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兄妹のタスキ渡し。全ての想いを背負って

佐竹はタスキを貰ってすぐに王杜中に抜かされ、2位になる。


佐竹「(ついていけないのが悔しい……けど、今できる最善の走りは実力に見合った走りをすること。潰れないためにもペースを上げるのを我慢しないと)」


頭では分かっていても段々と王杜中の背中が小さくなるのが歯痒かった。


1km通過で亀山が佐竹に檄を入れる。


亀山「この1kmは3分18秒!前とは10秒差!佐竹!!!良いペースだ!!!キープするぞ!!!」


佐竹「はぁはぁ(ここの区間を走っていたのは俺じゃなくて亀山だったかもしれない……あいつの為にも下手な走りはできない。なるべく差を広げられずにキャプテンに渡す!)」


2km通過地点では女子部が応援してくれる。


凛(中身は陸)「この1kmは3分19秒!佐竹!!!最後の1km出し切れ!!!」


凛(中身は陸)の呼び捨てと熱い応援に佐竹は目を丸くしていた。


桃葉「佐竹くん!!あと1km!!!ファイトー!!!」


烈華「朝の自主練を思い出して!!!あなたなら最後もっと上げられる!!!」


佐竹「はぁはぁ(そうだよ。区間新で走った2人の師匠と俺は一緒に練習してたんだ!2人に鍛えてもらった恩返しをしないと!この半年、自分の中で目一杯に練習はしたけど後悔もたくさんある……1年生の頃から入部してたら……もっと戦力になれたのに……悔やんでも仕方ないの分かってる。今は前だけを見てキャプテンに想いを託す!)」


残り500m地点。陸の父と母も変わらず必死で応援でしてくれた。


陸の母「佐竹くんも陸と同じタイミングで始めてこれだけ走れるの凄いわね」


陸の父「競技を始めて半年であの走りは立派だね。トップと少し離れても凛ちゃんのお兄さんが巻き返してくれるはずだよ」


陸の父はトップとの差が開き、少しテンションが落ちていた。


中継所ではそのまま先に王杜中がタスキを渡した。


千石「この差ならいくらは羽瀬でも追いつけまい」


駿は千石は見ず、佐竹だけを見て鼓舞している。


佐竹「はぁはぁはぁ、キャプテン!遅れてごめん!」


駿「よく走ってくれた。あとは任せてくれ」


佐竹はタスキ渡しの後に倒れた。


村田先生「トップとは35秒差!いけるよ!」


倒れている佐竹の元へ陸(中身は凛)が手を差し伸べて、手を握り、ゆっくりと起き上がる。


陸(中身は凛)「良い走りだったよ。佐竹」


佐竹「なぁ、陸。俺は高校でも走るよ。走ること、駅伝がこんなにも心を熱くするものだとは思わなかった」


陸(中身は凛)「佐竹なら絶対にもっと速くなれるよ!」


佐竹「ありがとう。陸、アンカー頼んだよ。絶対に全国行こう!」


陸(中身は凛)「おう!みんなが繋いだタスキを必ず1番で持ってくるよ!」


駿の走りはバネがあり、洗練されたフォームはお手本のような綺麗な走りだ。前半からトップスピードで追い抜くことだけを考えている。


1km地点で亀山がラップを見て驚いた。


亀山「1kmの通過は2分39秒!!!キャプテン!!!前とは25秒差!!!ファイト!!!」


駿は一瞬だけ亀山を見て、分かったと言わんばかりに少しだけ手を上げた。


亀山「キャプテン……異次元の走りだ……あんなに速いのに力感が全く無い。このペースなら追いつける!」


トップを走る千石にも後ろの駿との差が告げられた。


千石「はぁはぁ(こっちが区間新ペースで走っているのに10秒も差を詰められているだと!?前半だけ突っ込んできてるだけだ。そのペースで最後までいけるはずがない)」


2km通過はそのまま、千石が先行して通過。少し離れて駿が通過。


烈華「この1kmは2分45秒!!!このペースなら追いつける!!!前とは15秒差!!!」


桃葉「駿くん!!!区間新どころか日本記録もいける!!!カッコいい!!!」


凛(中身は陸)「お兄ちゃん!!!一緒に全国いくよ!!!」


ここでも駿は手を上げて反応した。


烈華「ありえないほど速いわね……凄すぎる」


桃葉「駿くんのあんなに鬼気迫る走りを見たのは初めてだよ。めっちゃめっちゃ!カッコよかった!!!」


凛(中身は陸)「お兄ちゃんなら絶対に逆転してくれる。チームを背負った時にあんなにも力が出るのはお兄ちゃんも一緒だね」


千石に駿との差が告げられて動揺していた。


千石「はぁはぁはぁ(こっちは2分55秒、ここまで区間新ペースなのに、また10秒も詰められているだと!?意味が分からない。本当に中学生か!?)」


残り500m地点では駿はすぐ後ろまで迫っていた。

陸の母「駿くん、かなり近づいてる!頑張れ!!!」


陸の父「駿くん!!!もうすぐだ!!!ラストだよ!!!」


陸の母「抜かせそうね!陸……アンカーで大丈夫かしら」


陸の父「駿くん……彼が真のエースだ……なんだあの走りは……まるで名馬が走ってるようだ……」


ラスト200mで遂に横に並ぶ。美月は応援で声が枯れそうだが、今日1番の大声で叫んだ。


美月「駿!!!もう少しよ!!!頑張れ!!!」


駿は一瞬だけ美月を見て笑ったかのように見えた。それと同時に最後のスパートをかけて一気に引き離した。


美月「(駿、以前とは違ってあんなに嬉しそうに走って……本当に良い仲間に恵まれたのね)」


中継所では陸(中身は凛)が大声で呼んでいる。


陸(中身は凛)「お兄ちゃん!!!」


駿「凛!……いや、不動!後は任せた!」


駿はタスキを渡して背中を思いっ切り押して陸(中身は凛)を送り出した。千石も1秒遅れでアンカーにタスキを渡す。


陸(中身は凛)「任せて!行ってくるよ」


凛とした表情でタスキを受け取り、全ての想い一心に背負って走りだした。


千石は走り終わった後に不敵な笑みを浮かべていた。


千石「はぁはぁはぁ。羽瀬、見事な走りだった。だがうちの勝ちは決まった。うちのアンカーはスパートだけなら俺と同じレベルだ。あいつに勝てるやつはいないだろう」


駿はフーッと息を吐いて呼吸を整えた。


駿「それは楽しみだ。うちのアンカーもスパートなら俺と同じレベルだからな」


駿は走り終わって仲間達が駆け寄り、走りを讃えてくれた。


犬飼「おいおい、8分6秒は中学生の日本記録じゃねぇか。とんでもねぇな!」


鷹斗「速すぎるよ!!!駿さん!!!」


駿「(俺はなんで、不動に凛と言ったのだろう。自分でも不思議だが一瞬だけ凛に見えた。それにお兄ちゃんと言ってたな。お兄ちゃんと言うのは早い……いやあいつなら、そう呼ばれてもいいか……不動、お前の本当の走りを見せてくれ)」


駿は陸(中身は凛)の小さくなる背中を信頼の眼差しで眺めていた。


ここまで読んで頂き、ありがとうございます!!!次話のアンカーも読んで頂けますと嬉しいです!!!

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