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第12話:一時の休息

「鬼庭隼人様が来られました」

 見張りの信徒がメシア様の部屋に入って報告した。

 数秒後その信徒が出てきて、顎で俺に部屋に入るよう合図した。

「失礼します」

 メシア様の部屋は殺風景で、何もなく、真っ白い部屋に、唯一あるのはベッドと魔法の辞典がいっぱいならんだ本棚だけだった。

「隼人、よく無事で戻って来てくれました。それと片桐一家滅亡計画、失敗に終わりましたがご苦労でした」

「もったいなきお言葉」

 ってかメシア様と2人だけで話すのとか初めてだぞ。

 俺はどうすればいいのかわからず、ただただ頭を深く下げた。

「でもまだ、力が弱いみたいですね。私の魔力を少し分け与えてあげます。」

 力をもらえるのは嬉しいが、そしたらソウルイーターの力がなくなったことがバレてしまう。

 でも力はほしい・・・どうすれば・・・・

「そんなに気にしなくても結構ですよ。他の4人もちゃんと受け取りましたから。さぁ紋章をだしなさい」

「いえ、力をもらえるのはありがたいのですけど、結構です。弱いのは俺が未熟なせいなので」

「隼人?」

「それでは失礼します」

 俺はメシア様に一礼して逃げるようにその場を去った。


「よぉ隼人!どうしたんだ?」

「はぁはぁ烏丸か・・・」

 廊下を走ってる途中に烏丸とすれ違った。

「メシア様にはもう会ったのか?」

「あぁ」

「じゃあもう強化してもらったよな?俺と一戦交えようぜ」

「は?」

 俺は理解に苦しんだが、烏丸は速攻戦闘モードに入り、俺に攻撃を仕掛けてきた。

「なんで俺がお前と戦わなくちゃいけないんだよ」

「どっちが強いか白黒つけるのは当然だろ?因みにお前に勝てば5人の中で1番強いのは俺だ」

 烏丸は自慢気にそう言い、俺に挑発してきた。

 白黒つけるって何を急に・・・

 でも今戦ったら明らか負けるのはわかりきったことだ。

 それに俺だけ強化してもらってないのに、勝てるはずがない。


     【ニードルスコール】


 まぁ、考えるのは後だ。

 土でできた図太い針が、嵐のように俺に向かってきて、自らの拳で相殺するので精一杯だった。

「どうした?早く俺に何か仕掛けてこねえとやられるぞ」

 確かに、このままあいつの攻撃を相殺してばっかりだと、俺の体力が持たない。

 だからといって、何か手があるはずもない。

「っぐ・・・」

 何とか今まで烏丸の攻撃を防げていたが、油断をして肩に針が刺さり、ひるんだ瞬間無数の針が俺を襲った。

「油断していたとはいえ、この勝負俺の勝ちだな」

 烏丸はそう言い去っていった。

 俺に刺さった針は消えたが、かなりのダメージで立つこともままならなかった。


「烏丸の奴ひでぇよな、おい立てるか?」

 朝霧先輩が俺に手を差し伸べてきた。

「見てたなら助けてくださいよ」

「いや、俺がいっても無駄だと思うし」

「力をもらった時から烏丸君、なんか人が変わっちゃったからね」

 朝霧と皐月に肩を借り、医務室に向かった。



 まぁ、当分は魔女狩りとしての任務がないため、やっと学校の勉強に精を出せるってもんだ。

 でもあんま勉強しないんだが、今の俺は久しぶりに学校に行くことが嬉しかった。

 ごく当たり前のことでも、現実離れした経験をした後は、特に嬉しく感じるもんだ。



「隼人〜」

 後ろから聞こえる昔から聞きなれた声。

「隼人!」

「うわ!」

 亜矢が後ろから俺に飛び込んできた。

「危ないだろ!・・・・亜矢?」

「心配したんだよ。和ちゃん達から隼人が行方不明って聞いたときは私どうしたらいいか・・・・」

「ごめん。心配かけたみたいだな」

 俺の胸に顔を埋ませてる亜矢をそっとなでた。

「でもよかった。無事に帰ってきてくれて」

「亜矢」

「バカップルもほどほどにしとけよ」

「な!!」

 横から何気なく素通りしながらそいつは言った。

 そういえば学校に行く道中に俺は一体なにやってるんだ。

 しかもよりによってこいつに見られるとは・・・

「おい悠夜!お前はどうして急に現れるんだよ」

「偶然だ」

 そう何度も偶然があってたまるかってんだよ。

「隼人〜〜〜〜」

「ぐは」

 今俺の腹にヘディングをしてきたのは、悠夜の双子の弟、光喜だ。

「隼人、生き返れてよかったね」

 は?っ俺は死んでないから。一体どこでそういう話になったんだ?

