100キロの日常と絶叫
一方、時は少し遡る。陸(中身は凛)が学生証の住所を頼りに、ようやく辿り着いたのはごく普通の住宅だった。しかし、100キロの体で数キロ歩いた体は、玄関先ですでに限界を迎えていた。
陸(中身は凛)「ただいま……っ、はぁ、はぁ……死ぬ、死ぬわこれ……」
陸の母「あら陸! 今日は随分遅かったじゃない。……あら、そんなに汗だくでどうしたの? 珍しく歩いて帰ってきたの?ほらこれでも飲んで!」
陸(中身は凛)「(優しいお母さんね)ありがとう……」
一気に喉を鳴らして流し込む。その瞬間。
――っ、ぶふぉぉおおおおっ!!
反射的に、中身を盛大に吹き出した。 暴力的なまでの甘み。喉を突き刺す強烈な炭酸。 健康管理の極致にいた彼女の脳が、「これは劇物だ」と緊急停止信号を発信したのだ。健康管理を徹底していた凛は今までにコーラを飲んだことがなく、驚きのあまり吹き出してしまった。
陸の母「ちょっと陸!? 何やってんのよ、汚いわねぇ! 炭酸、抜けちゃってた?」
陸(中身は凛)「(……ち、違う……。甘い……甘すぎて死ぬかと思った……!)」
口の中に残るベタつくような糖分の感覚に、凛は戦慄した。 これまで飲んでいたスポーツ飲料やプロテインとは真逆の存在。
陸(中身は凛) 「(……これを水分補給に? これは太るわね……)」
陸の母「……陸? どうしたの、怖い顔して。熱でもあるの?」
リビングから漂う香ばしい匂いに、陸の肉体が「ギュルルル!」と地鳴りのような咆哮を上げる。喉の渇きの空腹が頂点になり意識も朦朧としてきた。
食卓にて
陸の母「はい陸、お待たせ! 今日はあなたのリクエスト通り、特盛り揚げ出し豆腐と、豚バラのニンニク醤油炒めよ!」
テーブルに置かれたのは、茶色一色の高カロリーな山。それを見た陸(中身は凛)は、顔を引きつらせた。
陸(中身は凛)(……っ! 何これ、正気!? こんな油と糖分の塊、一食で摂取していい量じゃないわ……!これは太るわのも無理ないわね……)」
しかし、凛の拒絶とは裏腹に、陸の肉体は勝手に箸を掴み、猛然と食べ進めてしまう。一口食べるごとに脳が痺れるような感覚。
陸(中身は凛)「(待って、私の腕、止まらない! 美味しい……この背徳感たまらない!)」
陸の父「おっ、いい食いっぷりだな。……ん? どうした陸、急に箸を止めて。……あぁ、なんだ、これだけじゃ足りなかったか? 母さん、追加で唐揚げも揚げてやってくれ!」
陸(中身は凛)「い、いえ! だ、大丈夫だよ! 十二分です……っ!」
必死で追加の脂を拒否し、自室へ逃げ込んだ。しかし、部屋の階段を上る最中、彼女は自分の体に戦慄した。あれだけの量を胃袋に叩き込んだはずなのに、お腹がまだ何かを欲してなっている。
陸(中身は凛)「(信じられない……この体はブラックホール!? 食べても食べても満たされない……)」
初めての感覚に恐怖を感じていた。
部屋に行くとゲームや漫画が山積みになっており、食べかけのお菓子や飲みかけのジュースが散乱している。
陸(中身は凛)「汚い部屋‥‥あり得ない」
今までに見た事が無い部屋に愕然とする。
ふと部屋の奥に目を向けると、体重計を見つける。
陸(中身は凛)「一体、この体は何キロなのか調べる必要があるわね」
陸(中身は凛)は、恐る恐るそのデジタル表示の上に足を乗せた。 ギシリ、と体重計が悲鳴を上げる。
表示された数字は――【100.2kg】
陸(中身は凛)「…………ひゃ、100キロ……っ!?」
自分の体(凛)なら、二人合わせてもお釣りが来る数字だ。 軽く跳ねてみる。着地の衝撃で、部屋の床が抜けそうなほどの振動と、全身の脂肪が波打つ不快感が襲った。
見たこともない数字に驚き、また失神しそうになる。頭がクラクラしていると、ふと携帯電話がなる。見たことのある番号だ。
陸(中身は凛)「これは私からだわ!」
急いで携帯を手に取って電話に出る。
陸(中身は凛)「もしもし」
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