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女子駅伝の号砲。全国への第一歩

10月、駅伝の当日。会場では選手、関係者、応援の人々が集まり、熱気に包まれている。陸の父と母も会場に到着した。


陸の母「みんな速そうね……この中で陸が走るなんて本当に信じられない」


陸の父「競技を始めて半年の陸がレギュラーになれるということは、チーム内は初心者ばかりのはず。厳しいレースになるとは思うから今日は静かに応援しようじゃないか」


ゆっくりと歩きながら、応援できる場所を探していると後ろから声をかけられた。


「お父さん、お母さん!」


振り向くと凛(中身は陸)がいた。


陸の父「お父さん?」


陸の父は知らない女の子にお父さんと呼ばれたことを不思議に思った。


陸の母「あら、凛ちゃん!今日は頑張ってね!」


陸の父「陸のお友達かな?」


凛(中身は陸)「そうです!陸くんと同じ駅伝部の羽瀬凛です。今日はアンカーを走るので是非応してもらえると嬉しいです!」


眩しいくらいの笑顔で凛(中身は陸)は深々と頭を下げる。


陸の父「わざわざ、ご丁寧にありがとう!もちろん、陸と同じ中学校の子は全員応援するから、頑張ってね!」


凛(中身は陸)は挨拶を終えると軽めのランニングを再開して、メンバーが集まっている場所へ戻っていった。


凛(中身は陸)「(お父さん、お母さん、今日は僕が凛さんの体で頑張るから見ててね)」


陸の母「お父さん、ほら前に言ってた家に来た女の子よ!」


陸の父「あの子が、陸の好きな子か!礼儀正しくて、とっても良い子じゃないか!しかも、お父さんって呼んでくれたよ!母さん!」


陸の父は初対面だったが、まるで娘ができたかのように喜んでいた。


陸(中身は凛)はアップをしながら、羽瀬家の母、美月を探していた。美月が会場に到着したのが見えて、走って向かった。


陸(中身は凛)「お母さん!」


美月はお母さんと呼ばれたことに驚きながら陸を見た。


美月「陸くん、おはよう!今日はみんなの応援に来たよ!頑張ってね!」


陸(中身は凛)「ありがとうございます!あの……僕の……いや、私の走りを見ててね!お母さん!」


陸(中身は凛)は美月の前では陸としての演技を辞めて凛として話をした。感情が昂り、思わず言ってしまったのでマズいと思い、走ってその場を去る。


美月「(陸くん……まるで凛さんのような話し方……)」


男子と女子が全員集まり、レース前の最終ミーティングが行われた。みんなが緊張していて、表情が硬い。


駿「今日、無事にチーム全員で、この舞台で走れる事、タスキを繋げる事に感謝する。本当にみんな、ありがとう。そして、この日のために準備をしてきて、無事に走れることに自分自身を褒めてほしい」


駿の感謝の気持ち、駅伝への意気込みがチームの指揮を高めた。


鷹斗「駿さん、本当に中学生ですか!?めっちゃ大人みたいなこと言いますね!それにまだレースは終わってないっすよ!そういう話は優勝を決めてからにしましょうよ!」


鷹斗は緊張している様子も無く、楽しそうな顔をしている。


犬飼「そ、そ、そうだぞ!駿!」


犬飼の顔は見たこともないくらに強張っている。


隼人「犬飼……今日は手も足も震えてるが大丈夫か?」


犬飼「し、仕方ねぇだろ!緊張してるんだから!」


烈華「犬飼くんを見てたら、なんだかこっちの緊張がほぐれたわ」


烈華の言葉に笑いが起き、チームの緊張感が緩んだ。


陸(中身は凛)「駿くん、感謝したいのは僕達の方だよ!キャプテンをやりながら、エースとしての走り、練習メニューの作成まで何でもこなして本当に尊敬する。そのお陰でみんな、ここまで来れたんだよ」


陸(中身は凛)の言葉にみんなが同意するように頷いている。


桃葉「駿くんはね、いつもみんなのことを嬉しそうに話をしてるんだよ。今日はあいつが調子良かった、タイムが伸びてきた。ってね。普段はあまり言わないけど、本当にこのチームが好きなんだなって思ったの!」


佐竹「キャプテン……そんなに俺達のことを……その想いに絶対応えるよ!」


佐竹は涙が出そうになっていた。


亀山「キャプテン……ねぇ、提案なんだけど、みんなで円陣を組まない?」


駿「あぁ。そうしよう。掛け声は凛、頼めるか?」


駿は妹に対して信頼の眼差しで見ている。


凛(中身は陸)「任せて!それじゃあ、みんな!肩を組んで、足を一歩前に出して!」


男女全員で肩をガッチリと組み、足を一歩前に出す。全員のレースシューズが中央に寄り、それぞれ個性のある色でカラフルに彩られている。


凛(中身は陸)「私の掛け声で前に出した足を上げて地面を叩いてね!それじゃあ、いくよ!!!」


凛(中身は陸)の声が段々と大きくなる。スーッと大きく息を吸った。


凛(中身は陸)「全国行くぞっ!!!!!!」


一同「おう!!!!!!」


烈華「凛のこんな大きな声、初めて聞いた!やるわね!」


凛(中身は陸)「大きな声は慣れてるからね!」


全員が凛とした表情で堂々としていて、走る準備ができた。


村田先生「なんて強い絆があるチームなの。みんな頑張れ!」


村田先生は少し離れた場所から見守っていた。


最初は女子のレース。1区の桃葉がスタートラインに向かう。昨年、優勝の蒼姫中の1区は落ち着いた表情で既にスタートラインに立っていた。蒼姫中の応援で区間賞いけるよ!という声が聞こえて、桃葉の心に火をつける。


桃葉は髪をギュッと結び、髪が揺れないような勝負の髪型にしてスタートラインに立つ。スタートラインではタスキを握り締めている者、目を瞑っている者、深呼吸をしている者、軽くジャンプをしている者などそれぞれの想いを胸に立っている。


桃葉は真っ直ぐ前だけを見て合図を待つ。

「いちについてヨーイ……」

パンっ!

号砲が鳴り、いよいよ女子のレースがスタート。


桃葉「(必ず1番で来るから、みんな待っててね)」


ここまで読んで頂きありがとうございます!いよいよ駅伝が始まりました!次話以降も読んで頂けますと嬉しいです!

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