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駅伝選考会に向けての想い

9月も1週間が過ぎて、駅伝の6人のメンバーを決める選考会まで残り1週間となった。不安を抱えているメンバーも少なくはない。


犬飼は休み時間に誰もいない部室の裏に駿を呼び出していた。


犬飼「駿にだけ言っておきたいことがある」


駿「どうした?」


犬飼「足は痛みも無く完治して問題は無いが、足を攣ってからスピードを出せなくなっている。頭では分かっているのに、いざスピードを出そうとすると頭の中でブレーキをかけているような感覚だ」


駿「犬飼……」


冷静な駿も心配そうな顔をしている。


犬飼「今は60%くらいの走りしかできない状況だ。だから俺は来週の選考会で負ける可能性が高い。その時は当然だが、メンバーから外れる。まぁそうなれば全力でサポートするから心配はしないでくれ」


駿「選考会はもちろん平等にメンバーを決める。だが、俺にも情というものはある。3年間一緒に走った仲だ。頑張れ、犬飼」


犬飼の目を強い眼差しで駿は見つめている。


犬飼「駿……まだ終わった訳じゃないけど、3年間一緒に走れて良かったよ。俺なりにやれるだけやってやるよ」


駿は何も言わず、ただ犬飼の肩を一度だけ強く叩いた。


一方で亀山も休み時間に凛(中身は陸)の元に来ていた。


亀山「羽瀬さん、ちょっといいかな?」


凛(中身は陸)「どうしたの?亀山くん(まさか告白?)」


亀山「羽瀬さんにお礼を言いたくて。ありがとう!」


亀山は凛(中身は陸)に向かって頭を下げた。


凛(中身は陸)「えっ?私、何かしたかな?(良かった、告白ではなかった)」


亀山「駅伝部に誘ってくれて感謝してるんだ。最初は無理やりというか、うまくのせられて入部した形だったけど走ってくうちに、こんな世界があったんだって自分の世界が広がったんだ」


凛(中身は陸)「あはは……あの時はごめん……けど亀山くんは凄く一生懸命なとこ見てたよ」


亀山「見てくれてありがとう。この5ヶ月は自分でも驚くほど真剣に走りに取り組んだけど、正直、勝てる自信が無くて……来週の選考会で自分が外れるんじゃないか不安で不安で……」


凛(中身は陸)「この5ヶ月は亀山くんにとっての『未知の挑戦』をして凄く立派。今、私はどんな言葉をかければいいかは分からないけど、亀山くんの走りへの想いは自分で走り出した1歩なんだよ。私はその走りを必ずこの目で見届けるから」


凛(中身は陸)も真剣な眼差しで亀山の目を見ている。


亀山「羽瀬さんからそう言ってもらえるなんて嬉しいよ。羽瀬さんにとっては、たった5ヶ月なんて思われるかもしれないけど、自分にとっては物凄い色んな経験をできた5ヶ月だった。その成果を見せられるようにするよ!」


亀山が去った後、緊張感が伝わった凛(中身は陸)も心臓がドキドキして胸に手を当てていた。


凛(中身は陸)「(亀山。君が必死に練習してたの僕はちゃんと知ってるから……頑張れよ……)」


翌日、この日も隼人、烈華、佐竹の3人が朝練を終えていた。


烈華「佐竹くん、このコース走るのだいぶ慣れてきたね。呼吸も楽そうだし」


佐竹「最初は2人についていくのがやっとだったけど、キツい夏合宿を乗り越えて、その後も毎日一緒に走ってもらえたから鍛えることができたよ」


隼人「佐竹、今日で朝練は一旦終わりにしよう」


佐竹「師匠……それはつまり、破門ってこと?」


隼人「いや、破門とかそういうの無いから」


烈華「来週、選考会に向けて疲労を残さないためでしょ」


佐竹「そっか。確かに疲労を抜かないとね……けど、習慣化してる練習をしないのは少し不安かな……」


隼人「まぁ、その気持ちは分かる。けど、疲れが残って力を発揮できなかったら本末転倒になるから、ここは積極的に休もう。そのボロボロになるまで走ったシューズを見ればどれだけ走ったかが分かるよ」


佐竹のシューズは長年使い古したかのような、すり減った状態になっていた。


烈華「そうね。あれだけ走ってきたのに、最後は力を発揮できずに負けてしまったら後悔すると思う」


佐竹「分かった。今週は積極的に休んで疲労を抜くよ。そして2人の師匠に教わったことを選考会で全部出し切れるようにする!選考会や駅伝が終わったらまた3人で走りたい!この朝の空気が好きなんだ」


隼人「分かった。色々と終わったらまた走ろう」


烈華「私まで師匠になったの?負けたら破門ね。まぁ、朝は約束を取り付けた方が私も起きれるし、賛成!」


佐竹は深く頭を下げてダッシュで帰っていった。


隼人「疲労を抜けって言ったのにダッシュで帰っていった……大丈夫か……」


そして選考会、前日の夜。陸(中身は凛)は

自室で目を瞑りながら明日のイメージトレーニングをしていた。


陸(中身は凛)「今の私なら大丈夫。万全の状態で挑める体になっている」


部屋にある体重計にゆっくりと乗ると57.3kgと表示されていた。もう余分な脂肪は無くなっている。キリッとしたその顔はトップアスリートの凛の顔に似てきている。


明日、男子駅伝部のタスキを繋ぐメンバーをいよいよ決めるときがきた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!駅伝の選考会も是非読んでいただきたいので、次話以降も読んで頂けますと嬉しいです!

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