親にしてくれてありがとう!
『宇宙より遠い場所』が良かったです。特にあの物語の締め方が私には刺さりました。
――If you're lucky, you might just inspire someone else's action.
――物語の登場人物はどうやって作っているの?
そう思ったことがあるのは私だけではないはずです。
その正解についてはいろいろ諸説ありますが、これまでの例に漏れず一人の書き手の意見を綴ります。
「登場人物 作り方」
こういう言葉を検索エンジンで調べると、色々な方が色々な私見を述べているのを目にすることができます。
ここでは登場人物の設定と容姿について、順に言及したいと思います。
まずは「設定」。
これが何より大事! その登場人物は物語でどういう役割を果たす人物なのか。
そのためには、物語から装飾品を極限までそぎ落とした物語の骨子を考えます。
「ファンタジー」「異世界」「未来」などはあくまで舞台なので、真っ先にそぎ落とします。
例えば、そぎ落とした結果が恋愛物語であれば、主人公と結ばれるヒロインやヒーローには物語の「ゴール」の役割があります。
彼らと恋の行方を物語るお話です。
ヒロインやヒーローとの恋が物語の「正義」であり、立ち塞がる障害は物語の「悪」ということができるでしょう。
どこにでもいる主人公が、どこにでもいる相手と結ばれる話が見たくて小説を読む人はそういないでしょう。
主人公と相手となる人物は主人公にないものを持っているはずです。
クールな主人公ほど感情豊かな相手に惹かれていくアレです。俗な言葉で表すと「ないものねだり」です。
物語の登場人物の「設定」が決まれば次はその「容姿」。
設定を元に設定に似合う人物属性をねるねるねるねします。
設定が固まっていれば、ぼんやりとイメージが湧いているはずです。
「美人!」「身長高い!」「身長低い!」「胸大きい!」「胸小さい!」「髪長い!」「髪短い!」などなど。
容姿に関してはこう言った属性の組み合わせですね。
上記の例だけでも七通りあるので組み合わせると、それだけでも二十一人の登場人物を作れます。
これに「髪色!」「髪型!」「瞳色!」を加えるとかなりその可能性はさらに広がります。
「設定」と「容姿」が一致していれば読み手にも想像がしやすい登場人物となるでしょう。
運動が好きな人物は短髪。文学が好きな人物は長髪。つり目なら強気。垂れ目なら弱気、またはおっとりとした性格。こういった印象が世間には浸透しているのではないでしょうか。
共通の想像=固定観念です。
不思議なものですよね。誰に教わる訳でもなく私たちは漠然と同じ意識を共有しています。これを「文化」と呼ぶのかもしれません
変態の国の文化では、ギャップ萌えという言葉が言語界の市民権を得ています。
逆に読み手の固定観念を利用して、その中身を外れさせまくると言うのも登場人物の印章を強くさせることもあります。
『宇宙より遠い場所』のフールビューティーは、その一例かもしれません。
一話から「おやぁ……?」とは思っていましたが、話が進むにつれて「あっ……(察し)」に。
それでも砕氷船から降りて叫ぶシーンにはぐっと来ました。
何かを成し遂げるには、馬鹿と呼ばれるくらい突き抜けなければならないのかもしれませんね。
私も私の小説がイケてないと思っている方に、
「IN YOUR FACE!!」
いつの日か彼女たちのように胸を張ってそう叫ぶために、私は今日もせっせと文字を綴ります!
それにしてもフールビューティーってネーミングセンスいいですよね。
ありそうでなかった言葉です。たった一文字をもじっただけなのに。
その名付けのセンスに、ちょっと悔しい……! って思っちゃいました!




