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男子駅伝のスタート。3年間の想い

陸の父「凄すぎる!うちの女子駅伝部、優勝したよ!みんな速かったけど、特に凛ちゃんの走りは圧巻だった!」


陸の母「凛ちゃん、本当に素晴らしい走りだった!陸が走る男子駅伝部も続けるように頑張ってほしいわね」


陸の父「そうだね。女子がこれだけ速いってことは、男子も相当速いのかな?あれだけの走りを見せられると男子も期待しちゃうよね!」


陸の父は女子の優勝でウキウキしていた。


犬飼はタスキを持ってスタートラインに向かっている途中で鷹斗が励ましに来た。


鷹斗「犬飼さん!俺達も女子に続きましょ!区間賞でお願いしますね!」


犬飼「鷹斗……俺なりに粘ってみるが、区間賞は厳しいと思う。だが、トップとはあまり離されずに持ってくるから安心してくれ」


鷹斗「どんな順位でも大丈夫っすよ!俺が何とかしますんで!」


1区の選手がスタートラインに集まり、緊張の面持ちで並び始める。犬飼は優勝候補の王杜中の選手だけを見ていた。


犬飼「(持ちタイムは俺よりも速いが、王杜中では1番遅いやつだ。1区では何としても離される訳にはいかねぇ)」


スタートラインに並び、号砲を待つまでの時間が長く感じる。早くスタートしたい気持ちと、まだ始まってほしくない気持ちが入り混じる。手と足は相変わらず震え、心臓の鼓動も聞こえそうなくらいに速い。何度も深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。


いよいよ、スターターの「いちについて」という声で周りが静寂に包まれる。選手全員の姿勢が低くなり、腕時計のボタンを押す準備ができた。


パンっ!という合図でスタートし、静寂から一気に選手の足音と応援の声が響き渡った。


女子のレースとは違い、誰も前には出ず、集団での展開となった。


犬飼は走る前は極度の緊張をしていたが、走り出すと心は落ち着いて、冷静な走りができていた。


犬飼「はぁはぁ(スローペースは好都合だが、早い段階で動きがあるかもしれない。王杜中のやつはマークする)」


そのまま10人の集団で1kmを通過。


亀山「この1kmは3分15秒!ファイト!」


他チームも1kmのラップを選手に伝えて、想定より遅いペースに痺れを切らして、王杜中が前に出る。それにより集団が縦長になっていく。


犬飼「はぁはぁ(流石にこのままのペースとはいかないよな……けど、ここは絶対に食らいつく!)」


王杜中のペースアップにほとんどの選手が遅れて始めて、犬飼だけがピッタリとくっついて走る。


犬飼「はぁはぁはぁ(このペース……俺にとっては明らかにオーバーペース……けど、ここで離れたら男じゃねぇ!)」


2km地点を通過し、先程走り終わった女子部員が応援している。


烈華「ここ大事よ!!!絶対離されないで!!!」


凛(中身は陸)「犬飼くんなら粘れるよ!!!」


桃葉「犬飼くん!!!こっからが粘りの犬飼だよ!!!」


犬飼は先頭から離れそうになるも王杜中の後ろにつく。また離れそうになるも後ろにつく。それを何度も繰り返して走っている。


陸の母「犬飼くんが来た!1位のすぐ後ろにいる!」


陸の父「犬飼くん頑張れ!!!エースの意地を見せるんだ!!!」


陸の母「犬飼くんがエース?」


陸の父「あの走りを見れば分かる!彼はきっとこのチームのエースだ。男子にもあんなに速い選手がいるなんて凄いじゃないか!陸がアンカーでほんとに大丈夫か!?」


残り200m。犬飼は顎が上がり、呼吸が苦しくて険しい顔に。それでも大きく腕を振り先頭の王杜中に離されまいと粘っている。その走りは選考会の時のスピードが出せなくなっていた犬飼ではなかった。


犬飼「はぁはぁはぁ(死んでも離れねぇ!!!走る才能は無かったが誰よりも練習した!!!なのに3年間何もうまくいかなかった!!!それでも諦めなかった!!!負けても負けても何度負けても走り続けた!!!諦めなかったから今ここで走れている!!!駿に1区を任されて嬉しかったんだ!!!あいつの期待に応える!!!!俺は粘りの犬飼だ!!!)」


犬飼の見たこともない、鬼気迫る走りで男子メンバーのボルテージも最高潮になる。中継所で男子メンバーは声が枯れるくらいの大声で犬飼を応援した。


2区の鷹斗と王杜中の選手が手を上げてタスキを待っている。


鷹斗「犬飼さん!!!ラストっすよ!!!ラスト!!!」


タスキを肩から外し、狭い視界の中で鷹斗を見ている。互いにラストスパートをかけて横並びでタスキを渡した。


犬飼「はぁはぁはぁ、鷹斗!!!あとは頼んだぞ!!!」


王杜中と同着の区間賞で2区にタスキが渡った。


鷹斗「(犬飼さん……区間賞は取れないって言いながら取っちゃうなんて凄い!この走りは無駄にしないから!)」


タスキを貰った鷹斗は軽快に走り出した。


男子メンバーが犬飼の元に駆け寄る前に、地面に倒れた。大の字になり、動けずにいたが中継所なので、駿と陸(中身は凛)が上半身と足を持ち、安全な場所へ運んだ。


陸(中身は凛)「強気の走り!カッコよかったよ!ナイスラン!良い流れを作ってくれたのは大きいね!」


駿「犬飼、よくやってくれた。ありがとう。今まで1番の走りだった」


犬飼「俺は何で3年間走ってきたか、今、ようやく分かったよ。駿、お前から褒められたかったんだ。俺は役に立っただろ?」


駿「あぁ。もちろん、このチームには欠かせない存在だ」


犬飼「それが聞けて俺は満足だ。3年間、走ってきて良かったぁ!!!」


駿「犬飼。何を言っている。満足するのは早い。俺達はまだ全国大会があるぞ」


犬飼「あぁ……分かってるよ」


犬飼は全てを出し切り、疲れているはずなのに満面の笑みで空を見上げ、涙が溢れていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!!!毎日、たくさんの方々に読んでいただけてとても幸せです!!!次話以降も読んで頂けますと嬉しいです!!!

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