第9話:戦いの終幕
ソウルイーターの本当の能力を知った隼人。
音葉、琴葉VS光明寺、隼人の勝負の行方は?
(注:これは7話の続きです)
「隼人、こりゃ長期戦になったらワイらの負けや。だからお前はさっさとあいつの魔力の化身を吸収しろ」
そう言い残し、光明寺さんは音葉と琴葉に突っ込んだ。
暗黒騎士デュランは構わず俺のほうへ突撃してきた。
「吸収しろいわれても、こいつは全くスキがないのにどうしろと?」
蛇眼を使って動きを止めてる間に吸収する手もあるが、俺の力じゃあ1秒が限界だ。
いや、1秒もあれば十分だな。
そうこう考えてるうちに暗黒騎士が目の前まで来た。
「今だ!」
暗黒騎士が大きく振りかぶり、俺に当たる直前ギリギリで
【ソウルイーター・蛇眼】
動きを止めて瞬時に後ろに回った。
「よっしゃぁ!ソウルドレ・・・・ぐは!」
「私のデュランに何する気?」
音葉が俺に体当たりしてきた。
ってか紋章が熱ぃぃぃぃ!中途半端に吸収しちまったせいで、おかしくなってやがる
それより光明寺さんは・・・・いない
琴葉もついでにいないけど一体どこへ・・・・
「2人は館の中にワープさせたわ。まぁ琴葉まで飛ばす気はなかったんだけどね」
っということは、またふりだしにもどったってわけか。
そんなことより紋章が焼けるように熱い。
こりゃ早めに吸収しないとやばいな。
俺は瞬時にそう判断し、音葉を無視し、暗黒騎士デュランに飛びついた。
だがデュランは剣を横になぎ払ったせいで、俺との間合いが一気に広がってしまった。
【ギガフレア】
デュランの攻撃を避けて地面に着地した瞬間、音葉の魔法が俺に直撃した。
「グハッ・・・・」
【アイアンブレス】
【エアロブロウ】
俺の体が宙に浮かされたと思えば、変な重力に地面に押しつぶされ、強烈な風でとカマイタチで吹き飛ばされた。
っち、見事な連携じゃねぇかぁ・・・・
流石に今回ばっかはもう無理か・・・・
「デュラン!トドメを刺してきてちょうだい」
いや、まだチャンスはある!
デュランは少しづつ音葉から離れ、俺に近寄ってきた。
チャンスは一回!これを外せば終わりだ。
俺はデュランがギリギリまで間合いを詰めるのを待ち・・・
「よし、今だ!!」
【ソウルドレイン】
暗黒騎士が大きく振りかぶった瞬間に、俺は飛び上がりデュランの能力を吸収した。
「ちょっと、デュランに何したの?」
「い〜や、何もしてねぇぜ。ちょっと力をもらっただけだ」
どうやら少しだけだが、体力も回復するみたいだ。
どれ、こいつの力がどんなのか試させてもらうぜ。
【ソウルイーター・勇者の剣『デュランダル』】
「ほぉ、暗黒騎士から吸収したのに、勇者の剣とは変わってるなぁ」
俺は先ほど手に入れた能力(太剣)、デュランダルをマジマジと見つめた。
「何?そんなのを出してどうする・・・・」
ビュン
デュランダルを横に振っただけで真空波が飛び出し、暗黒騎士デュランを消滅させた。
「うそ?どうして・・・?そんなはずは・・・・」
【フレイムフォース】
音葉は炎の壁を作り、目くらまし代わりにした。
「そんなもん通用するか!」
俺は炎に飛び込んで背を向けていた音葉に、デュランダルを軽く突きつけた。
「動くな!」
そう叫ぶと音葉は立ち止まり、その場に座り込んだ。
「なぁ・・・」
俺はデュランダルをしまい、恐る恐る話し掛けた。
「いいよ、殺して。私を殺しにきたんでしょ?」
「はぁ?」
音葉は俯きながら言った。
「お前なぁコロコロ態度変えるのやめろよなぁ。さっきの威勢はどうしたんだよ?」
ってかなんで俺は敵を慰めてるんだ?
