぁこれで終わりだし、もうひと頑張りするか。



「終わった〜」

「ご苦労様」

 俺たちの仕事が終わった頃には皆ご飯を食べ終えて、作業に戻っていた。

「それじゃあ私達も食べようか」

 そう言えば俺らはまだだったんだよな。

 そう思って皿を見てみると、ドでかいおにぎりばっか残っていた。

 光喜の作ったやつだ。

「なんで俺のばっか余るんだよ〜」

 でかすぎるからだろ。

 俺は光喜の作ったおにぎりを食べてみた。

「甘っ」

「塩の変わりに砂糖をかけてみました。あとはちみつとか練乳とかも練りこんでみた」

 なんでそんなものいれるんだよ。

 通りで全く減らないわけだ。

「でもこれしかないし、お腹に入れば一緒だよ」

 北条さんはそう言って、光喜の作ったおにぎりを食べ始めた。

 服部さんと美里はどうやら受け付けないらしく、食べるのにためらっている。

 まぁそれもそうだろう。俺も甘いのは苦手だからな。

 でもせっかく光喜が作ったやつだし、食べないわけにはいかないので無理して食べたのは言うまでもない。


「それじゃあ今日のところはこの辺にしましょ」

 ちょうど12時過ぎた辺りで、北条さんはそう言った。

 ってか明日も学校あるんだぞ。

 日付的には今日になるけど・・・

 明日欠席者が続出したらどうする気なんだよ。

「そのときは私直々迎えに行くわ」

 いや、そういう意味じゃなくて体調を悪く・・・って言うだけ無駄か。


「それじゃあ気をつけて〜」

 一応実行委員である俺たちが全生徒を見送った後、門を閉めた。

「送っていこうか?」

「大丈夫、こう見えても護身術には自信あるから。それとこれ」

 そう言われ、手紙を2通預かった。

「なんだこれ?」

「ひとつは鬼庭君ので、もう1つは烏丸君。会ったら渡しといて。それじゃあまた明日」

 北条さんはそう言い残して、走り去ってしまった。


 はぁ、久しぶりの学校だからか少し疲れたな。

 でも今日は例外かな。

「遅いよ〜」

 俺を待っていてくれたのか、すぐそこで亜矢と出くわした。

 そりゃ家が隣なんだから、普通は一緒に帰るよな。

「それにしても今日は疲れたねぇ。明日起きれるかなぁ」

「あぁ」

 家に着くと意外な人物がいた。

「よぉ、遅かったな」

「烏丸!」

「烏丸君、久しぶりだね。明日は学校来れるの?」

「いや、明日も無理だ。今日はちょっと隼人に話があってな」

 烏丸はそう言い、俺の顔を見た。

「そう、じゃあ私はもう帰るね。隼人明日寝坊しちゃだめだよ」

 亜矢はそう言い、家に入って行った。

「っで話ってなんだ?」

「他の奴らもそうだけど、いつまでそんなこと続けてる気だ?」

 何を言ってるんだ?そんなことってなんだ?学校生活のことか?

