夏祭りデート
合宿を終えて、8月になり、東北大会では凛(中身は陸)と駿が優勝して全国大会に。烈華と桃葉、鷹斗は決勝まで残ったが全国大会出場は逃した。
8月中旬に開催された全国大会では凛(中身は陸)は3位になり、駿は優勝して全国チャンピオンとなった。
夏休みが終わる直前の8月の最終週。地元の夏祭りの開催に伴い、桃葉は駿を誘ってデートをすることに。
凛(中身は陸)は陸(中身は凛)を夏祭りに誘おうと思っていたが、誘えずに当日になり、部屋で1人ソワソワしている。
凛(中身は陸)「どうやって凛さんを誘えばいいかなぁ……電話か、メッセージか、家に直接行くか……」
悩んでる間に昼過ぎになっていた。すると陸(中身は凛)から電話が鳴る。電話が嬉しくてワンコールで出た。
凛(中身は陸)「もしもし!」
陸(中身は凛)「随分と出るの早かったね。全国大会で3位になったお祝いでもどうかな!って思って、今日のお祭り一緒に行かない?」
凛(中身は陸)「行こう!何時にする?」
陸(中身は凛)「返事も早いね。夜に花火があるみたいだから現地に6時集合にしよっか!あと……クローゼットの奥に浴衣あるから、お母さんに手伝ってもらって着てみてね」
凛(中身は陸)「分かった!着てみるね!じゃあまた後で!」
陸(中身は凛)「うん。また後で!」
凛(中身は陸)は電話が終わった後、大きくガッツポーズをして、嬉しさのあまり、布団で足をバタバタしていた。
凛(中身は陸)「やったー!凛さんと夏祭り!しかも浴衣!めちゃくちゃ嬉しい!」
浴衣を着る為にクローゼットの奥を探して、爽やかな青色の浴衣を見つけ、それを着るために美月にお願いをした
凛(中身は陸)「お母さん!今日の夜、夏祭りに行きたいから浴衣を着るのを手伝ってほしいの!」
美月はデートだと察してニッコリと微笑んでいる。
美月「分かった!去年はデート直前で行かないことになって結局着なかったもんね。着るのは任せて!」
去年のデートという言葉が少しだけ心にチクリと刺さる。
凛(中身は陸)「(凛さんならそりゃデートの1回や2回はしてるか……でも今日は僕と2人だ!前向きに考えよう)」
夕方になり美月に手伝ってもらって浴衣を着た。
美月「凛さん、似合ってる!とっても可愛いよ!」
美月が自分事のようにはしゃいでいる。
凛(中身は陸)「ありがとう!(本当に似合っていて、可愛い……)」
普段はジャージばかり着ていたため、浴衣姿は新鮮で、可愛いと心の底から思った。
凛(中身は陸)は予定の時間に合わせて出発し、10分前には現地に着いた。会場は相当賑わっていて出店の匂いでお祭りの空気を感じることができる。
ほぼ同時に陸(中身は凛)も到着。見たこともない私服を着こなしていて似合っていた。
陸(中身は凛)「お待たせ!おっ!やっぱり私は浴衣が似合うねぇ」
浴衣姿を見て嬉しそうにしている。
凛(中身は陸)「うん。凄く似合ってるよね!いつもよりも大人っぽい雰囲気で世界で1番可愛いよ!」
陸(中身は凛)は世界で1番可愛いという言葉に照れて顔が赤くなり、自分の顔なのに直視できなかった。
陸(中身は凛)「よくそんなこと恥ずかしげもなく、言えるわね……早く行こ!出店で何か買おう!」
わたあめ、たこ焼き、かき氷を買い、花火を見る為に河川敷の土手に2人で座る。座ったタイミングで花火が始まった。
凛(中身は陸)「ストイックな凛さんが出店の食べ物を買うのは意外だね」
陸(中身は凛)「今日は特別だよ!まだ直接言えてなかったからさ。全国大会で3位入賞おめでとう!」
かき氷で乾杯をして祝った。
凛(中身は陸)「ありがとう!凛さんのポテンシャルが高いからこそだよ。あと全国で速い人達とレースができて良い経験にもなった。この速い人達とまた競いたいって思えたんだ!」
陸(中身は凛)「正直、私の体が表彰台に乗るのを客観的に見るのは、少し複雑だったけどね。私よりも私の体を使いこなしてるんじゃないかな。陸くんの体も相当なポテンシャルを秘めてるよ。合宿での練習でラストスパートが驚くほど速かった」
凛(中身は陸)「それは凛さんの完璧な練習メニューがあったからね。凛さんこそ僕の体を僕以上に使えてるよ!」
花火の大きな音と綺麗な光の中で、周りにはカップルが多い。それを見て陸(中身は凛)が小さい声で凛(中身は陸)に問いかけた。
陸(中身は凛)「ねぇ陸くん。もしもなんだけど、女子部の後輩に告白されたらどうした方がいいかな?」
想定外の質問に困惑して、心臓の鼓動が速くなる。
凛(中身は陸)「えっ?そんなことは起きないとは思うけど……ん〜断るかな」
陸(中身は凛)「そうなのね。合宿の時、女子部の後輩から各自ジョグによく誘われて好意を抱かれてそうだったから、もしもの時はどう返事すればいいのかなと思ってね」
凛(中身は陸)「それは無いから心配しなくても大丈夫!そう言えば、犬飼くんの告白を勝手に断ってごめん。凛さんならそうするかな思ったからさ。あれで良かったのかな?」