 ってか普通、人が死んだら生き返るなんか有り得ないから。

「このメンバーで学校行くの久しぶりだね。昨日まで悠夜君も光喜君も長い間学校休んでたし」

「え?お前たちも休んでたのか?なんかあったのか?」

「えっとね、魔女ッモガモガ・・・・」

「お前には関係ない」

 悠夜が光喜の口を押さえてそう言った。

 今、魔女って言ったよな?まさか魔女狩りって言おうとしたわけじゃないよな?

 そういえばこいつの名字って陽河だよな。

 陽河と言えば魔法使いの中で3本の指に入るぐらいの大魔法使いの家系だが・・・・

 考えすぎだな。

 俺はそう自分なりの答えを出して、そのまま他愛ない話をしながら学校に行った。


 学校に着いて、5分も経たないうちに1限目の授業が始まった。

 けっこうのんびりしすぎたみたいだ。

 まぁ、それはいいとして、ひとつ気になったのは烏丸の席だ。

 聞けば、この前片桐家から戻ってきてから、1回だけ学校に顔を出して、それ以来来ていないらしい。

 一体どこで何をしているのか・・・

「鬼庭くん」

「あぁ?」

 いつの間にか先生にあてられてたみたいだ。

「なんッスか?」

「あなたこのクラスの文化祭実行委員なんだから前に出て来なさい」

「はぁ?」

 理解に苦しむ俺にクラスの皆がごちゃごちゃと言い出した。

 まぁ話をまとめるとこうだ。

 もう明後日にこの学校の文化祭があるらしく、数週間前に俺が文化祭実行委員に推薦されたらしい。

 ってか絶対推薦とか嘘だろ。たまたま休んでる奴にやらしとけ、見たいな感じだったんだろう。

「それじゃあ後は任せたわよ」

 先生はそう言い残して教室から出て行った。

 因みに今日と明日は授業なしで文化祭の準備だけらしい。

 勘弁してくれよ。どうして俺がこんなことを・・・・

 そう嘆きながら黒板の前に立ち、まず何をすればいいのか考えた。

 すると俺の隣に女の子が立ち、黒板に何やら書き始めた。


 彼女は北条薫(ほうじょうかおる)。緑のショートヘアーで眼鏡っ子。

 この学校の生徒会長まで務める優等生だ。

 どうやら俺と同じ文化祭実行委員らしい。 

 生徒会長までしてよくこの実行委員もできるもんだと感心する。

「それじゃあ、今から皆にやってもらうことを説明するね」

 北条さんが、やる仕事の一覧を黒板に書き出して、皆に説明しだした。

「俺の出るまくはほとんどねぇな」

 ただ北条さんの説明聞いとくことしかできなかった。

 俺のいない間も彼女一人で頑張ってくれてたんだろうな。

 ってか俺必要ないじゃん。

「ほら行きましょ」

「え?」

 急に北条さんに手を引っ張られ驚いた。

「行くってどこへ?」

「買い出し♪」

 そう言われながら学校を出た。


 よく見りゃ、自転車とかで学校から出てどこかに行く生徒をよく見る。

 このまま帰ってもバレないんじゃないか?

「あー今、このまま帰ってもバレないんじゃないかって思ったでしょ?」

 北条さんが俺の顔を覗きながら言った。

「そんなことないって、アハハ・・・。それよりうちのクラスは何をやるんだ?」

「あ〜鬼庭君昨日まで休んでたからね。おばけ屋敷よ」

 おいおい、高校生にもなっておばけ屋敷とかシケるだけだぞ。

「あんな狭い教室でおばけ屋敷とか無理だろ?せいぜい子供だまし程度だぞ」

「甘いよ.生徒会長の特権で体育館を貸しきることにしたの」

 満面の笑顔で彼女は言った。

 生徒会長の特権って・・・そんなことできるのか。

 そんなこんなで文化祭の話をしてるうちに俺たちはホームセンターに着いた。

 何を買うんだこんな所で。




次回はちょっと戦闘から離れたいと思います。次回だけですけど・・・^^;

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