表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/25

第10話:白魔導師と魔女狩りハンター

片桐瞬と谷底へ共に落ちた隼人。

果たして無事なのだろうか?

 痛ってぇ・・・

 ここに落ちるまでの間に、木の枝とかがクッションになったおかげでなんとか助かったみたいだが、

骨は完全に逝ってしまってるみたいだ。

 手足を動かそうにも激痛が走り、まったく動けない状態だ。

 傍らには瞬が倒れていた。

 こいつはもう死んだのか?

 死ぬなら一人で死ねよ・・・

 クソ、瞼が重くなってきやがった・・・・・

 俺は死ぬの・・・か?

 


   パチパチパチ



 俺は木々が燃える音で目を覚ました。

 その場所は俺が落ちた場所ではなくて、何処かの小屋の中の布団の上にいた。

 しかもまた傍らには瞬が違う布団で眠っていた。

「あ、目が覚めました?」

 奥から女の人が出てきた。

 黄色い髪のツインテールで、エプロン姿で現れた。

「お前が助けてくれたのか?ありがとう」

「いいえ、そんな大した事してませんから」

 彼女はそう言い、両手で俺の片手を握った。

「っな・・・・」

 一瞬戸惑ったが、彼女の手のひらから緑の光が発して、治癒魔法をかけてると気づいた。

 ん?治癒魔法?ってことは魔法使い?

「うん!もう大丈夫みたいね」

 今思えば、あの時全身の骨が折れてたはずなのに、今では何の変わりもなく動いている。


「お腹すいてるでしょ?今、何か持ってきてあげるから」

 彼女は立ち上がり、また奥の部屋に行ってしまった。

 っていうか俺がここにいたらまずいだろ?

 多分今ごろみんなは俺を探してるだろうし、もし見つかったとしても、あの人は殺される。

 ということは俺がここから出て、早く本部に戻ればいいだけじゃねぇか。

 そうと決まれば早い所・・・

「あ、まだ動いちゃダメじゃないですか」

 俺が布団から飛び起きたと同時に、彼女が部屋に入ってきた。

「怪我人なんですから、まだ動いてはいけません!はい、おかゆ」

 そう言って無理矢理布団に戻されて、おかゆを突きつけられた。

 俺は病人ですか!


「ところで君、名前なんて言うの?」

 おかゆを食べてる最中に話し掛けてきた。

「鬼庭隼人。」

「そう。私は井上美咲(いのうえみさき)。よろしくね、鬼庭君」


「お〜い美咲!今帰ったぞ」

 奥から低い声が響いてきた。

「お、坊主、目が覚めたか」

 その人はすごい巨体で肌の色は色黒。白髪のトゲトゲ頭で背には背丈ほどの槍を肩にかけていた。

「お帰りなさい、猛さん」

 井上さんはその大きい人に笑顔で出迎えた。

 この人たちは夫婦なのか?それにしても全くつりあわないぞ


「祝いだ祝い!今日は飲むぞ!ほら坊主も来い」

 そう言われ、俺は無理矢理布団から出され、イスに座らされた。

「ちょっとまだ怪我人なんだから・・・・もう、仕方ないわね」

 仕方ないんですか?井上さん


「坊主名前はなんていうんだ!」

「え、鬼庭隼人です」

 なんで俺はこんなおっさんに絡まれてるんだ・・・・

 助けてもらったのはありがたいんだが、一刻も早くここから出ないと皆が心配するだろうし、それに井上さんの身も危ない。

「隼人か!俺は長瀬猛(ながせたける)だ。これでも有名な竜騎士なんだぜ!」

 そう言い、得意げに十文字槍を振り回した。

 でもよく見るとその槍は結構年期が入っていて、かなり使い込んでいるのがわかった。

「あの、その槍で何を・・・?」

「よく聞いてくれたぜ!隼人は魔女狩りって知ってるか?」

「!!!」

「知らねぇだろうなぁ。魔法使いでもなんでもないしな。俺は魔女狩りハンターでその魔女狩りと戦っているんだ」

 魔女狩りハンター。聞いたことないけど、幹部会の人たちは知っているのだろうか。

「それとこいつは正真正銘の魔法使いだ!」

「ちょっと猛さん・・・」

 長瀬さんは笑いながら、井上さんの肩をバンバン叩いた。

 

 ってか俺が魔女狩りって言わない方がいいな。

 言ったとたんプスッっじゃあたまんねぇからな。

「おい隼人!なに深刻な顔してるんだよ!お、まさか全部嘘だと思ってるだろ?」

「い、いえそんなことは・・・・」

「いいっていいって、こんな話信じろって言う方が難しいもんな」

 そう言って長瀬さんは隅っこに移動し、横になった。

「ちょいと休むから飯ができたら起してくれ!」

 井上さんに向かってそう叫び、目を閉じた。

 なんかすごい豪快そうな人だ・・・・。


「ねぇ隼人君」

 料理が出来上がるまで、椅子にもたれ腕を組みながら考え事をしていると、急に井上さんに話し掛けられた。

「怪我人に言うのも心苦しいんですけど、調味料切らしてるみたいなので、一緒に買いに行くの付き合ってくれませんか?

