和製英語とかいう敵の敵!
カタカナは日本語です!
――敵の敵は味方。
フリッツ・ハイダーの提唱した社会心理学理論であるバランス理論。
冒頭の文言について、それ以前から類似の言い回しはありましたが、バランス理論ではそれが正しいことを証明しました。
四文字熟語で言えば、呉越同舟が近い表現ではないでしょうか。
では、日本語の物語の書き手の敵とはなんでしょうか。
――そうです。英語です
厳密には、英語というよりかは英語警察。
英語警察たちは日夜英語表現を取り締まっています。
最近ではラテン語警察やドイツ語警察などの警察支部もできたようです。
しかし、やはり英語警察本部は強いです。
特にハイファンタジーを舞台にした物語においては、特捜本部まで設置される勢いです。
その厳しさは読み手も知るところでしょう。
すべての読み手の中に英語警察はいます。
現代の地球以外を舞台とした物語以外で、見慣れたカタカナ表記を見たときに、
――ん?
そうなった読み手は立派なカタカナGメンです。
特に現地主人公にすると、取り締まりはより厳しいものになります。
ファンタジー世界に外来語があったらおかしい?
――一理あります。
確かに、幻想ー世界に、現実の外来語があるのは違和感があるかもしれません。
それは誰もが認めることでしょう。
――そもそもどこ由来だよ? と。
ハイファンタジーを綴ったことがある書き手は、まず間違いなくカタカナ表記を避けてきたことでしょう。
でも、私は一つ言いたい。
――片仮名は日本語です。
日本語が国際的にも難しいとされる理由の一つに、文字表記があります。
ひらがな、カタカナ、漢字。
これだけでも難しいのに、それらが一文で同時に使われているという事実。
しかも、日常的に。
現在、カタカナ表記は主に外来語や音などを表現するために使われています。
ただその語源は、万葉仮名を語源とする説が定説です。ひらがなも同様です。
その目的は違えど、ひらがなとカタカナの語源が同じというのはおもしろいですね。
万葉仮名は日本の歴史的文化の一つです。
つまり、そこから生まれた歴史も日本の歴史的文化と言うことができます。
カタカナを使うこと自体は、ファンタジーだろうがSFだろうがどの作品が舞台だろうと、日本語で物語が書かれている以上は問題にはならないのです。
――でも、カタカナでしか表現できないものって基本的に外来語由来だろ?
やっぱり現代世界以外で外来語があるのはおかしい。
そう主張する高等英語警察には、和製英語はどうなんだと問いたいです。
――和製英語は英語だろ?
いいえ。日本語です。
英語圏ではまったく通用しません。
多くの和製英語は勝手に日本人が英語だと思っているだけで、残りの和製英語も単に誤用です。
日本以外で通じない言葉を、日本語と言わずに何というのでしょうか。
そもそもが外国由来の語ではなく、日本由来の言葉です。
みんな大好きWikipediaでも『和製英語は「日本語」』という見出しがあるほどです。
書き手の方はじゃんじゃんカタカナを使ったらいいと思います。
――和製英語とかいう敵の敵をね!
言葉狩りダメ! 絶対!




