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体重100キロだけど駅伝部に入部しました

放課後、陸(中身は凛)は入部届けを書き終えて男子駅伝部の部室へと向かった。


部室の前で立ち止まりフーッと息を吐く。

陸(中身は凛)「(こっから気合い入れて行く。もう腹は括った。全てのプランは立てた。凛、私ならやれる)」

まるでレースの号砲を待つ時のような気持ちで部室のドアを開けた。


張り詰めるような空気で男子駅伝部員の4人がミーティングをしていた。


場違いな男が部室に入った瞬間にみんなが固まって陸(中身は凛)に注目する。


駿「……どうした不動?」


陸(中身は凛)「……これを出しにきたんだ」

そっと駿に渡した紙は何と入部届けだった。


犬飼「おいおい!不動!相撲部の部室は1つ隣だぜ!場所間違えてんぞ!」


陸(中身は凛)「いや!間違えないよ!僕は男子駅伝部に入部をする!」

たるんだ体型とは裏腹に真っ直ぐな目で言い切った。

しかし、あまりにも走りとは無縁そうな体型で、またみんなが固まっている。


そこでもう1人の3年生、内気で大人しい真壁隼人まかべはやとが言葉を発する。

隼人「流石にその体では走れるとは思えないけど……」


真壁隼人の弟で入部したばかりの1年生、鷹斗たかとも続く。

鷹斗「走りたいなら誰でも歓迎すればいいんじゃないですか!?どうせ人数少ないし!」

鷹斗は兄の隼人とは違い、陽気な性格だ。


犬飼「ただのダイエット目的なら辞めとけ!お前みたいな生半可なやつはどうせ3日で辞めるのがオチだ!」


駿「まぁ待て犬飼。……不動、何故、部活もしてこなかったお前が3年生になって急に入部したいと思ったんだ?この前の凛と関係でもあるのか?」

駿は先日、2人で密会していたことを勘繰っていた。


陸(中身は凛)「それは……関係は……あるといえばある。ただ、入部の理由は本当の自分を取り戻すため……かな」

少し自信無さそうに答える。


駿「本当の自分だと……」

あまりも抽象的で駿は理解できずにいた。


犬飼「なぁにぃ?まさか不動、お前!凛ちゃんが目的で入部したいと思ってるな?それなら、とんだバカだぜ!お前なんて見向きもしないし、眼中にないから辞めとけ!」


陸(中身は凛)は犬飼の態度に段々と腹が立ってきたがグッと堪える。

陸(中身は凛)「(あなたのことも私は眼中にないわ!)もちろん、この体だから納得していないのは分かる!だから1つ提案させてほしい!」

部室の真ん中に置いてある体重計に陸(中身は凛)が乗る。


そこには100.8kgと表示されている。

体重計の見たこと無い数字にまたみんなが固まる。


鷹斗「よく体重計、壊れなかったね……」

ボソッとつい言ってしまった。


陸(中身は凛)「見ての通り、僕は100キロある!」


犬飼「いや、自慢するように言うな!」


陸(中身は凛)「提案というのは……この体重を1ヶ月で10キロ以上痩せて90キロ以内にしてみせる!本当は20 キロ痩せると言いたいけど、一気に痩せるのは体に負荷がかかるから10キロにした!ただこれをクリアできなければ僕は退部をして潔く去る!」


犬飼「ほう」


陸(中身は凛)「入部して早々だけど、この1ヶ月間は個人練習をさせてほしい!流石に今は同じ練習はできない!練習メニューは全て自分で考えるから安心して!誰にも迷惑はかけないから!」


あまりにも真っ直ぐな主張に全員が陸(中身は凛)の空気にのまれていた。


駿「走る理由についてはよく理解は出来なかったが、俺は走る者は拒まないし、走らない者も追わない。不動!お前の覚悟はよく分かった!入部はもちろん認める。口だけじゃないと証明してみるんだ!」


陸(中身は凛)「(流石、お兄ちゃんね)今日からよろしくお願いします!」


犬飼「俺はまだお前みたいなやつ認めねぇからな!」

不機嫌そうに犬飼は部室を出ていった。


隼人「不動くんって……こんなキャラだった?」

普段は他人に興味を示さない隼人が、不動のイメージの違いに困惑していた。


陸(中身は凛)「(お兄ちゃん、本当の私に戻るために今はここで、この体で頑張るよ)」

心の中でそっと誓う陸(中身は凛)だった。


陸(中身は凛)は入部届けだけ提出して帰宅する。帰ると早々に母の元へ1つのノートを渡した。


陸(中身は凛)「お母さん、いつも美味しい食事をありがとう!今日からこのメニューで食事をお願いできないかな?」


陸の母「陸、急に良い子になってどうしたの?どれどれぇ」


そのノートに記載されていたのはタンパク質・脂質・炭水化物の計算が完璧になされた、アスリート専用の完璧なメニューがびっしりと書かれていた。

陸の母「ええっ、陸……。ご飯、これっぽっちでいいの? 唐揚げも天ぷらもないわよ? こんなに足りなくて大丈夫なの? 倒れちゃうわよ!」

メニューの豊富さよりも量の少なさを本気で心配をしてくれていた。


陸(中身は凛)「大丈夫。これまでの僕……が食べ過ぎていただけだから。これからはダイエットをして健康的な体になろうと思ってね。お願い、協力して!」

陸(中身は凛)は確信していた。この体を変えるには、まずキッチンの支配者である母を味方につける必要があると。


夜になり、父が帰宅するとすぐに父の元へ向かう。

陸(中身は凛)「お父さん!いつもお仕事お疲れ様!実はダイエットをしようと思っていて、これに書いてある物を買ってくれないかな?」


陸の父「急にどうした陸!?好きな女の子でもできたのか!?」


陸(中身は凛)「好きな女の子ができたんだ!!!」


陸の父「そうか!なら買ってやる!」


陸(中身は凛)「(お父さん、騙すつもりはないの……ごめんなさい……でも今はこれがどうしても必要で……)」


陸(中身は凛)が駅伝で全国出場するための計画をこの土日で全て書き上げていたのだ。料理は母に道具は父に協力してもらいながら、この体を絞り上げる練習メニューも全て書き上げていたのだ。


翌日になり、勢いよく陸の父は言われたものを全部買ってきた。フィットネスバイク、ヨガマット、ローラー、ランニングシューズ、ウォーキングシューズ。

陸(中身は凛)「(本当に優しいお父さんとお母さんね。2人のためにも彼が自分の体を取り戻し、私も私を取り戻せるように頑張るしかない!必ず恩返しはします)」

家族の温かさと感謝の気持ちで陸(中身は凛)は胸がいっぱいになっていた。


部屋は全て綺麗にした。山積みのゲーム、漫画は全てクローゼットにしまい、トレーニングに必要な物だけが置いてる部屋は元の凛の部屋のようになっていった。準備は整った。 フィットネスバイクに跨り、陸(中身は凛)は鼻歌まじりにペダルを漕ぎ出す。

だが、5分後。

陸(中身は凛) 「……うそ。……あ、足が、上がらない……?」 アスリートのプライドが、100kgという肉体の「本当の地獄」に初めて直面する。本来の自分の体との動きの違いに改めて困惑してしまう。


陸(中身は凛)の本当の自分を取り戻すための重い思い第一歩が始まった。


PV数が思ってる以上に伸びて驚いています。たくさんの方々に読んでいただいて嬉しいです!少しずつ投稿していきますので宜しくお願いします!

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