桃葉の疾走。想いを走りに乗せて
陸の母は朝、陸(中身は凛)から貰った駅伝の詳細が書いてある紙を見ていた。
陸の母「女子の1区は3kmで2区から4区までが2km、5区のアンカーが3kmを走るみたいね。名前まで丁寧に書いてあるわ。周回コースだから、タスキを渡す直前のこの辺にいれば丁度いいはず」
陸の父「ということは1区とアンカーにエースクラスの選手が走るから最初から激しいレースになりそうだね」
スタートした女子のレースは桃葉と蒼姫中が飛び出して2人で1位争いをしている。桃葉が前を走り、後ろは振り返らず、前だけを見ている。
桃葉「はぁはぁ(みんなのために私が流れを作る!)」
1km地点では亀山が状況を伝えながら応援をしている。
亀山「結城さん!ファイト!最初の1kmは3分11秒で通過!この調子でいこう!」
桃葉「はぁはぁ(想定よりも少し速くて、少し苦しいけど、大丈夫)」
蒼姫中の苦しそうな呼吸を感じて桃葉は引き離すためにペースを上げた。
桃葉「はぁはぁ(少し早いけど、ここで仕掛ける!)」
桃葉のペースに蒼姫中の選手はついていけず、段々と離れていった。2km地点は男子のメンバーが全員で応援をしている。みんなの大きな声の応援で駿の応援が聞こえにくかったが、桃葉にはしっかりと聞こえた。
駿「桃葉!ラスト1kmだ。まだまだ引き離すぞ!」
駿の応援で元気を貰い、更なるスパートをかけた。
桃葉「はぁはぁ(駿くんのお陰で今、走ることができている。もし駿くんがいなければ私は部活にも入らずに、何も無いまま3年間を過ごしていたと思う。こんな素敵な仲間、楽しい時間、青春をくれてありがとう。だから、このチームでもっと走っていたいの。全国に行って、まだまだ青春を続けたい!またこのチームでタスキを繋ぎたい!)」
ラスト500m地点、陸の父と母が応援している場所に最初のランナーが見えてきた。
陸の母「うちの中学校の桃葉ちゃんが1位で来たわよ!」
陸の父「何!?しかも2位とけっこう差をつけてるじゃないか!桃葉ちゃん!!!ラスト頑張れー!!!」
陸の父は1位で走ってきたことに興奮して、大きな声で応援した。
タスキ渡し手前では美月が応援している。
「桃ちゃん!あと少しでゴールだよ!」
桃葉「はぁはぁはぁ(1秒でも貯金を作る!!!)」
重い足、今までに無いくらい乱れる呼吸。あまりのキツさに歯を食いしばり、不恰好に腕を振り、ラストスパートで一気にペースを上げて、タスキを肩から外した。2区の白石に勢いよく渡して、白石は渡されたタスキをすぐに肩にかけて快調に走り出す。その後に少し離れて2位で蒼姫中がタスキ渡しをした。
村田先生「凄い走りだったぞ!9分26秒で区間賞、おめでとう!」
烈華と凛(中身は陸)が近くに来て走りを讃えた。
凛(中身は陸)「桃らしい、最高の走りだったよ!後は私達に任せて!」
烈華「桃!ナイスラン!2位の蒼姫中は9分40秒だから14秒の貯金はある!1区でこの貯金はデカいわね!」
桃葉は走り終わっても呼吸が苦しいままで、膝に手をついていた。
桃葉「はぁはぁ……みんなの応援のお陰で、走れたよ!」
蒼姫中のエース鬼木が近くに来た。
鬼木「今は私達が負けてるけど、アンカーになる頃はうちが1位になってるわ。なぜなら4区にはうちの秘密兵器、超スピードランナーがいるからね」
烈華「ふふ。楽しみね。でも区間賞を獲るのは私。そして最後に勝つのはうちのチームよ」
鬼木はほっぺを膨らませて自チームに戻っていった。
凛(中身は陸)「(烈華さん、あんなに強気なの凄い。僕はそんなこと言えないなぁ)」
その後、2区では白石が蒼姫中の猛追を受けて、必死に逃げたが、アッサリと抜かれて2位に後退し、5秒差に。3区の足立も悪くない走りはしたが、蒼姫中には全く歯が立たず更に差を広げられて、4位まで後退。
ようやく中継所に足立がやって来たがヘロヘロで疲れ切っていた。そんな足立を烈華は明るく希望を持った顔で迎える。
足立「はぁはぁはぁ。先輩、ごめんなさい……」
烈華「大丈夫よ!」
烈華は自信に満ち溢れたオーラを纏ってタスキを受け取る。颯爽と走り出して、後ろから村田先生の声が聞こえた。
村田先生「トップとは33秒差!烈華!ここで詰めるぞ!」
烈華は分かったと言わんばかりに手を挙げて反応する。心は冷静になりながら、情熱的で熱い走りでスタートした。
烈華「(2km区間で33秒差。簡単ではないわね。待っててね凛)」
烈華は前を走る背中を、まるで獲物を狩るような鋭い視線で見つめ、一心に走っている。
ここまで読んで頂きありがとうございます!駅伝編、是非次話も読んで頂けますと嬉しいです!!