「俺らの使命は魔法使いを一人でも多く狩ることだ。そんな変な祭り事の準備とかしてる場合じゃねぇだろ」

「それもそうだが、人間休息は必要だ。そういうお前は今まで何してたんだよ」

「俺か?俺は今日で魔法使いをざっと100人は狩った」

 学校にも来ないで何をしてるかと思えば、人殺しかよ。

「お前も来い。そんなままごとみたいなことをやってる奴らはほっといてよ」

 烏丸は俺に手を差し伸べた。

「悪いがそのままごとも結構楽しいんでな」

 俺は烏丸の手を払いのけ、振り返らずに家に入った。

「あ、手紙渡すの忘れた」

 そのことに気づき、外に飛び出たが烏丸の姿はもうなかった。



「隼人!学校遅れるよ〜」

 亜矢の声で目を覚ました俺は時計を見た。

 7時50分。 やば!飯食う時間ないじゃねぇか。

 昨日あんな遅くまで残すから・・・・・

 ブツブツと北条さんに文句を言いながら支度をし、家をでた。

 俺はなんとか遅刻は免れたが、その日はクラスの半分が遅刻してきた。


「たるんでるわ」

 体育館で皆が作業中、北条さんが叫んだ。

「何が?」

「明日までに完成させないといけないのに、遅刻してくるってこと!」

 それは北条さんが遅くまで残したからだよ。

「ちょっと私も手伝ってくるから、見張り頼んだわよ」

 俺らの仕事って見張りだったのか。

「じゃあ光喜頼んだ」

「え〜」

 北条さんに押し付けられた仕事を、光喜に押し付けて俺は屋上へと逃げた。


 烏丸は今日も来てないし、今ごろ魔法使いでも狩ってるだろうな。

「サボりか?」

 俺が外の景色を眺めてる所、上から悠夜の声が聞こえた。

 悠夜は屋上のドアの屋根の上に仰向けに寝ていた。

「お前も人のこと言えないだろ」

「俺は元々やる気ないからな」

「そうかよ」

 まぁ俺には関係ないけどな。

「お、隼人じゃねぇか」

 その声は朝霧先輩、それと隣に黒髪の男がいた。

「朝霧先輩、なんか学校で会うのは久しぶりですね」

「そうだな。っで隼人もサボりか?」

「そうですけど、朝霧先輩もですか?」

「まぁな。あ、隼人はこいつとは初対面だったよな。俺の友達の陽河竜(ひかわりょう)だ」

 陽河・・・もしかして悠夜の・・・

「どっかで聞き覚えのある声がすると思ったら竜かよ」

 横になっていた悠夜が身体を起こした。

「悠夜、そんな所で何してるんだ?」

「昼寝だよ昼寝・・・・保健室行ってこ」

 悠夜はそう言って下に降りてった。

「じゃあ俺は作業に戻るんで」

 朝霧先輩と竜先輩にそう言い残して、屋上を後にした。

 別に悠夜の後を追ったわけでもないし、作業に戻るつもりもサラサラない。

 ただ誰もいない所でサボりたかっただけだ。

 俺は次のサボり場所、教室に向かった。


 ここなら誰もいないだろ・・・っているし。

 北条さんが教卓の前に立っていた。

「遅かったね」

 北条さんはまるで俺がここに来るのが分かったような口調で言った。

 約束とかはしてないはずだ。

「ん?何?どうしてそんなに驚いてるの?」

「だって、俺がここに来ることが分かってたみたいだし」

「あれ?手紙を読んだからここに来たんじゃないの?」

 手紙って昨日もらったやつか。

 昨日は疲れてたから読まずに、そのまま寝てしまったんだよなぁ。

「まぁ、来てくれたからいいかな」

「俺をこんな所に呼び出して何の用だったんだ?」

 俺は自分の席に移動して机にうつ伏せになって、堂々とサボることにした。

「2人っきりになってもなかなかやるチャンスがなくて困ったよ」

「やるって何をだよ?」

「あなたを殺ること」

 急に寒気がして顔を上げた瞬間、刃が俺の机にでかいキズをつけた。

「な・・・・」

 俺は椅子から立ち上がり、すぐさま北条さんと距離をとった。

 ドアに手をかけたが、鉄のように重く開かなかった。

「残念。さすが神兵なだけはあるわね」

 北条さんは笑顔でそう言った。

 当分は戦いとかないと思ったら、すぐこれか。

 しかもなんで俺が北条さんに狙われなくちゃならねぇんだ?

 ん?待てよ、俺のことを神兵って知ってるってことは・・・・

「まさか」

「そう、そのまさかよ。魔女狩りハンター北条薫。」

 魔女狩りハンターって、こんな所にも潜んでたのかよ。

「魔女狩りであるあなた、神兵鬼庭隼人、あなたの命ちょうだいするわ」

 北条さんの両手には双剣を握られており、右の双剣を俺に向けた。


意外な展開でまた戦いが始まり〜

隼人はこの危機からどう脱するのか?

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