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絶望のタイム差。駅伝に向けてリスタート

総体が終わり、翌週の月曜日。男子駅伝部は部室でミーティングをしていた。


駿「自分達の今の力と全国出場を争う王杜中の力は大体分かった。これを見てくれ」


そこに書かれていたのは自分達と王杜中の3000mの自己ベストだった。


山麓町中

駿…8分32秒

鷹斗…8分59秒

隼人…9分23秒

犬飼…9分45秒

亀山…11分20秒

陸…11分30秒

佐竹…12分01秒


王杜中

千石…8分36秒

遊佐…9分08秒

相原…9分13秒

薄木…9分18秒

小泉…9分24秒

関場…9分29秒


犬飼「6人全員が俺より速いのかよ……これが全国レベルか……クソっ……」


犬飼は自分の不甲斐なさにイライラしていた。


鷹斗「大丈夫っすよ!俺が当日までにもっと速くなって貯金作れるようにするんで!」


鷹斗だけは悲観的になっていなかった。


隼人「相手は全員が9分30秒を切ってるのか……かなり厳しそうだな…」


隼人はいつになくネガティブだ。


駿「この資料は下を向くために作ったものではない。より前に進むためのものだ。まずは今の現状を知り、各々が全国出場に向けてに励んでもらいたいと思っている」


陸(中身は凛)「僕は当日までに10分を切れるようにする!亀山と佐竹も順調だし、必ずそこまでいける!5番手、6番手の選手がこの期間でどこまでタイムを縮められるか。そこがポイントになるからね」


亀山と佐竹が目を丸くして陸(中身は凛)のことを見ているが犬飼はそうじゃなかった。


犬飼「今のタイムから1分半も縮められるのかよ!俺でさえ10分を切るの1年以上はかかったんだぞ!?それを走り始めたばかりのジャガイモみたいなお前が?」


亀山「俺はまだ、そこまで速くなれるかは分からないけど、陸が言うと不思議とやれそうな気がする」


佐竹「俺も今は1番遅いけど、せっかくここまで練習したからチームのために頑張りたいと思っている(陸はあんなに自信満々なのに、亀山も前向きなのに……俺だけが取り残されている……)」


亀山は陸(中身は凛)の言葉に勇気づけられていたが、佐竹にとっては同じくらいのレベルと思っていた2人から自分だけが置いていかれる孤独感があった。


犬飼「確かに速くはなってるみたいだけど、もっとペース上げていかないと間に合わないんじゃねぇのか?」


駿「全体的なレベルの底上げについてだが、来月の7月に夏休みに入ってすぐ、高地での5泊6日の合宿をすることにした」


鷹斗「おぅ!いいっすね!合宿!」


鷹斗は嬉しそうにしているが隼人は前向きでは無さそうだ。


隼人「6日もか……」


犬飼「駿……それは女子部も来るのか?」


恐る恐る犬飼は駿に聞いた。


駿「お互いに全国を目指すからもちろん、女子部も来る」


犬飼「ということは……凛ちゃんと同じ屋根の下で1週間も同棲生活ができるなんて……最高じゃねぇか!!よっしゃお前ら!全国に向けて張り切っていくぞ!」


全員が苦笑いをしている。


陸(中身は凛)「(犬飼くんにはあまり近づかないように陸くんに言っておく必要があるわね……)」


駿「合宿の後、8月には俺と鷹斗は東北大会があり、9月の中旬には正式な駅伝メンバーの選考会をする。これはレベルを問わず全員でやる。ここでの上位6人がそのまま駅伝のメンバーとして走ってもらう」


亀山と佐竹の顔が引き締まる。選ばれない1人になったらどうしようという不安に駆られていた。


鷹斗「俺はそこで駿さんに絶対勝つ!」

怖いもの知らずの鷹斗は強気だ。


犬飼「流石に俺ら4人は一緒じゃなくてもいいんじゃね?」


犬飼は自分より遅い3人とも比べられているような気持ちになり、不服そうだった。


駿「後、今週は自主練とする。レース後でもあるし、テスト前だから各自それぞれで練習しておくように。以上!」


一方、凛(中身は陸)が桃葉から合宿の話を聞いていた。


桃葉「凛ちゃん!聞いた?7月に合宿をするんだって!男女、同じ宿舎に泊まるということは、駿くんと同じ屋根の下で1週間も同じだなんて!もう最高!」


桃葉の思考回路は犬飼と同じレベルだった。


凛(中身は陸)「そ、それは良かったね!楽しみだね!」


合宿の前に凛(中身は陸)は重大な問題に直面していた。来週から始まるテストである。元々、凛は成績優秀なので、陸の頭では到底同じ点数が取れる状況ではなかった。


凛(中身は陸)「(あぁ……テスト……どうしよう……とにかく勉強するかしないか……)」


今週は男女ともに自主練で参加するメンバーも少なく、集まっても軽いジョグ程度だった。そんな中で部活に1回も参加しなかったのが隼人だった。自主練でも参加しないのは珍しかった。


他部員が少し心配するも、テスト前だし、というのもあり、そこまで気にもとめていなかった。


だが、1人だけ気にかけていたのが幼馴染の烈華だった。


日曜日。隼人の家の前に、私服姿の烈華が現れる。いつもの強気なイメージとは違い、スタイリッシュで柔らかい雰囲気で可愛らしい姿だった。


インターホン越しに出たのは鷹斗で、烈華は短く言い放った。

烈華「おはよう!烈華だけど、隼人はいるかな?今日……今から出かけるから急いで準備してって!伝えてもらえる?」


鷹斗「兄貴!烈華さん来てるけど!?今日はデート!?」


ニヤニヤしながら鷹斗が隼人を見ている。


隼人「……いや……そんな約束はしていなかったが……」


少し気怠そうにしながらもちょっと嬉しそうだ。急いで着替えて、歯を磨いて準備を整えて5分ほどして玄関を開けた。


烈華「んじゃあ、いこっか!」


ここまで読んでいただきありがとうございます!駅伝に向けてリスタートした回でした!今後とも引き続き読んで頂けますと幸いです!

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