いつもは猛さんが一緒なんですけど・・・・」

 そう言いながら長瀬さんのほうに目をやった。

 豪快に大の字になり大きないびきをかきながら熟睡していた。

「あの猛さんの言う事信じていらっしゃらないかもしれませんけど、私魔女狩りに狙われていて、一人で外に出られないんです。

多分一人でも大丈夫だと思うんですけど、一応念のため・・・・」

 そう言って井上さんは俯いてしまった。

 う〜ん、もし狙われて俺ということがバレるものヤバいんだけど・・・・まぁしゃあねぇか

 俺はそんな軽い気持ちで井上さんの誘いを承諾してしまった。



「下の町まで降りなきゃ行けなかったんですけど、大丈夫ですか?」

 井上さんは何回も、俺のことを気にしながら山を降りていった。

「もう全然大丈夫ですよ。アハハ」

 それにしてもこれほど完璧に治せるとは、すごい白魔道師だなぁ。

 その後、俺たちは山を降りちゃっちゃと買い物を済ませた


「ぜぇ、はぁ、ぜぇ・・・」

 あのとき谷底に落ちたはずなのに何故登る必要があるんだ。

 しかも片桐一家の屋敷に行くときよりもきついような・・・・

「大丈夫ですか?もう少しですから頑張って下さい」

 女の人にリードしてもらうとは情けない。

 しばらく歩くと上り坂から急に平坦の道に変わった。

 この山なんかおかしいぞ、おい。

「井上さん、この山少しおかしくないですか?」

「え?あぁ、ここの地形のことね。何か知らないけど、この山には大魔法使い様がいるみたいなの。

そのせいで変な異次元に入り込むことがあって、知らない場所に出てきちゃうってわけ」

 通りでおかしいと思った。多分大魔法使いってのは片桐一家のことでまちがいないだろう。

 っておい、異次元とかに入り込んでるんだったら、帰れないんじゃないのか?

「そんな心配な顔しなくても大丈夫だよ。きっと帰れるから」

 何の根拠もない言葉だが、満面の笑みで言われちゃあ信じるしかなかった。


    ガサガサ


 木々が揺れ、今までなかった音が辺りを響かした。

「え、え、まさか・・・・」

 そのまさかだ。信徒が現れやがった。

 こんな時に限って・・・・俺のことバレなきゃいいけど。

「井上さん。身を低くして」

 俺は井上さんをしゃがませ、木の枝から枝に飛び回ってる信徒に目をやった。

 1,2,3,4、4人か。これだったらなんとかなりそうだ。


     【ソウルイーター・蛇眼】


 俺は信徒の動きを止め、落ちてきた所を撲殺しようとしたが・・・・


 無反応


「な!なんで発動しないんだ?」


     【ソウルイーター・勇者の剣、デュランダル】


 ・・・・・・・・無反応


 ダメだ。何故かソウルイーターの力が使えなくなってる。

「井上美咲!覚悟」

 4人の信徒は上空から一斉に井上さんに襲い掛かった。

 クソォ、四方から攻められたら庇いきれん。

 俺は無我夢中で井上さんの上に覆い被さった。


         ズシャッ


「グハッ!」

 俺の背に4本のナイフが突き刺さり、瞬時に抜かれた。

 出血多量で殺す気か・・・・

「っち、邪魔が入ったか」

「隼人君!」

「大丈夫です」

 俺は井上さんをそのまま動かないように言い聞かし、4人の信徒を睨みつけた。

「おぅおぅ、数分後にもそういう顔できるのか楽しみな所だが、あいにく俺たちも忙しい身でね。今すぐ死んでもらおう」

 確かに、もう既に血を流しすぎて、意識が飛びそうだが・・・・


      バキッドカッ!


 一瞬にして向かってくる信徒2人を殴り倒した。

 どうやら身体能力まではなくなってないみたいだな。

「な、なんだこいつ・・・・ただの人間じゃねぇのか?」

 俺のことを知らないってことは支部の信徒か。

「クソ!一旦出直しだ」

 残りの2人の信徒は仲間を置いていき、逃げ去ってしまった。

「隼人君だいじょうぶ?今治癒魔法で・・・・」

 ほんわか背中に温かみを感じ、落ち着けたが、流石に流れ出た血まで元に戻すことはできず、俺は貧血で倒れた。



「あ・・・・・」

 目覚めたのはまた、前と同じ布団の上だった。

 横には瞬が・・・・いない!!!

 俺は布団から起き上がり、広間に出たが、井上さんと長瀬さんもいないみたいだ。


      キィ


 ドアが開く音。きっと井上さん達が帰ってきたんだ。

 俺はそう思い、玄関の方に行った。

「よぉ、まだ生きてたみたいだな」

 帰ってきたのは井上さんでも長瀬さんでもなく瞬だった。



さぁ、次回男同士の修羅場が起こる!・・・とか起こらないとか・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