陸(中身は凛)「良かったに決まってるよ。犬飼くんとはそういう仲じゃないから!」
凛(中身は陸)「それなら良かった!まさか告白されるとは思ってなかったからさ!」
陸(中身は凛)「陸くんは好きな人はいるの?」
ストレートすぎる質問に凛(中身は陸)は笑顔から真顔になる。
凛(中身は陸)「……い」
言いかけた瞬間、後ろから声をかけられる。桃葉と駿だった。
桃葉「来てたんだね!凛ちゃん!」
桃葉はいつも凛の腕をギュッと掴むように駿の腕をギュッと掴んで満面の笑みだ。
陸(中身は凛)「お兄ちゃん!あっ!駿くん!」
駿「不動、お兄ちゃんと呼ぶのは早いぞ」
桃葉「不動くん!?まさか凛ちゃんの好きな人って不動くんだったの??」
桃葉のテンションが高まる。
凛(中身は陸)「ご、誤解だよ!陸くんは、ただの特別なパートナーかな!」
陸(中身は凛)「そ、そうだよ!走りの!特別なパートナーね!」
焦っている2人を見て、桃葉はまだ告白していないけど、互いに意識してる仲だと思い、ニヤニヤしてる。
桃葉「特別なパートナーね!なるほど、そういう時期なのね!ふふ」
駿「凛、あまり遅くなるなよ。2人の時間を邪魔したな。じゃあな」
桃葉「2人ともバイバイ!」
桃葉は更に駿の腕をギュッと掴み歩いていった。
陸(中身は凛)「桃、随分と浮かれてるね。でも幸せそうで何より。お兄ちゃんも満更でも無さそうだし」
凛(中身は陸)「駿くんは本当に凄いよ。走りで全国1位だし、頭も良いし、素敵な彼女もできたし」
陸(中身は凛)「ふふ。完璧過ぎて私も怖いくらい。でも自慢の兄であることは間違いないよ」
花火を見ながら、喋っていると前から見たことある2人が歩いてきた。烈華と隼人だ。
烈華「あら、凛と不動くんじゃない。ふーん、なるほど、そういうことだったのね」
凛と陸を見て烈華は2人の関係を確信した。
隼人「やぁ、2人も来てたんだね」
凛(中身は陸)「烈華と隼人くんも2人で来てたんだね(2人はもしかして付き合ってるのかな)」
陸(中身は凛)「やぁ、あれ?そのカピバラのキーホルダー可愛いね!!しかもお揃い!?」
カピバラのキーホルダーで目を輝かせていた。
烈華と隼人は以前のデートでゲームセンターで取ったキーホルダーを隼人は小さいバックに、烈華はポーチに付けてお揃いで付けていたのだ。
烈華「あぁ、これね。前にゲームセンターで2人同じものが取れたから付けてたんだ。可愛いでしょ!?」
凛(中身は陸)「(そういえば、凛さん、カピバラが好きだったね)」
隼人「まぁ、たまたま取れたからね」
隼人は恥ずかしそうにしている。
陸(中身は凛)「い〜な〜!それどっかに売ってないかな?」
あまりの可愛さに陸として演技するのを忘れている。
烈華「不動くんはこういう可愛いのが好きだなんて意外ね」
隼人「そういえば、さっき射的で似たようなやつあったから行ってみたら?」
凛(中身は陸)「そうなんだ!陸くん!射的に行ってみよ!」
烈華「取れるといいね。それじゃあ、またね」
隼人「またね」
凛と陸は烈華と隼人に軽く挨拶をして射的へと向かった。景品の中にキーホルダーが付いている、カピバラの小さいぬいぐるみが2つあった。
凛(中身は陸)「ここは任せて!」
陸(中身は凛)「お願い!あのカピバラを取って!」
陸(中身は凛)は手を合わせて祈るように景品を見つめる。凛(中身は陸)は浴衣の袖をまくり、細くて綺麗な腕が見えた。集中をして狙いを定めている。側から見たら彼女が彼氏の欲しいものを取ってあげる構図になっており、異様な光景だ。
パンっと音を立てた鉄砲はカピバラに命中し、見事一発で取れた。
陸(中身は凛)「やったー!!」
取れたことに大はしゃぎしていた。更に2発目でもカピバラを取ることができ、更に大はしゃぎした。店の人は、こんなに可愛い女の子がこんなに上手いなんて、と驚いていた。
凛(中身は陸)「良かったー!これでお揃いだね」
陸(中身は凛)「ありがとう!これめっちゃ可愛い!」
周りから見ると彼女が彼氏に取ってあげて、彼氏がはしゃいでるように見えて、好奇の目で見られていた。
凛(中身は陸)「そんなに喜んでくれると、こっちも嬉しくなるね。そろそろ遅くなりそうだし、もう帰ろうか」
陸(中身は凛)「そうだね。今日は楽しかった!ありがとう!」
凛(中身は陸)「こちらこそありがとう!楽しかったよ!」
お揃いのカピバラを握りしめて夏の思い出とともに帰宅をした。
夏休みも終わりを迎えて、駅伝に向けて残り1カ月。ランナー達と熱い9月と10月が始まろうとしていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!次回より夏休みが明けて、秋の駅伝が近づいてきます!次話も引き続き読んで頂けますと嬉しいです!




