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学校生活の始まり。それぞれの好きな人

休みが明けて朝の通学路。陸(中身は凛)は、100kgの巨体が発する熱気に耐えながら、肩で息をして歩いていた。それとは対照的に凛(中身は陸)は少し離れて軽々しい足取りで登校している。初めて履くスカートがスースーして慣れない。髪も結び方が分からないため、普段とは違う、髪をおろした凛の姿だ。そこへ男子駅伝部のお調子者、犬飼がやってくる。


犬飼「……ああ、凛ちゃん! おはよう!今日も完璧な美しさだね。おっ!?今日はいつもと違う髪型だけどイメチェンした!?それとも好きな人でもできた!?」


凛(中身は陸)「あ、えっと……犬飼君、おはよう。……今日はこういう髪型もありかなと思って。ははは……」

凛としての演技をしようとすも、うまくできずに、話し方にはぎこちなさがある。


いつもの凛ならクールに「余計なこと言わないで!」と一蹴する場面だ。しかし、中身の陸は持ち前の控えめな性格ゆえに、困り顔で「柔らかい笑顔」を返してしまった。


犬飼はその場に硬直した。そして、何かを確信したようにニヤリと笑うと、あろうことか近くにいた陸(中身は凛)の肩をバシバシと叩いた。


犬飼「おい、見たか不動! 今、凛ちゃんが俺に笑いかけたぞ! ……決まったな。これ、完全に俺に惚れた合図だわ。普段クールな女が急に優しくなる……これぞ『ギャップ落ち』ってやつよ!」


犬飼は陶酔した表情で、陸(中身は凛)の顔を覗き込む。


犬飼「お前もそう思うだろ? お前みたいな豚には一生縁のない話だろうけどな。凛ちゃん、絶対俺のこと意識し始めてるわ。ああ、罪な男だぜ、俺は……!」


陸(中身は凛)「(……は???)」

自分の野太い声を出すのも忘れ、心底呆れ果てた目で犬飼を見つめた。


陸(中身は凛)「(……何なの、この人。自意識過剰っていうか、救いようのない馬鹿……)犬飼くん、流石に好きってことはではないんじゃないかな?」


犬飼「ふんっ!お前みたいなモテない男は好きなサインに気付けないだけだ!さぁて俺は今後のデートプランでも考えようかなぁ!」


犬飼は陸(中身は凛)のその「軽蔑の眼差し」を、「羨望の眼差し」と脳内変換し、鼻歌混じりに教室へと消えていった。


陸(中身は凛)「(犬飼くんと付き合うことは死んでもあり得ないわね)」

心に誓う凛だった。


一方、教室に入った凛(中身は陸)は、自分の席がどこか分からず、オドオドしながら周囲を見渡していた。同じ女子駅伝部の結城桃葉ゆうきももはが声をかけてくれた。


桃葉「ねえ、凛ちゃん? なにか探し物?」 いつもなら「大丈夫よ」と軽く一蹴するはずの凛が、自分の両手をぎゅっと握りしめて答える。


凛(中身は陸)「あ、あの、えっと……僕の……じゃなくて、私の机、どこだっけ? 今日ちょっと、ぼーっとしちゃってて……」


桃葉「(……っ! 何この可愛い生き物!?)もう凛ちゃんたら天然なんだから!ここだよ!」


凛(中身は陸)「あ、ありがとう!助かったわ」


桃葉「ところでさ、駿くんは新しいシューズ何を履いていた?私もお揃いにしようと思ってさ!へへ!」


凛(中身は陸)「(この人が前情報で凛さんから聞いていたあの駿くん大大大好き同じ女子駅伝部の桃葉さんか)今度お兄ちゃんに聞いておくね」


凛(中身は陸)は事前に凛の周りの友達情報を聞かされていたので1日かけて答え合わせをしていった。


クラス内では凛のクールな美貌に、陸の「引っ込み思案な小動物系メンタル」が合わさった結果、クラス中に「今日の凛、なんか守ってあげたくなる可愛さじゃない?」という空気が爆発的に広まった。


遠くからその凛の様子を観察していた駿は、凛の反応の変化に、違和感を覚えていた。

駿「(凛のやつ、いつもと違うな。普段よりも柔らかくなっている。何かおかしい)」


一方、男子クラスの隅っこ。陸(中身は凛)の席には、いつものオタク仲間の亀山と佐竹が集まってきた。


亀山「おい陸、新作アニメだけど……って、うわっ! お前、なんだその顔。なんか、ものすごく……圧が強くないか?」


椅子に座る陸(中身は凛)の背筋は、アスリート特有の凛とした美しさでピンと伸びている。目つきも、いつもの虚ろな「死んだ魚の目」ではなく、獲物を狙う鷹のような鋭さだ。


陸(中身は凛)「……アニメ? 見てないよ。僕はテレビをあまり見ない事にしたんだ。無駄な脂肪と一緒に、無駄な時間も削ぎ落とす!そのためにもやっぱり体を鍛えないと!って思ってさ!」


佐竹「……か、カッコいい。陸、お前、まるで『覚醒したデブキャラ』みたいだぞ! もしかして、その巨体の中に恐ろしい力を隠してる系か?」


彼らの中で、不動陸は「覇気を纏った謎の強者」へと勝手に格上げされていった。


そして、放課後。

女子駅伝部の部室の前には凛(中身は陸)がドキドキしながら立っていた。


凛(中身は陸)「(このドア、本当に僕が開けていいのか……)」


しばらく躊躇していると桃葉がやってくる。


桃葉「凛ちゃん、部室の前に立ってどうしたの?ほら練習が始まるから早く着替えて行こうよ!」


凛(中身は陸)「(き、着替え!?)わ、私、今日は1人で着替えようと思っていて……だからトイレで着替えてくる!」

と逃げ出そうとするも、桃葉に腕をギュッと捕まる。


桃葉「えー、いつも一緒に着替えてるじゃん!」


凛(中身は陸)「(ち、近い!それに何か当たってるし!)わ、分かったから離して!」

顔を赤くしながら引き離す。


桃葉「なんか今日の凛ちゃん、いつもより可愛い!もしかして遂に好きな人ができた!?」


凛(中身は陸)「な、な、な……!?」

たくさんの方々に読んで頂けてとても嬉しいです!1日に数話ずつ投稿しますので宜しくお願いします!

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