合宿2日目。駿に秘密がバレた?
合宿2日目の午前中、朝食を全員が食べ終わった後に練習が始まった。日差しが強い7月の後半。高地で避暑地とはいえ、午前中から暑さは厳しい状況だ。
そんな暑い中で2日目からは本格的なポイント練習に入る。競技場に移動し、駿からは400mのインターバルを3グループに分けて練習する指示があった。
1グループは駿と鷹斗、2グループは隼人と犬飼、3グループは陸(中身は凛)、亀山、佐竹だ。
陸(中身は凛)がそれについて意見をした。
陸(中身は凛)「駿くん、練習について2グループでやらせてくれないかな?まだまだ走れそうな気がするんだ!」
駿が鋭い目つきで陸(中身は凛)を見る。
駿「分かった。確かに不動の最近の成長については目を見張るものがある。隼人と犬飼につけるだけついてみるといい」
犬飼は不機嫌そうにしている。
犬飼「ふん、テメェに負けたら俺は坊主にしてやるよ!」
隼人「いや、最近の不動くんは侮れないと思う」
亀山「俺も一緒にやらせてくれ!」
佐竹「お、俺も!」
亀山と佐竹も勇気を出して提案をした。
駿「分かった。5人は同じメニューでやってみてくれ。ただし、無茶は禁物だ。合宿は始まったばかりだから途中から自分のペースで走ってもいい」
早速、練習が始まる。駿と鷹斗が先にスタートして、少し遅れて5人がスタートする。
タイムの計測は駿の母である美月がやってくれていた。
美月「みんな!暑いからあまり無理し過ぎないように頑張ってね!」
5人は4本目まで全員で走れていたが5本目で佐竹はリタイアし、6本目で亀山がリタイアした。
亀山「はぁはぁ。さすがに74秒で全部走るのはキツイな……」
佐竹は先に倒れていた。
佐竹「はぁはぁ。このペースであの2人についてるのすげぇな陸……」
美月「2人とも大丈夫?これ飲んで!」
美月は給水係もやってくれた。
美月「それにしても、みんな速いね!私、実は息子の駿が中学生になってから走ってるのを見たことがなくて……こんなに速くなっていてビックリしてるの!」
駿と鷹斗は68秒、リカバリーは60秒で8本、走り終えた。
隼人、犬飼、陸(中身は凛)は最後の8本目をスタートした。
犬飼「はぁはぁ(こいつ……しつこいな……まじで俺は負けるのか……)」
隼人「はぁはぁ(ラスト少し上げてみるか)」
練習ではあまり仕掛けない隼人が残り200mでスピードを上げる。犬飼と陸(中身は凛)はそれに反応するも2人とも隼人に離されていく。
隼人はそのまま2人を引き離してゴール。犬飼は陸(中身は凛)と最後まで競り合っていた。
犬飼(はぁはぁはぁ(負けてたまるかぁ!)」
陸(中身は凛)「はぁはぁ(この感覚は……)」
最後は犬飼が先着してゴール。
犬飼「はぁはぁ。俺に勝とうなんて100年早いんだよ!(あぶねー)」
陸(中身は凛)「はぁはぁ。犬飼くん、後ろばかり気にしてる場合じゃないよ。だから負け癖がついてるんじゃないか」
犬飼は陸からそんな反撃されたこと、自分が負けそうになっていことに驚いていた。そして普段から自分より速い駿、鷹斗、隼人と練習して負け癖がついていたのも事実。犬飼にとってはあまりにも刺さる言葉で言い返せなかった。
犬飼「チッ」
犬飼は悔しさに震える拳を握り、そのまま先に宿舎に戻っていった。
陸(中身は凛)「ちょっと言い過ぎたかな……(それにしても最後のこの感覚……この体の相当なスプリント力……まだまだいける……)」
この体を絞ったことで、恐らく陸も気付いていなかったスプリント力を凛は感覚として掴んできていた。だが、爆発的なスプリントは合宿の高い負荷の練習では怪我のリスクもある。なので今は抑え込んだ方がいいと判断して、犬飼に先着を許した。
鷹斗「犬飼さん、大丈夫かな?」
駿「あいつはこの壁を乗り越えるさ」
隼人「不動くん……最後……いや何でもない」
隼人は陸(中身は凛)が最後、抑えていたことに気付いていた。
練習も終わり、ダウンをして各々が宿舎に戻っている際に陸(中身は凛)が駿に話をかけられる。