「ううん。もういいの」
なんかわけのわからないこと言い出したぞ・・・・
「お姉さま!」
俺が困り果ててる中、琴葉が館から駆け出してきた。
「おじい様が・・・・」
「うん。わかってる」
そういえばデュランとメデューサを吸収したおかげで、魔力を感じられるようなっており、今思えば源次郎の魔力が感じられなかった。
水無月さん達が勝ったんだ。
ん?っということは・・・・
「まさか、今まで操られていたと?」
「それに近いものです。おじい様の影武者が現れた時だけ、私達はおじい様に逆らうことができないのです」
琴葉が説明しだした。
「逆らったら、私達は殺される。それほどおじい様の力は強大なのです」
「ってかその前に影武者ってなんだ?いや、意味は知ってるけど俺らが戦ったのは影武者なのか?」
「えぇ、本物のおじい様はどこにいるかはわかりません。でも私達が捨て駒にされたのは確かです。
だから私達3人兄妹で静かに暮らしてたのに・・・・」
俺らが攻め上げてきたってわけか。
っということは・・・
「お前たち、今すぐここから逃げろ!ここにいたら殺されるぞ!」
座り込んでいる2人を立ち上がらせ、館の外の方へ引っ張っていった。
「これから2人でどうしろと言うのですか?」
今まで黙りっぱなしの音葉が、俺の手を払い叫んだ。
「またおじい様の影武者に見つかり、言いなりになり、誰かを殺してしまって・・・・」
「お姉さま・・・」
そう言ってまた座りこんでしまった。
「世間には音葉と琴葉は死んだと公表しておく。これで源次郎からも狙われずに済むだろう」
俺は2人にそう言い残してその場を去った。
こうするしかできなかった。
俺が守ってやりたかったけど・・・・・俺は無力だ。
「隼人無事やったんかぁ〜」
館に戻ると、皆が出迎えてくれた。
「あの2人は?」
戻った瞬間予想通りの質問がきた。
「ちゃんと殺しました。今さっき、墓を作ってきた所です。」
こう言えば、俺がさっき館の外に出てても、おかしくはないと思った。
「そうか・・・悪いなつらいことさせてもて」
光明寺さんが俺の肩を叩き励ましてくれた。
「じゃあ帰るか。早くしないと朝霧達がくたばっちまう」
「重てぇ・・・・」
烏丸の背には、朝霧先輩、真田、皐月、が乗っかかっていた。
安井さんと相馬さんは、水無月さんの肩に捕まり、辛うじて歩けるほどの深手を負ってるみたいだった。
「それにしても、あの源次郎がニセモンとはやられたなぁ」
帰り道、光明寺さんが愚痴を溢した。
「まぁ、逆にあれが偽者でよかったんじゃないのか?本物だったら今の俺だったら勝てる気しないな」
「反則並に強かったからなぁ、あのクソジジィ」
「そういえば、光明寺さん、館の中に飛ばされた後どうしたんですか?」
「ん?あ〜戦っとった女を見失ってもて、捜しとるうちに龍二と合流して源次郎と戦っとった」
はぁ〜光明寺さんらしいですね・・・
「おいお前たち、喋ってて谷に落ちるなよ」
「なんやて?!お前を落としたろかい」
そう言いながら、光明寺さんは、水無月さんを如意棒で谷の方へ突付いた。
「やめろって!本当に落ちたらやばいぞ」
確かにこんな所で落ちたら助かりなさそう・・・
俺は一旦足を止めて、マジマジを谷を見下ろした
タタタタタタタ
ん?誰かが走ってくる音?
俺が館の方へ振り返ると・・・・
「瞬!」
「な!!あいつ生きてたのか!」
死んだと思ってた片桐瞬がすごい勢いで走ってきた。
「俺一人では死なん!お前も道連れにしてやる!」
「はぁ?」
瞬はそう言って思いっきり最後尾にいる俺の腰に纏わりついてきた。
「うわわわゎ」
俺はバランスを崩し、重心が谷のほうへいき、今にも落ちそうだった。
「隼人君!」
相馬さんが手を差し伸べてくれたが、俺の手はその指をかすめ谷に落ちていった。
「うわわわゎゎぁぁぁぁぁ」
「隼人!!!!!」
片桐家滅亡計画は失敗に終わり、しかも隼人は谷底へ・・・・
はたして隼人は無事なのか?