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第13話:文化祭の準備(前編)

久しぶりに学校に来た隼人は休んでる間に文化祭実行委員に任命させられていた。

そして同じ実行委員の北条薫と文化祭に使う道具などを買いにきていた。

「それでこんな所に来てどうするんだ?」

「ん〜まずは板を買わなきゃね」

「はぁ?」

「それと釘とのこぎりと・・・・」

 びっしりと文字が詰まったメモ帳を眺め、ぶつぶつ言いながら次々に買い物っかごをいっぱいにさせていった。

 この人は一体どこまで本格的にやるつもりなんだ。

「あ!鬼庭せんぱ〜い」

 誰だ?そんな大声でしかも店の中で叫ぶ奴は・・・・

「こんな所で会うなんて奇遇ですね」

 同じ神兵の皐月だ。それと隣にもう一人。

「誰だそいつ?」

「あ、この子は陽河梓(ひかわあずさ)さん」

 ペコリ

 その子は無言で俺に会釈した。

 この子が光喜が言ってた血がつながっていない妹か。

 黒髪のショートヘアーで、前髪の左半分が妙に長い。

 ってか兄よりも髪の毛短いってなんか・・・悠夜が長すぎなんだよな。

「っで皐月らは何しに来たんだ?クラスの出し物の買い出しか?」

「まぁそんな所です。」

「ふ〜ん。皐月のクラスは何をやるんだ?」

「え〜とですね、看板作りです」

「なんだそれ?」

「大きい看板を作って、門の前に飾るんです」

「飾ってどうするんだ?」

「それだけですよ」

 うわ、すげぇ楽じゃん。俺のクラスももっと楽な出し物にしとけよな。

「それじゃあ鬼庭先輩もお化け屋敷頑張って下さいね。絶対行きますから」

 皐月はそう言って、学校に戻っていった。

 梓はまた俺に一礼して、皐月の後を追った。

 一言も喋らなかったけど、喋れないのか?

 それとも人見知りか何かか?

 俺は近くのベンチに腰をかけて、北条さんが戻ってくるまで待った。


「こんな所にいたの?探したんだよ」

 手ぶらで北条さんが戻ってきた。

「あれ?買った荷物はどうしたんですか?」

「アレ」

 北条さんは笑顔でトラックの方を指を指した。

 そのトラックを見ると、どんどん板やら布団やらアクリル板?やらが担ぎこまれていた。

「まさか・・・・」

「今から運んでくれるって」

 なんて無茶な人なんだ。これじゃあ軽く予算オーバーだな。

「じゃあ帰りましょ」

 北条さんは先々学校のほうへ帰っていって、俺はその後を追った。


 学校に着くとトラックはもう来ていて、生徒たちの注目の的になっていた。

「あ、これを体育館までお願いします」

 一人だけ動揺とかせずに、運送屋さんに指示をしてる人がいた。

「明日香、ただいま〜」 

「あ、会長お帰りなさいませ」

 服部明日香(はっとりあすか)、黄色の髪で前髪が目に被るくらい長く、髪型は小さいポニーテール。

 同じクラスで生徒会の書記をしていて、北条さんとは大の仲良しらしい。

 クラスで一番背が低くて、あまり目立たない子なんだが、今日に限ってはよく目立つ。

「北条さんこれは一体なんですか!?」

「またこんな無理をして・・・・」

 先生達が集まり、北条さんに説教しだした。

 俺はとばっちりを食わないように、教室へと逃げ帰った。

 っが、そこにいるのは悠夜一人だけだった。

 どうやら皆は体育館に集まって作業をしているらしい。

 黒板にはでかでかとお化け屋敷の図面まで書いて、目指せ1位と大きく書かれていた。

 俺がいない間にも話は進んでたみたいだな。

「お前はいかねぇのか?」 

「あ?隼人か、めんどくせぇ」

 こいつにやる気というものがあるのか疑いたくなる。

「お前実行委員だろ。さっさと行って来い」

「お前も来い」

 俺は悠夜を起こし、共に教室を出た。


「隼人〜どこ行ってたの?もう薫は作業に入ってるよ」

 体育館の目の前まで来て、遠くから亜矢が手を振ってる。

「おぉ、俺も今から悠夜と・・・ってあいつどこいった?」

 てっきり後ろについて来てると思ったんだが、知らない間に逃げたらしい。

 まぁ仕方ない。探すのも時間の無駄だ。

 俺はそう思い、作業に入ろうとしたが何をすればいいかまったくわからん。

 板をノコギリで切ってたり、釘で組み立ててたり、暗幕をつけてたり、いろんなグループに分かれてるみたいだが・・・

「隼人はこっちだよ」

 光喜にひっぱられ、体育館の隅に連れて来られた。

「何やってるんだ?」

 そこには机に炊飯器やら梅干し、かつお、塩、ジュースなどなどが並べられていた。

「夜食を作ってるの。こんなの明日までにできるわけないしね」

 また北条さんが無茶を言い出した。

 まぁここまで用意してるんじゃあ今更言っても徒労だろ。

「会長、お待たせしました」

 服部さんが家庭科室の皿を持って、美里と一緒に帰って来た。

 あ、こいつもいたんだっけ。

 てっきり忘れてたが美里も同じクラスだったんだ。

 俺と同い年なのに、なんで幹部会なのか問いたいが、どうせ無駄だろう。

「それじゃあ張り切って作るわよ」

 北条さんは炊飯器を開けて、まずごはんを全部大皿に移した。

 俺がなんでおにぎりなんか作らなきゃなんねぇんだよ。

 悠夜と一緒にサボればよかったと、今更後悔したが遅いか・・・

「そろそろ下校の時間ですよ・・・って北条さん何してるんですか!」

 先生が俺たちを見つけ、すごい勢いで走ってきた。

「夜食です」

「夜食ってそんな遅くまで学校に残ることは許しません」

 どうやら先生の許可なしでやってたみたいだ。

 っということはこの家庭科室の皿を黙って持ってきたってことか。

 まぁこれで帰れるだろうと、俺は一息つこうとしたら

「作りなさい」

 服部さんに初めて怒られたが

「でも多分中止だろ?」

「会長なら大丈夫です」

 どこにそんな根拠があるんだよ。

 っと思っていると先生は何故か帰っていった。

「さぁ始めるわよ」

 笑顔で振り返って言った北条さんは、おにぎりを作り始めた。

「隼人、楽しいね」

 光喜は自分の顔くらいのでかさのおにぎりを握りながら言った。

「あぁ、そうだな」

 まだ今日は長そうだ・・・・


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