駿「不動。午後の各自ジョグだが一緒に走らないか?凛も誘うつもりだ」
陸(中身は凛)は、もしや中身が入れ替わっているのがバレたか?凛(中身は陸)と会ったり連絡していたのがバレたか?ドキドキしながら色んな想像をしてしまう。
陸(中身は凛)「わ、分かった……午後はよろしく……」
暑さとキツい練習でみんな汗だくで宿舎に戻る。その後、シャワーを浴びて昼食、昼寝をした。
昼寝が終わり、夕方頃からから各自ジョグがスタート。駿は陸と凛の2人を誘っていたが、桃葉から誘いを受ける。
桃葉「駿くん……各自ジョグだけど一緒に走らない?」
駿「すまん、先約があって今回は別なメンバーで走るんだ」
桃葉はショックを受けた。
桃葉「あ……うん……分かった。また今度、一緒に走ろうね」
駿「あぁ。分かった。約束しよう」
駿と陸(中身は凛)と凛(中身は陸)が合流して、ただならぬ緊張感があった。会話も少なく、3人で走り始めた。
凛(中身は陸)「(この状況は……非常に気まずい……)」
陸(中身は凛)「いやぁ、夕方なのにまだ暑いねぇ」
会話がぎこちない。
駿「単刀直入に聞こう」
2人がドキッとした。
凛(中身は陸)「(何かバレた?)どうしたの?」
陸(中身は凛)「(お兄ちゃん……何か勘付いてる……)しゅ、駿くん?」
駿「凛、不動、お前達もしかして付き合ってるのか?」
予想外の内容に2人はホッとした反面、どこまで気付かれていたんだろうとビクビクしていた。
凛(中身は陸)「付き合ってる訳ではないよ!陸くんの走りの相談に乗ってあげてたの!逆に私も相談に乗ってもらったりもしてる!」
陸(中身は凛)「そ、そうなんだよ!凛さんに相談に乗ってもらって、それでこんなに痩せることができたんだ!」
駿「ただの相談相手……にしては妙に親密すぎる。俺は2人で会っているのを何回か見た。今日の朝もだ」
凛(中身は陸)「確かに何回か会ってたのは事実。言葉にしにくいけど、陸くんは全国出場に向けての特別なパートナーみたいなもの」
陸(中身は凛)「僕も凛さんのお陰でここまでこれたんだ。これから2人で練習することもあるし、相談することもまだまだある。全国出場に向けて僕達は高めあう仲だから見守っててほしい」
2人の真剣な言葉に駿が答える。
駿「2人とも何か勘違いしていないか?俺は2人で会うことを否定したい訳ではない。寧ろ今は感謝している。去年まで暗い表情だった凛が不動と会うようになってから明るくなったのが分かる」
凛(中身は陸)「(駿くん……よく見てる……)」
陸(中身は凛)「お兄ちゃん……あ、いや駿くん」
駿「2人が付き合っていようが、付き合っていないかは2人の自由だ。ただ、走ることだけ疎かにならないようにと伝えたかっただけだ。ただ、不動、お兄ちゃんと呼ぶのは早いぞ」
駿なりの優しさを2人は受け止めた。
凛(中身は陸)「ありがとう、駿くん。あ、いやお兄ちゃん!走りについては問題無いし、陸くんのお陰で順調だよ」
駿「駿くん?」
陸(中身は凛)「僕も今、手応えを感じている。このままいけばチームに必ず貢献できる!と確信している」
駿「分かった。それを聞けたなら安心だ。それから凛、駿くんと呼ぶのはたまにはいいかもな」
駿が陸(中身は凛)に想いを託してくれた。それが嬉しかった。ただ、駿は相変わらずシスコンだった。
陸(中身は凛)「(私……自分のためにもチームのためにも、お兄ちゃんのためにも頑張るから。見てて)」
陸(中身は凛)は改めて心に誓った。
凛(中身は陸)「(駿くん、凛さん、2人のためにも頑張るよ!)」
凛(中身は陸)も心の中で決意を新たにした。
2人の関係は駿の公認の元になり、隠れて会う必要は無くなった。
一方、各自ジョグを断られたた桃葉は落ち込んでいたところ、見かねて佐竹が誘って一緒に走っていた。
ここまで読んでいただきましてありがとうございます!合宿編を引き続き読んでいただけますと幸いです!次話も引き続き宜しくお願いします!




