スキルって、なーに?
きっとこれが私のスキル!
スキル名称:
書き手
スキル効果:
①物語を作ることができる。物語の出来は実力に依存する。
②物語の出来次第で読み手の感情を左右する。
小説投稿サイトに投稿されている小説を読み始めたばかりの頃。
こうは思わなかったでしょうか?
スキルってなに? なんでそれが見えるの?
身も蓋もない回答で、
スキルってなに?
――経験を培って得た技術、技能です。
なんでそれが見えるできるの?
――仕様です。
え?
――物語の仕様です。
こう言ってしまえば、すべて終わりなのですが、一人の書き手目線でこの不思議を少し掘り下げてみようと思います。
物語というものがある種の理屈の下で作られている以上、物語には関わる設定には大小問わず理由があると考えるのが必然でしょう。
では、スキルを使うその理由とはなにか。
書き手目線では以下の三つの理由が考えられます。
①読み手のわかりやすさ
②書き手のつかいやすさ
③共に抱える日本という文化
それでは順に説明します。
◆ ◇ ◇
①読み手のわかりやすさ
スキルは読み手の物語の理解を補完します。
物語とは読んでもらって初めて価値があります。
書き手はそのために努力します。物語のわかりやすさ、というのはその一つです。
例えば、主人公の強さとは? 何が成長したの? いま主人公はいったい何ができるの?
――はい。ではスキルをご覧ください!
スキルはステータスが確認できる世界観と一緒になっていることが多くはありませんか。
それはスキルが確認することで読み手の理解を得る道具だからです。
読み手は主人公の強さを逐次確認しながら話が進むので、ストレスフリーです。
◆ ◆ ◇
②書き手の使いやすさ
スキルは使って登場人物への行動の説明を省くことができます。
物語は主人公の行動と共に動きます。行動には結果が伴います。
何となく戦場に行って、何となく勝った。ヤターー! という物語は、読み手からなかなか理解を得ることが難しいのではないでしょうか。
スキルはその行動を端的に補完できる側面があります。
なぜ主人公はそれをできたのか?
――主人公がそれをできる能力を持っているから。
なぜ主人公がそれをできる能力を持っているとわかるのか?
――はい。ではスキルをご覧ください!
一つ例を挙げますと、
スキル<耐毒:最大レベル>を持つ主人公がいて、敵に物凄く強い毒使いがいたとしましょう。
この毒使いを主人公が難なく倒せた理由に言葉はそう多くは要らないでしょう。
なぜなら読み手もわかっているからです。
スキルを書くだけで、説明が大幅に省ける。
なんて書き手にとって都合がいいのでしょうか。
反対にスキルがなければ、なぜ難なく勝てたのか説明に言葉は費やさなければなりません。
そうでなければ、読み手は何が起こったか理解できず、物語から離れてしまうでしょう。
◆ ◆ ◆
③共に抱える日本という文化
スキルとは能力であると同時に、ある種の資格でもあります。
日本人は西洋や米国と比べて、資格を好む傾向が強いとされています。
日本語で書かれた物語。その書き手と読み手のそのほとんどは日本人です。
強い資格をもつ、たくさんの資格をもつ。資格をもてば強い。
こういった考えが根底にはあるのかもしれません。
スキルが登場する物語で、スキルが役に立たなかった話を私は読んだことがありません。
私は資格がある世界に生きていますが、資格が役に立たなかったことは山ほど見聞きしてきました。私自身もその例外ではありません。
ここまでスキルを物語で使う理由を一人の書き手の視線で述べました。
一人の人間として興味深いのが、物語のスキルと現実の資格の相関関係です。
最近では日本でも以前と比べて、資格重視の傾向は緩和傾向にあると聞きます。
学歴や資格と言った杓子定規で図るのは間違っている、という風潮が少しづつ芽吹いてきているのかもしれません。
しかし、近年になって台頭し「なろう系」とまで言われる一大ジャンルを築いている作品群では、依然としてスキルものが人気を博しています。その中でもファンタジー作品ではテンプレートと言っても過言ではないでしょう。
資格が取れないから杓子定規に図られる世界が嫌いなのか。
杓子定規に図られるのが嫌いだから資格が取れないのか。
もしかしたら、私たちは根底では自分の持っている資格が認められる世界を本当は望んでいるのかもしれません。
その選択肢が掌中にあるときに選ぶ選択肢こそが、正しく選択と呼ぶことができるのでしょう。
もし現実の資格が物語のスキルのように、ぴこん、と獲得できる世界であるならば、私たちは果たしてどちらの世界で生きることを選ぶのでしょうか。
きっとこれがあなたのスキル!
スキル名称:
読み手
スキル効果:
①物語を読むことができる。読書の速度は経験に依存する。
②ブクマ、評価で書き手の感情を左右する。




